はじめに

令和7年(2025年)10月1日に、障害福祉サービスの「就労選択支援」が始まりました。

これに伴い、就労継続支援B型(以下、B型)を新たに利用する方の多くは、先に就労選択支援を利用する仕組みになりました。

一方で、年齢や年金の受給状況による例外や、近くに事業所がない場合の扱いも定められています。

「行きたい事業所が決まっていても必要なのか」と迷う方もいらっしゃると思います。

本記事では、就労選択支援の対象者と例外について、厚生労働省の通知に沿ってわかりやすくご説明したいと思います。

これからサービスを使うご本人・ご家族と、説明を確かめたい支援者の方に向けた内容です。

就労選択支援の対象者とは?

就労選択支援の対象者は、就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある人と、すでに利用している人です。

仕事を探している人が誰でも使える適職診断ではなく、利用には市区町村の支給決定が必要です。

ここでは、法令と通知が定める対象者、サービスごとの扱いの違い、使うサービスを誰が決めるのかをご説明します。

法令と通知が定める対象者

就労選択支援の対象者は、法令(省令)と厚生労働省の通知で定められています。

厚生労働省の通知「就労選択支援の実施について」には、次のように書かれています。

就労選択支援は、就労移行支援又は就労継続支援を利用する意向を有する者及び現に就労移行支援又は就労継続支援を利用している者を対象とする。

(厚生労働省「就労選択支援の実施について」令和7年3月31日 障障発0331第3号、最終改正 令和7年9月30日 障障発0930第3号、1(2))

就労選択支援は、障害者総合支援法第5条第13項に位置づけられた障害福祉サービスです(令和7年10月の改正後の条文)。

同項は、就労選択支援の対象を、就労を希望する障害者などのうち「主務省令で定める者」としています。

障害者総合支援法施行規則第6条の7の2は、その者を「就労移行支援又は就労継続支援を利用する意向を有する者及び現に就労移行支援又は就労継続支援を利用している者とする」と定めています。

通知の対象者の書き方も、この省令と同じです。

就労選択支援は、短期間の作業体験や面談を通じて、本人の希望や適性、必要な配慮を整理し、働き方を選ぶ手助けをするサービスです。

制度の目的や支援の内容は、就労選択支援とはの記事でご説明しています。

対象者のうち、誰が先に利用し、誰が希望に応じて利用できるのかは、使いたいサービスと時期によって分かれます。

早見表:先に利用する人・希望で利用できる人

サービスごとの扱いを表にまとめると、次のとおりです。

サービス新たに利用する場合すでに利用していて支給決定の更新等をする場合
B型(下の行以外の人)原則として先に利用する(令和7年10月から)希望に応じて利用できる
B型(50歳に達している人・障害基礎年金1級受給者・就労経験があり年齢や体力の面で雇用が困難になった人など)希望に応じて利用できる希望に応じて利用できる
就労継続支援A型(以下、A型)希望に応じて利用できる(令和9年4月以降は、先に利用した人を対象とする予定)希望に応じて利用できる
就労移行支援希望に応じて利用できる希望に応じて利用できる(標準利用期間を超えて利用する場合は、令和9年4月以降、先に利用した人を対象とする予定)

(出典:厚生労働省「就労選択支援の実施について」前文・1(2)をもとに作成)

表の「予定」は令和8年10月25日時点の通知の表現で、令和9年4月以降の取扱いは「改めてお示しします」とされています。

使うサービスを決めるのは本人と市区町村

就労選択支援を利用しても、その結果だけで次に使うサービスが決まるわけではありません。

通知は、就労選択支援事業者(就労選択支援を行う法人)の役割について、次のように注意を促しています。

就労選択支援事業者が本人の就労の可否や利用すべき就労系障害福祉サービス、利用する事業所等を判断・決定するものではないことに留意すること。

(厚生労働省「就労選択支援の実施について」2(4)エ)

アセスメントの結果に事業所名が書かれても、「今後の支給決定に向けた参考情報に過ぎず」、事業者があっせんするものではないとされています(同)。

アセスメントの結果は、本人が働き方を選ぶための材料です。

実際に利用するサービスの支給決定は市区町村が行うため、就労選択支援を受ければ希望するサービスを必ず使える、という仕組みでもありません。

申請から支給決定までの流れや、利用の期間・費用は、別の記事で扱う予定です。

B型を新しく使う人は原則として先に利用する

令和7年10月から、新たにB型を利用する意向がある場合は、就労選択支援を「予め利用すること」とされました(厚生労働省「就労選択支援の実施について」1(2))。

ただし、同じ通知の中に、アセスメントを行わずにB型を利用できる人と、本人の希望で利用できる人も定められています。

ここでは、就労継続支援B型の対象者の区分から順にご説明します。

B型の対象者は通知で区分ごとに示されている

B型を利用できる人は、報酬の算定に関する留意事項通知(障発第1031001号)で、区分ごとに示されています。

令和7年10月以降の内容は、次のとおりです(同通知 第二の3の(5)の①。最終改正 令和8年5月28日 こ支障第148号・障発0528第1号)。

  • ㈠ 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
  • ㈡ 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
  • ㈢ ㈠及び㈡のいずれにも該当しない者であって、就労選択支援事業者により、就労面に係る課題等の把握が行われている本事業の利用希望者(近隣に就労選択支援事業所が無い場合等は、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている本事業の利用者)
  • ㈣ 通常の事業所に雇用されている者であって、通常の事業所に新たに雇用された後の労働時間の延長若しくは休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするもの

就労選択支援を先に利用することになるのは、このうち㈢に当たる方です。

㈠・㈡に当たる方は、就労選択支援のアセスメントを経ずにB型を利用できます。

㈣は、企業などで働いている方が、労働時間を延ばすときや休職から復職するときに、B型を一時的に利用する場合の区分です。

アセスメントなしでB型を使える人

就労選択支援の実施通知も、次の方は「就労選択支援事業者によるアセスメントを行うことなく、就労継続支援B型の利用が可能」としています(1(2))。

  • 50歳に達している方
  • 障害基礎年金1級を受給している方
  • 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方

通知はこの3つに「等」を付けており、どの区分に当たるかは市区町村が支給決定の手続の中で確認します。

実施通知と報酬の留意事項通知が示しているのは、「就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者」という区分の文言です。

令和8年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームの資料は、この区分について「具体的な判断基準を示してはどうか」としています。

そのうえで、「就労経験がある者」を「企業等との雇用契約に基づく就労経験がある者」と明示する案を示しています。

同じ資料は、就労経験がない方や、年齢や体力の面以外の理由で一般企業に雇用されることが困難となった方について、就労選択支援のアセスメントで課題が把握されているかを確認する案も示しています。

年齢や体力の面以外の理由の例として、職務内容や職場環境とのミスマッチ、健康上の理由、就労能力やスキル面の理由、家庭や生活環境などの理由による離職が挙げられています。

あわせて、B型の新規利用の申請の際に、市区町村がチェックリストで支給決定の適否を判断する案もあります(厚生労働省 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料「就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」)。

いずれも検討の方向性として示された案で、取扱いが決まったものではありません。

いま就労経験がどのように確認されるかは、お住まいの市区町村の窓口でたずねるのが確実です。

なお、障害基礎年金の受給要件や等級は、本記事では扱いません。

障害年金については、社会保険労務士へのご相談をおすすめします。

例外に当たる人も、希望すれば利用できる

㈠・㈡に当たる方も、就労選択支援を使えないわけではありません。

通知は、次の方を「障害者本人の希望に応じて就労選択支援を利用することができる」としています(厚生労働省「就労選択支援の実施について」1(2))。

  • 新たにA型や就労移行支援を利用する意向がある方
  • 就労経験がある方(年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方に限る)、50歳に達している方、障害基礎年金1級受給者のいずれかで、新たにB型を利用する意向がある方
  • すでに就労移行支援または就労継続支援を利用していて、支給決定の更新等の意向がある方

B型以外の働き方も考えてみたいときや、自分に合う作業の環境を整理したいときに、利用を検討できます。

近くに事業所がない・待機があるときの扱い

就労選択支援は令和7年10月に始まったサービスで、地域によっては事業所の数が限られています。

そのため通知は、B型を新しく使う方が就労選択支援を受けられない場合の扱いも定めています。

ここでは、認められている2つの場合と、地域の事業所の探し方をご説明します。

認められている2つの場合

通知は、次の2つの場合に、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型の利用を認めています(厚生労働省「就労選択支援の実施について」1(2))。

  • 最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、近隣に就労選択支援事業所がない場合
  • 利用可能な就労選択支援事業所数が少なく、就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合

この場合も、アセスメントそのものが不要になるわけではありません。

令和7年9月までと同じように、就労移行支援事業所等のアセスメントを経てB型を利用する形です。

このアセスメントは、利用者が在籍している特別支援学校内など、通いやすい場所で行うこともできるとされています(厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」障障発0331第2号。以下、就労系の留意事項通知)。

「近隣にない」「待機が生じる」に当たるかどうかは、市区町村や相談支援専門員と相談しながら確かめることになります。

事業所の数と、地域の事業所の探し方

厚生労働省の公表によると、就労選択支援事業所は令和8年6月末時点で965か所です。

指定権者(事業所を指定する自治体)ごとの内訳は、都道府県532、指定都市213、中核市220です(厚生労働省「就労選択支援事業所数(令和8年6月末日現在)」)。

指定都市や中核市の事業所は市が指定するため、都道府県の欄が0でも、県内に事業所がないとは限りません。

例えば岡山県の指定は0ですが、岡山市に6か所、倉敷市に5か所あります(同)。

なお、国民健康保険団体連合会(国保連)のデータでは、令和8年4月の就労選択支援は452事業所・利用者1,033人でした(厚生労働省 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料「就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」)。

国保連は、障害福祉サービス費の審査・支払を行う機関です。

この数(令和8年4月の国保連データ)と、指定を受けた事業所の数(令和8年6月末)は、集計の時点も、もとにした統計も異なります。

お住まいの地域の事業所は、厚生労働省の「就労選択支援事業所一覧(令和8年6月末日現在)」や、都道府県・市のページで確認できます。

事業所を運営できる法人や事業所の探し方は、就労選択支援事業所とはの記事でご説明しています。

通える範囲に事業所があるか、受け入れに空きがあるかは、市区町村の障がい福祉の窓口や相談支援事業所にたずねてみてください。

運用は市区町村ごとに異なる

支給決定の手続や、在学中にいつ利用するかの扱いは、市区町村によって異なります。

例えば京都市は、支援学校等の在校生について、令和8年度以降は原則として高等部2年生のときに就労選択支援を利用するとしています。

ただし、令和8年度の高等部3年生は、従来どおり就労移行支援によるアセスメントで差し支えないとしています(京都市「就労継続支援B型の利用に係るアセスメントの取扱いについて」2026年3月31日)。

手続の流れや必要な書類は、お住まいの市区町村で確認しておきましょう。

A型・就労移行支援と令和9年4月からの予定

令和8年10月時点で、原則として先に就労選択支援を利用するとされているのは、B型を新たに使う場合です。

新たにA型を利用する場合と、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合は、令和9年4月以降に扱いが変わる予定です。

具体的な取扱いについて、通知は「改めてお示しします」としています。

ここでは、今の扱い、通知に書かれた予定、検討中の案を分けてご説明します。

現在、A型・就労移行支援を新たに使うときは「希望に応じて」

新たにA型や就労移行支援を利用する方は、本人の希望に応じて就労選択支援を利用できます(厚生労働省「就労選択支援の実施について」1(2))。

A型については、「当面の間は、就労継続支援A型の利用に当たって就労選択支援を利用することは必須ではない」とされています(就労系の留意事項通知)。

同じ通知は、ハローワークが就労選択支援を経ずにA型の求人を紹介する場合があることにも触れています。

就労継続支援A型では、利用が適切かを確かめるため、原則として「暫定支給決定」(短い期間でサービスが合うかを評価する支給決定)を行います(同)。

暫定支給決定期間中に行うアセスメントと同等と認められるアセスメントがすでに行われているとして、市町村が例外的に暫定支給決定を行わない場合もあります(同)。

通知は、この扱いをする場合は、転居の前後や就労移行支援からの移行でアセスメントの情報が十分に引き継がれている場合などに限定した運用とするなど、手続を明確にするよう求めています(同)。

就労移行支援の標準利用期間は、原則2年です(障害者総合支援法施行規則第6条の8)。

標準利用期間を超えて利用が必要な場合は、市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新ができます(厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」最終改正 令和8年7月)。

令和9年4月以降は「予定」

実施通知の前文は、令和9年4月以降の扱いを次のように書いています。

なお、令和9年4月以降は、新たに就労継続支援A型を利用する場合や標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合についても、就労選択支援事業所によるアセスメントが行われている者を対象とする予定ですが、令和9年4月以降の取扱いについては改めてお示しします。

(厚生労働省「就労選択支援の実施について」前文)

A型は「新たに利用する場合」、就労移行支援は「標準利用期間を超えて利用する場合」が対象とされています。

すでにA型を利用している方が一律に受け直す、という書き方ではありません。

令和8年10月25日に厚生労働省の「就労選択支援について」のページを確認した範囲では、令和9年4月以降の取扱いを示した通知は掲載されていませんでした。

取扱いが示された時点で、本記事も更新します。

第64回検討チームで示された方向性(案)

令和8年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームでは、就労選択支援の対象者について、次のような検討の方向性が示されました。

  • 予定どおり令和9年4月以降、新たにA型を利用する意向がある方と、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する意向がある方も、就労選択支援により課題が把握されている方を対象としてはどうか
  • A型は、就労選択支援を利用した方にも、必要に応じて暫定支給決定を行うことを妨げないこととしてはどうか
  • 令和9年4月からA型を利用する予定の方(主に特別支援学校の現3年生)は、進路活動に支障が生じないよう、令和8年度内の就労選択支援の利用を原則とせず、暫定支給決定を柔軟に運用してはどうか
  • 就労移行支援を標準利用期間を超えて利用する場合は、就労移行支援事業所が利用開始から1年6か月を目安に更新の必要性を検討し、必要性が認められた場合に就労選択支援によるアセスメントを行ってはどうか(2年目の利用者のうち、職場体験実習などの就職活動を積極的に行っているために就労選択支援事業所によるアセスメントの実施が困難となる一定のケースに限り、多機関連携によるケース会議の記録等で支給決定を更新できるようにしてはどうか)
  • 自治体は、支給決定の更新の要否や更新後の利用期間を判断する際、就労選択支援のアセスメント結果や多機関連携によるケース会議での検討内容等も活用してはどうか
  • 就労継続支援を利用していて支給決定を更新する方も、将来的に、就労選択支援事業者のアセスメントを受けた方を更新の対象としてはどうか
  • 就労移行支援・就労継続支援の事業者が定期的に就労選択支援の情報提供を行っていることを指定権者が確認できない場合に、その事業者に減算措置を講ずることを検討してはどうか

(出典:厚生労働省 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料「就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」)

資料はいずれも「〜してはどうか」という形の案で、決定した内容ではありません。

令和9年4月にA型の利用を考えている方は、学校の進路担当や市区町村に、最新の扱いを確認しておきましょう。

就労選択支援と就労移行支援の違いは、「就労選択支援」と「就労移行支援」の違いの記事で比べています。

すでに利用している人(更新・事業所の変更)

すでに就労移行支援や就労継続支援を利用している方は、支給決定の更新等の際に、希望に応じて就労選択支援を利用できます。

ただし、利用する事業所の選び方には、アセスメントの客観性を保つための制限があります。

ここでは、更新のときの扱いと、同じ法人の事業所を使えない場合をご説明します。

更新・変更のときは希望に応じて利用できる

通知は、すでに利用していて支給決定の更新等の意向がある方を、本人の希望に応じて利用できる人としています(厚生労働省「就労選択支援の実施について」1(2))。

利用を続けるうちに、働くことへの意向や、知識・能力が変わることがあるためです。

就労系サービスの事業所には、計画相談支援を行う者と連携し、更新時など定期的に就労選択支援の情報提供を行い、利用を促すことが求められています(同 6(6))。

指定基準の省令も、就労移行支援の事業者に、計画相談支援を行う者と連携して定期的に就労選択支援の情報提供を行うことを定めており、A型・B型にも準用されています(平成18年厚生労働省令第171号 第183条の2)。

「別の働き方も考えてみたい」と感じたときは、相談支援専門員や利用中の事業所にたずねてみてください。

セルフプランで障害福祉サービスを利用している方は、市区町村の窓口にたずねることになります。

利用中の事業所と同じ法人の就労選択支援は、原則として使えない

更新や事業所の変更を考えるために使う場合は、利用中の事業所と同じ法人が運営する就労選択支援は、原則として使えません。

就労継続支援や就労移行支援を利用中の者が、当該サービスに係る受給者証の更新や事業所の変更を検討するに当たって就労選択支援を利用する場合、アセスメントや情報提供の客観性を担保するため、当該サービスを提供している事業所と同一の法人が運営する就労選択支援は利用できないものとする。

(厚生労働省「就労選択支援の実施について」4(3))

ただし、例外も定められています。

最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、近隣に別の法人が運営する就労選択支援事業所や就労移行支援事業所がない場合は、同じ法人が運営する就労選択支援を利用できます(同)。

就労選択支援は、就労移行支援や就労継続支援の事業所を運営する法人が行っていることがあります。

利用を考えている就労選択支援事業所の運営法人を、事前に確かめておくとよいでしょう。

よくある質問

就労選択支援の対象者について、よくある疑問にお答えします。

Q1. 行きたいB型が決まっていても、就労選択支援を受けないといけませんか?

B型を新たに利用する場合は、50歳に達している方などの例外に当たらなければ、原則として先に就労選択支援を利用します。

通知が例外として挙げているのは、50歳に達している方などの区分と、近くに事業所がない・待機が生じる場合です。

希望は就労選択支援の中で伝えることができ、アセスメントの結果やケース会議で整理されます。

近くに事業所がない場合などの扱いもあるため、市区町村や相談支援専門員に確認してください。

Q2. アセスメントの結果で、B型が使えなくなることはありますか?

就労選択支援事業者は、利用するサービスや事業所を判断・決定する立場ではありません(厚生労働省「就労選択支援の実施について」2(4)エ)。

結果を踏まえて、ほかの選択肢が示されることはあります。

どの働き方を希望するかは本人が選び、市区町村がその内容をもとに支給決定を行います。

Q3. 就労選択支援とB型・自立訓練は同じ日に使えますか?

同じ日に、就労選択支援とB型の両方の報酬を算定することはできません。

生活介護・自立訓練(宿泊型自立訓練を除く)・就労移行支援・A型も同じ扱いです(厚生労働省「就労選択支援の実施について」4(2))。

ただし、事業所どうしの合議で報酬を按分する形で、同じ日に両方を利用することは妨げないとされています(同)。

B型を利用中の方が就労選択支援を使う場合の日程は、利用中の事業所や相談支援専門員と調整することになります。

Q4. 何歳まで利用できますか?

就労選択支援は、18歳以上の障がいのある方向けの障害福祉サービスです(文部科学省・厚生労働省「特別支援学校等における就労選択支援の取扱いについて」1(5))。

対象者は、就労移行支援や就労継続支援を「利用する意向を有する者」などとして定められているため、利用したいサービスの対象年齢もあわせて確認します。

例えば、就労移行支援は65歳未満の方が対象です。

65歳以上の方は、65歳に達する前の5年間(入院などやむを得ない事由で支給決定を受けていなかった期間を除く)引き続き障害福祉サービスの支給決定を受けていて、65歳に達する前日に就労移行支援の支給決定を受けていた場合に限られます(障害者総合支援法施行規則第6条の9)。

A型は、就労系の留意事項通知で「一定の要件を満たす場合、年齢を問わず利用が可能」とされています。

なお、50歳に達している方は、アセスメントなしでB型を利用できる区分に当たります。

18歳未満の方には、特別支援学校等に在学中に利用する場合の扱いがあります(Q6)。

Q5. 障害者手帳がなくても対象になりますか?

手帳がなくても対象になる場合がありますが、障がいの種類によって確認の方法が異なります。

事務処理要領は、身体障害者を除き、支給決定に際して障害者手帳を有することは必須要件ではないとしています(厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」最終改正 令和8年7月)。

障がいの種類ごとの確認の方法は、次のとおりです(同)。

  • 身体障がい:身体障害者手帳
  • 知的障がい:療育手帳。療育手帳を有しない場合は、市町村が必要に応じて知的障害者更生相談所に意見を求めて確認する
  • 精神障がい(発達障がい・高次脳機能障がいを含む):精神障害者保健福祉手帳、精神障害を事由とする年金を現に受けていることを証明する書類(国民年金、厚生年金などの年金証書等)、精神障害を事由とする特別障害給付金を現に受けていることを証明する書類、自立支援医療受給者証(精神通院医療に限る。)、医師の診断書(原則として主治医が記載し、国際疾病分類ICD-10コードを記載するなど精神障害者であることが確認できる内容であること)等。これらに限定されるものではないとされている
  • 難病等:医師の診断書、特定医療費(指定難病)受給者証、登録者証(指定難病)、指定難病に罹患していることが記載されている難病医療費助成の却下通知等

どの書類で確認するかは、お住まいの市区町村の窓口でたずねてください。

手帳がない場合の確認の方法は、境界知能と仕事の記事でもご説明しています。

Q6. 特別支援学校に在学中でも使えますか?

文部科学省と厚生労働省の通知は、就労選択支援を「特別支援学校等の1年次から利用可能」とし、在学中に複数回利用することもできるとしています(文部科学省・厚生労働省「特別支援学校等における就労選択支援の取扱いについて」令和7年5月15日)。

この通知の「特別支援学校等」には、特別支援学校の高等部のほか、高等学校と中等教育学校の後期課程も含まれます(同通知)。

15歳以上18歳未満の生徒が利用する場合は、児童相談所長が障害福祉サービスを受けることが適当と認め、市町村長に通知することが必要です(同通知。根拠は児童福祉法附則第63条の2・第63条の3)。

卒業後すぐにB型の利用を考えている場合(いわゆる直B)は、在学中のいつ就労選択支援を利用するかを、学校や市区町村と早めに確認しておきましょう。

卒業前後に使う制度の切り替わりは、18歳の壁とはの記事でご説明しています。

在学中の手続や、利用日の学校の出欠の扱いは、別の記事で扱う予定です。

まとめ

就労選択支援の対象者は、就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある人と、すでに利用している人です。

先に利用するかどうかは、使いたいサービスと時期によって分かれます。

  • B型を新たに利用する場合は、原則として先に就労選択支援を利用する。50歳に達している方、障害基礎年金1級を受給している方、就労経験があり年齢や体力の面で雇用が困難になった方などは例外
  • 近隣に事業所がない場合や待機期間が生じる場合は、就労移行支援事業所等の就労アセスメントを経てB型を利用できる
  • A型の新規利用と、就労移行支援の標準利用期間を超える利用は、令和9年4月以降に対象とする「予定」。取扱いが示されたら本記事も更新する
  • 更新や事業所の変更のために使う場合は、近隣に別の法人が運営する就労選択支援事業所や就労移行支援事業所がない場合を除き、利用中の事業所と同じ法人の就労選択支援は使えない

就労選択支援事業者は利用するサービスを判断・決定せず、支給決定は市区町村が行います。

手続や運用は市区町村によって異なるため、お住まいの市区町村の障がい福祉の窓口や相談支援事業所で確認してください。

制度は改正される可能性があるため、最新の情報は厚生労働省のサイトでご確認ください。

参考資料

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所