「働きたいけれど、一般企業で雇用契約を結んで働くのは難しい」「自分のペースで、できる範囲から始めたい」――そう感じている方や、ご家族の方に向けたサービスのひとつが、就労継続支援B型です。
就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのひとつで、雇用契約を結ばずに、ご自身のペースで作業に取り組める場所です。本記事では、就労継続支援B型の対象者、仕事内容、工賃の仕組み、利用までの流れ(令和7年10月から導入された就労選択支援との関係を含む)、他のサービスとの違いまで、わかりやすくご説明したいと思います。

就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのひとつです。一般企業での雇用が難しい障がいのある方に、雇用契約を結ばない形で作業の機会を提供し、必要な訓練や支援を行うサービスです。利用期間に制限がなく、自分の体調や生活リズムに合わせて働けることが大きな特徴です。

障害者総合支援法に基づく就労系福祉サービス

就労継続支援B型は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条第15項に位置づけられた、訓練等給付に分類されるサービスです。
厚生労働省の資料では、「通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う」サービスと整理されています(厚生労働省: 障害者福祉施設における就労支援の概要)。
つまり、雇用契約という形にとらわれず、その方の特性や体調に応じた働き方を支える場所、と言えます。

利用期間に制限がなく自分のペースで働ける

就労継続支援B型のもっとも大きな特徴は、利用期間に制限がないことです。就労移行支援の原則2年といった期間設定はなく、ご本人の意向と必要性が認められる限り、長く通い続けることができます。
また、年齢の上限も基本的には設けられていません。原則として18歳以上の方が対象ですが、65歳を超えてからの継続利用も、一定の要件のもとで認められるケースがあります。
1日の利用時間や週の利用日数も柔軟で、事業所によっては「週1日・1日数時間から」という働き方も可能です。体調の波がある方、通院・服薬と両立したい方、少しずつ社会との関わりを取り戻したい方にとって、無理なく続けやすい仕組みになっています。

就労継続支援B型の対象者

就労継続支援B型は、すべての障がいのある方が自由に利用できるわけではありません。厚生労働省が示している3つの利用要件のいずれかに該当する方が対象となります。一方で、障害者手帳の所持は必須ではなく、医師の診断書等で利用が認められるケースもあります。ここでは、対象となる方の条件を2つの角度から整理します。

利用できる方の3つのパターン

厚生労働省が示している就労継続支援B型の利用者像は、大きく分けて以下の3つです(厚生労働省: 障害者福祉施設における就労支援の概要)。

就労経験がある方であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方
就労移行支援事業を利用(暫定支給決定における利用を含む)した結果、本事業の利用が適当と判断された方
①、②に該当しない方で、50歳に達している方、または障害基礎年金1級受給者

具体的なイメージとしては、以下のような方が想定されています。

一般企業に勤めていたが、年齢や体力面で離職せざるを得なくなり、それでも生産活動を続けたい方
就労移行支援を利用したが、必要な体力や職業能力の不足等により、現時点では一般就労に結びつかなかった方
特別支援学校等を卒業し、50歳に達している、または障害基礎年金1級を受給している方

これらに当てはまらない若年層の方の場合は、後述する就労選択支援によるアセスメントを経ることで、B型の利用が判断される流れになっています。

障害者手帳がなくても利用できるケース

「障害者手帳がないとB型は使えないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、手帳がなくても利用できる場合があります。
就労継続支援B型は、身体障がい・知的障がい・精神障がい(発達障がいを含む)のある方に加え、障害者総合支援法の対象難病(令和7年4月1日時点で376疾病)のある方も対象となっています。
手帳がない場合でも、医師の診断書や意見書、自立支援医療受給者証などにより、対象となる障がいや疾病があることが確認できれば、市区町村による支給決定を経て利用できるケースがあります。実際の判断は自治体ごとに運用が異なるため、お住まいの市区町村の障がい福祉課にご確認いただくことをおすすめします。

就労継続支援B型の仕事内容と工賃

就労継続支援B型の事業所では、軽作業から接客業務まで、多岐にわたる仕事が行われています。働きに対しては「工賃」と呼ばれる報酬が支払われますが、一般企業の「給料」とは仕組みが異なり、最低賃金の保障はありません。ここでは、仕事内容、工賃の仕組み、給料と工賃の違いを整理します。

事業所で行う仕事の例

事業所によって特色が大きく異なるのも、就労継続支援B型の特徴のひとつです。一般的な仕事の例には、以下のようなものがあります。

製造・加工:商品の組み立て、検品、シール貼り、袋詰め、ポスティング等
パソコン作業:データ入力、文書作成、簡単なデザイン作業等
飲食・接客:カフェやレストランの運営、製菓、製パン等
清掃・メンテナンス:オフィス清掃、備品管理、施設の保守等
農作業・園芸:野菜の栽培、収穫、出荷準備、花の手入れ等
クラフト・芸術:手工芸品の制作、音楽活動、アート作品の制作等

事業所ごとに作業内容や雰囲気が大きく違うため、見学・体験を通じてご自身に合った場所を探していくことが大切です。例えば、個性ある事業所の例や、就労継続支援B型における音楽活動のような特色ある取り組みを行う事業所もあります。

工賃の仕組みと全国平均月額

就労継続支援B型では、生産活動の対価として「工賃」が支払われます。工賃の額は、事業所の生産活動による収入から必要経費を差し引いた額をもとに、各事業所が定める「工賃規程」に従って決まります。
厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」によると、就労継続支援B型事業所の 令和5年度(2023年度)の全国平均工賃月額は23,053円と報告されています(令和6年度の全国実績は本記事執筆時点で広く公表されていないため、最新値は厚生労働省「工賃(賃金)の実績について」をご確認ください)。前年度(令和4年度)の17,031円から大幅に増加していますが、これは令和6年度の報酬改定で平均工賃月額の算定方法が「工賃支払対象者数」を分母とする方式から「1日あたりの平均利用者数」を分母とする方式へ見直されたことが背景にあります。
ただし、平均はあくまで全国の事業所を均した数値であり、事業所ごとの工賃には大きな差があります。利用を検討する際は、見学時に工賃の目安と支払い方法を直接確認することをおすすめします。工賃に関する当事者の本音については、就労継続支援B型の利用者の悩みもあわせてご参照ください。

「給料」と「工賃」の違い

「給料」と「工賃」は混同されがちですが、法的な位置づけが異なります。
項目給料(賃金)工賃雇用契約ありなし最低賃金法の適用ありなし支払いの根拠労働の対価生産活動による事業収入から必要経費を差し引いた額
就労継続支援B型では雇用契約を結ばないため、最低賃金の対象とはなりません。これは制度設計上、雇用契約による就労が困難な方に対して柔軟な働き方を提供するための仕組みです。

就労継続支援B型を利用するメリットと留意点

就労継続支援B型には、ほかの就労支援サービスにはない柔軟性とメリットがあります。一方で、すべての方にとって最適とは限らず、合わない場合もあります。利用を検討する際は、メリットだけでなく、留意したい点もあわせて確認しておくことが大切です。

利用するメリット

就労継続支援B型を利用する主なメリットは、以下のようにまとめられます。

自分のペースで働ける:1日数時間、週1日からといった短時間利用が可能な事業所もあり、体調や生活リズムに合わせて柔軟に通えます。
利用期間に制限がない:就労移行支援のような期限がなく、長期間にわたって生産活動を続けることができます。
配慮ある環境で作業できる:障がい特性に応じた支援が受けられ、職業指導員や生活支援員によるサポートを得られます。
社会参加の機会になる:自宅と病院以外の居場所ができ、人との関わりや日中活動の場を持つことができます。
障害者手帳がなくても利用できる場合がある:医師の診断等で認められるケースがあり、利用のハードルが比較的低いと言えます。

特に、就労に対する自信を取り戻したい段階や、長期的に無理なく続けられる場所を探している方にとって、有用な選択肢となります。事業所ごとの特色についても、事業所のさまざまな特色を知っておくと、選択の参考になります。

利用にあたって留意したい点

一方で、以下の点には注意が必要です。

工賃水準が一般企業の賃金には及ばない:全国平均は月額2万円台で、これだけで生計を立てるのは難しいのが現実です。障害年金や生活保護との併用で生活を支えている方が多くいらっしゃいます。
最低賃金の保障はない:雇用契約を結ばないため、労働基準法上の最低賃金は適用されません。
一般就労を目指す方にとっては別の選択肢が適する場合もある:本格的な就労訓練を希望する場合は、就労移行支援のほうが向いていることがあります。
事業所によって雰囲気・作業内容が大きく異なる:合う・合わないがあるため、見学や体験利用が重要です。通ってみて「合わない」と感じることも、決して珍しいことではありません。通うのがつらいと感じたときに考えたいことについても、別記事で整理しています。

ご自身の希望や体調と、事業所の特色をよく照らし合わせて選ぶことが大切です。

就労継続支援B型を利用するまでの流れ(令和7年10月以降の最新版)

就労継続支援B型の利用にあたっては、令和7年(2025年)10月から重要な制度変更がありました。新たに就労継続支援B型の利用を希望する方は、原則として、先に「就労選択支援」によるアセスメントを受けることが必要になっています。ただし、いくつかの例外パターンも設けられています。ここでは、令和7年10月以降の利用の流れを2つのパターンに分けてご説明します。

原則として就労選択支援を先に利用するケース

令和7年10月から始まった就労選択支援は、就労に関する適性や能力、本人の意向を短期間のアセスメントで評価し、適切な働き方や就労先の選択を支援する新しいサービスです。支給決定期間は原則1か月とされています(自治体により例外的な取扱いがある場合があります)。
新規にB型の利用を希望する方の標準的な流れは、おおむね以下のようになります。

市区町村の障がい福祉課に相談:利用希望の意向を伝え、必要書類の案内を受ける
就労選択支援の支給決定を受ける:就労選択支援事業所と契約し、利用を開始する
アセスメントの実施:作業体験や面談を通じて、就労に関する希望・能力・配慮事項を整理する
多機関連携によるケース会議:本人・家族・支援機関で結果を共有し、進路を検討する
B型の支給決定とサービス利用開始:本人の意向を踏まえてB型の利用が適切と判断されれば、改めて支給決定を受け、利用を開始する

このプロセスを通じて、「本当にB型が合っているのか」「他の選択肢はないか」を本人が主体的に検討できるようになっています。詳しくは、就労選択支援とは就労選択支援事業所に関する別記事もあわせてご参照ください。

就労選択支援を経ずに利用できる例外パターン

すべての方が就労選択支援を経由する必要はなく、以下のいずれかに該当する場合は、就労選択支援によるアセスメントを行わずに、就労継続支援B型を利用することができます(厚生労働省の通知等による)。

50歳に達している方
障害基礎年金1級を受給している方
就労経験(就労継続支援A型を含む)があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方等

これらの例外は、すでに就労経験を経て一般企業での雇用が難しいと判断できる方や、年齢・受給状況からアセスメントを改めて行う必要性が低いと考えられる方に配慮した取り扱いです。
なお、地域によっては事業所の整備状況に差があり、運用が異なる場合もあります。ご自身が例外に該当するかどうかを含めて、お住まいの市区町村の窓口にご確認いただくのが確実です。

就労継続支援B型と他のサービスとの違い

就労継続支援B型を検討する際、よく比較されるのが「就労継続支援A型」と「就労移行支援」です。いずれも障害者総合支援法に基づく就労系福祉サービスですが、目的・契約形態・利用期間が異なります。違いを把握することで、ご自身に合ったサービスを選びやすくなります。

就労継続支援A型との違い

A型とB型のもっとも大きな違いは、雇用契約の有無です。
項目就労継続支援A型就労継続支援B型雇用契約結ぶ結ばない報酬給料(最低賃金以上)工賃対象者像雇用契約による就労は可能だが一般就労が難しい方雇用契約に基づく就労が難しい方利用期間制限なし制限なし
A型は雇用契約があるため、最低賃金が保障される一方、出勤や勤務時間の遵守がより求められます。B型は柔軟な働き方ができる反面、収入面ではA型に劣る傾向があります。A型の詳細については、就労継続支援A型とはもあわせてご参照ください。

就労移行支援との違い

就労移行支援は、一般就労を目指す方への訓練・支援を行うサービスです。
項目就労移行支援就労継続支援B型主な目的一般就労への移行生産活動の機会提供利用期間原則2年制限なし報酬原則なし(工賃が出る場合あり)工賃あり
就労移行支援はあくまで「一般企業への就職」を目指す訓練の場で、B型のように長期にわたって通うことを前提とはしていません。一般就労に向かいたいか、無理のない範囲で生産活動を続けたいかで、選び方が変わってきます。詳しくは、就労移行支援とはや、就労選択支援と就労移行支援の違いもあわせてご覧ください。

就労継続支援B型に関するよくある質問

ここでは、就労継続支援B型の利用を検討される方からよくいただく質問を3つ取り上げ、簡潔にご説明します。個別のケースについては、お住まいの市区町村窓口や相談支援事業所にご確認ください。

Q1. 工賃だけで生活できますか?

全国平均工賃は月額2万円台で、一般的にこれだけで生活費をまかなうのは難しいと言われています。多くの方は、障害年金や生活保護といった他の制度と併用しながら生活を組み立てています。なお、障害年金については個別の請求手続きや受給可否の判断があり、これは社会保険労務士の専門領域となります。具体的なご相談は、当サイトの連携先であるわくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)など、社会保険労務士の専門家へのご相談をおすすめします。

Q2. 障害者手帳がなくても利用できますか?

可能なケースがあります。就労継続支援B型は、身体障がい・知的障がい・精神障がい(発達障がいを含む)のある方や、障害者総合支援法の対象難病のある方が対象です。手帳がない場合でも、医師の診断書や意見書等で対象となる障がい・疾病が確認できれば、市区町村の支給決定により利用できる可能性があります。判断は自治体により運用が異なるため、最終的にはお住まいの市区町村の障がい福祉課にご確認ください。

Q3. 65歳を超えても利用できますか?

原則として65歳までに支給決定を受けて利用していた方は、65歳以降も継続利用が認められるケースがあります。新規利用の場合や運用の詳細は自治体により異なるため、利用を希望される場合は事前に市区町村の障がい福祉課へご相談ください。なお、65歳以降は介護保険サービスとの優先関係(介護保険優先原則)もあわせて検討されることがあります。

まとめ

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに、自分のペースで働ける障がい福祉サービスです。利用期間に制限がなく、短時間からの利用も可能で、配慮ある環境で生産活動を続けられることが特徴です。
一方で、令和7年10月から、新規利用には原則として就労選択支援によるアセスメントが必要となるなど、制度面の動きも続いています。50歳以上の方や障害基礎年金1級受給者の方、就労経験のある方など、例外パターンに該当するかどうかも含めて、最新の情報を確認することが大切です。
事業所ごとに作業内容や雰囲気には大きな違いがあります。気になる事業所があれば、まずは見学や体験利用から始めてみることをおすすめします。制度の最新情報や個別の利用要件については、お住まいの市区町村の障がい福祉課や、相談支援事業所にご相談ください。
事業所運営の現場が直面する課題については就労継続支援B型の現状と課題を、当事者の本音については就労継続支援B型の利用者の悩みを、それぞれ別記事にまとめています。あわせてご参照いただくことで、制度の輪郭をより立体的に理解いただけます。

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所