はじめに

就労継続支援A型(以下、A型)は、障がいのある方が事業所と雇用契約を結び、支援を受けながら働く障害福祉サービスです。

令和6年度の報酬改定のあとには、A型事業所の閉鎖や利用者の解雇が相次いで報じられ、不安を感じている方もいるかもしれません。

令和9年4月からは、新たにA型を使う方も、原則として先に「就労選択支援」を利用する予定とされています。

令和8年(2026年)10月には、短時間で働く方の社会保険の加入要件も見直されました。

本記事では、就労継続支援A型について、対象となる方、年齢と手帳の扱い、働き方、給料と利用料、事業所の選び方を、法令と厚生労働省の資料をもとにわかりやすくご説明したいと思います。

A型の利用を考えているご本人とご家族に向けて書いていますが、制度を説明する立場の支援者の方にもお使いいただける内容です。

就労継続支援A型とは?

就労継続支援A型は、障害者総合支援法に基づき、事業所と雇用契約を結んで働く機会を提供する障害福祉サービスです。

利用者は事業所に雇われて働く労働者となり、賃金(給料)を受け取りながら、働く力を高めるための支援を受けます。

ここでは、法律上の位置づけ、要点の早見表、全国の事業所数と利用者数を順にご説明します。

障害者総合支援法での位置づけ

A型は、障害者総合支援法第5条第15項に定められた「就労継続支援」のうち、雇用契約を結ぶ類型です。

障害者総合支援法施行規則第6条の10第1号は、A型の対象を「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者であって雇用契約に基づく就労が可能であるもの」と、企業などで働きながら一時的に支援が必要な方としています。

事業所の運営の基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「指定基準」)第190条第1項は、A型の事業者は利用者と雇用契約を結ばなければならないと定めています。

A型の事業者は、社会福祉法人以外の場合は社会福祉事業を専ら行う者でなければならず、障害者雇用促進法の特例子会社であってはならないとされています(指定基準第189条)。

A型は「訓練等給付」に分類され、支給決定のときに障害支援区分の認定は行わないこととされています(厚生労働省: 介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)最終改正 令和8年7月。以下「事務処理要領」)。

サービスを提供する場所を「就労継続支援A型事業所」といい、「A型事業所」「A型作業所」とも呼ばれています。

法律の全体像は、障害者総合支援法とはでご説明しています。

A型の要点がわかる早見表

まず、A型の要点を1つの表にまとめます。

項目内容
雇用契約結ぶ(雇用契約を結ばずに利用する特例もある)
最低賃金原則として適用される(都道府県労働局長の許可による減額の特例がある)
主な対象通常の事業所に雇用されることは難しいが、雇用契約に基づいて働くことができる障がいのある方(企業などで働く方の一時的な利用もある)
年齢原則として18歳以上。65歳以上の方は、65歳になる前から続けてA型の支給決定を受けている場合に限られる(企業などで働いている方の一時的な利用を除く)
利用期間制限なし
収入賃金(全国平均は月額91,451円・令和6年度)
利用料所得に応じて1か月の上限額が決まる(0円の区分もある。事業所が減免している場合もある)
始め方事業所の採用と、市区町村の支給決定の両方が必要。令和9年4月以降に新たに使う方は、原則として先に就労選択支援を利用する予定
事業所数4,330事業所(国民健康保険団体連合会の令和8年4月実績)

それぞれの詳しい内容は、この先の節でご説明します。

全国の事業所数と利用者数

国民健康保険団体連合会(国保連)の令和8年4月実績では、A型は4,330事業所、利用者は87,251人です(厚生労働省: 第159回社会保障審議会障害者部会 資料3)。

厚生労働省の資料によると、A型の利用者数と事業所数は平成28年度まで大きく増え、平成29年度から伸びが収まりました(厚生労働省: 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料)。

令和7年度は、利用者数・事業所数ともに減少傾向にあるとされています。

同じ資料によると、令和7年12月の利用者の障がいの種類は、精神障がいのある方が53.5%、知的障がいのある方が32.1%、身体障がいのある方が13.3%でした。

年齢では、半数以上が40歳以上とされています。

事業所数は、使う統計によって数え方が異なります。

例えば、10月1日現在で数える社会福祉施設等調査では、令和6年のA型事業所は4,634か所です(厚生労働省: 令和6年社会福祉施設等調査)。

A型・B型の事業所数の推移や経営の状況は、就労継続支援B型の現状と今後でまとめています。

就労継続支援A型の対象者は?年齢と手帳の扱い

A型を使えるのは、厚生労働省が示す対象に当てはまり、市区町村の支給決定を受けた方です。

雇用契約を結ぶサービスのため、事業所の面接などの選考を経て採用されることも必要になります。

ここでは、対象となる方の例、雇用契約を結ばずに利用する場合、年齢、障害者手帳、令和9年4月からの扱いをご説明します。

対象となる方の4つの例

事務処理要領は、A型の対象として、次のような例を挙げています。

例内容
①就労移行支援を利用したが、企業などの雇用に結びつかなかった方
②特別支援学校を卒業して就職活動をしたが、企業などの雇用に結びつかなかった方
③企業などを離職した方など就労経験のある方で、現に雇用関係がない方
④企業などに雇用された後、労働時間を延ばすときや休職から復職するときに、一時的に支援が必要な方

④は、令和6年4月から始まった一般就労中の一時的な利用で、後半でご説明します。

身体・知的・精神(発達障がいを含む)の障がいのある方や、対象となる難病等のある方が利用できます。

どの例に当てはまるかを含め、利用できるかどうかは、市区町村が支給決定のなかで判断します。

雇用契約を結ばずに利用する場合

A型は雇用契約を結ぶのが原則ですが、雇用契約を結ばずに利用する特例もあります。

指定基準第190条第2項は、A型の事業者は、B型の対象となる方に、雇用契約を結ばずにA型を提供できるとしています(多機能型でB型を一体的に行う事業者を除く)。

事務処理要領は、将来は雇用契約に移ることが期待できる方のための仕組みとし、次の要件を示しています。

  • 雇用契約を結ぶ利用者の定員が10人以上であること
  • 雇用契約を結ばない利用者の定員が、利用定員の半数と9人を超えないこと
  • 雇用契約を結ぶ利用者と結ばない利用者の作業場所と作業内容を、はっきり分けること

雇用契約を結ばない利用者には賃金ではなく工賃が支払われ、1か月あたりの工賃の平均額は3,000円を下回ってはならないとされています(指定基準第192条第3項・第5項)。

年齢:18歳以上が原則、65歳以上は続けて利用している場合など

障害者総合支援法の「障害者」は18歳以上の方とされているため(法第4条第1項)、A型は原則として18歳以上の方が対象です。

65歳以上の方が、雇用契約に基づいて継続的に働くためにA型を使う場合について、事務処理要領は、次の2つにいずれも当てはまる方に限るとしています。

  • 65歳になる前の5年間(入院その他やむを得ない事由で支給決定を受けていなかった期間を除く)、引き続き障害福祉サービスの支給決定を受けていたこと
  • 65歳になる前日に、A型の支給決定を受けていたこと

札幌市の通知によると、この扱いは平成30年4月の国の制度改正によるものです(札幌市: 就労移行支援及び就労継続支援A型の利用に係る年齢要件の変更について)。

一方、企業などで働いている方の一時的な利用(④)については、事務処理要領は65歳以上の方も対象に含めています。

B型については、65歳以上でも新たに使える場合があり、年齢の扱いはA型とB型の違いの一つです。

B型の年齢の扱いは、就労継続支援B型とはでご説明しています。

18歳未満の方については、児童福祉法の附則に特例があります。

児童相談所長は、児童相談所が通告・送致を受けたり相談に応じたりした児童のうち15歳以上の方について、障害福祉サービスを利用することが適当と認めるときは、その旨を市町村長に通知できるとされています(児童福祉法附則第63条の2・第63条の3)。

18歳前後の進路や日中の過ごし方は、18歳の壁とはでまとめています。

障害者手帳がなくても使える場合

A型は、障害者手帳がなくても利用できる場合がありますが、その扱いは障がいの種類によって違います。

事務処理要領は、障がいの種類ごとに確認の方法を示しており、身体障がいは身体障害者手帳で確認します。

知的障がいは療育手帳で確認し、療育手帳がない場合は、市町村が必要に応じて知的障害者更生相談所に意見を求めて確認します。

精神障がい(発達障がいを含む)は、精神障害者保健福祉手帳のほか、自立支援医療受給者証(精神通院医療に限る)や医師の診断書などでも確認できるとされています。

対象となる難病等(令和7年4月1日から376疾病)のある方は、医師の診断書などで確認します(厚生労働省: 障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の見直しについて)。

確認書類の詳しい一覧は、就労継続支援B型とはの「障害者手帳がなくても使える場合」でまとめています。

令和9年4月から:新たに使う方は就労選択支援を先に利用する予定

令和7年10月から、新しくB型を使う方は、原則として先に就労選択支援を利用する仕組みになりました。

A型についても、令和9年4月以降に新たに利用する場合は、就労選択支援によるアセスメント(本人の希望や働く力、適性などの整理)を受けた方を対象とする予定とされています(厚生労働省: 就労選択支援の実施について)。

同じ通知は、令和9年4月以降の取扱いは改めて示すとしています。

令和8年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームでは、予定どおり令和9年4月から実施する案が示されました。

あわせて、令和9年4月からA型を利用する予定の方(主に特別支援学校の現3年生)は、令和8年度内の就労選択支援の利用を原則としない案も示されました。

いずれも検討段階の案です。

通知が対象としているのは、新たにA型を利用する場合です。

すでにA型を利用している方が支給決定を更新する場合についても、第64回では、将来的に、就労選択支援事業者によるアセスメントを受けた方を更新の対象とする案が示されましたが、これも検討段階の案です。

就労選択支援の対象と例外は就労選択支援の対象者は?で、在学中の扱いは特別支援学校の就労選択支援は何年生から?でご説明しています。

A型の仕事内容と働き方|労働時間・社会保険・在宅

A型では事業所と雇用契約を結ぶため、最低賃金法をはじめとする労働関係の法令が適用されます(厚生労働省: 第159回社会保障審議会障害者部会 資料3)。

働く時間や社会保険への加入も、雇用契約の内容によって変わります。

ここでは、仕事内容の例、労働時間、社会保険・雇用保険、在宅で働ける場合をご説明します。

仕事内容の例と施設外就労

A型事業所の仕事は、事業所が企業などから受けた仕事や、事業所が自ら行う事業によって決まります。

仕事の例には、次のようなものがあります。

  • 部品の組み立て、検品、袋詰め、梱包などの軽作業
  • データ入力や文書作成などのパソコン作業
  • オフィスや施設の清掃
  • 飲食店の運営や、食品の製造・加工
  • 野菜の栽培や出荷の準備などの農作業

事業所の職員と一緒に企業などへ出向いて作業する「施設外就労」に取り組む事業所もあります。

企業から事業所への発注では、仕事を工程に分け、事業所で受けられる部分を切り出して依頼することがあります。

複数の事業所で仕事をまとめて受ける仕組みは、共同受注窓口とはでご説明しています。

労働時間は雇用契約で決まる

A型での1日の労働時間や1週間の勤務日数は、事業所と結ぶ雇用契約で決まります。

雇用契約を結ぶときには、事業所から労働時間や賃金などの労働条件が示されます(労働基準法第15条)。

A型の基本報酬は、定員の規模や職員の配置に加え、「労働時間」「生産活動」などの評価項目の合計点(スコア)に応じて決まります(厚生労働省: 第159回社会保障審議会障害者部会 資料3)。

このうち労働時間の項目は、前年度に雇用契約を結んでいた利用者の1日の平均労働時間で評価されます。

事業所は、このスコアを、おおむね1年に1回以上、インターネットなどで公表しなければなりません(指定基準第196条の3)。

労働時間の点数は、1日の平均労働時間が「2時間未満」から「7時間以上」までの8つの区分で決まります(神戸市: 【就労継続支援A型事業所】スコア表の公表及び報告)。

神戸市が示している公表様式では、スコア表の実績の欄に、前年度の利用者の1日の平均労働時間数を書くこととされています(同)。

公表されたスコア表を見ると、その事業所の利用者が1日に平均何時間働いているかを確かめることができます。

年次有給休暇は、6か月続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、最初に10日が付与されます(労働基準法第39条)。

週の所定労働日数が4日以下で、かつ週の所定労働時間が30時間未満の方には、勤務日数に応じた日数が付与されます。

社会保険・雇用保険(2026年10月の見直し)

A型でも、要件を満たすと、健康保険・厚生年金保険や雇用保険に加入します。

健康保険・厚生年金保険には、正社員などの4分の3以上の時間・日数で働く方が加入します。

週の所定労働時間が20時間以上、勤め先の従業員数が51人以上、学生でないといった要件を満たす短時間労働者も加入します(日本年金機構)。

令和8年(2026年)10月1日には、短時間労働者の要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件がなくなりました。

一方で、最低賃金の減額の特例の許可を受けていて、所定内賃金が月額8.8万円未満の方(特定減額特例対象者)は、原則として加入の対象になりません。

ただし、特定減額特例対象者の方も、申出をすれば加入することができます。

雇用保険は、原則として、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上続けて雇用される見込みのある方が対象です(雇用保険法第6条)。

令和10年(2028年)10月1日からは、雇用保険の週の所定労働時間の基準が「10時間以上」に変わります(厚生労働省: 令和6年雇用保険制度の改正内容について)。

加入の対象になるかは、勤務先のほか、年金事務所やハローワークで確かめられます。

在宅で働ける場合の要件

A型も通所が基本ですが、在宅で利用できる場合があります。

厚生労働省の通知「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」は、在宅での利用を希望し、支援の効果が認められると市町村が判断した方が、在宅で利用できるとしています。

そのうえで、作業や訓練のメニューの確保、1日2回の連絡と日報の作成、1週間に1回の評価、原則として月1日の訪問または通所による評価などの要件を示しています。

令和8年4月13日には、厚生労働省が在宅支援の要件を守るよう求める事務連絡を出し、本人の同意に加え、支援の効果が認められるかどうかを市町村があらかじめ判断する必要があるとしています(厚生労働省: 就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における在宅支援の要件遵守の徹底について)。

同じ事務連絡では、在宅支援を令和9年度の報酬改定で見直すことを検討していることにも触れています。

要件の一覧は、就労継続支援B型とはの「在宅で利用できる場合の要件」でまとめています。

A型の給料はいくら?平均賃金・決まり方と利用料

A型では、雇用契約に基づいて賃金(給料)が支払われます。

賃金の額は事業所や働く時間によって違いますが、最低賃金や賃金の支払い方には国の基準があります。

ここでは、全国平均の額、賃金の決まり方、利用料、生活費の考え方をご説明します。

全国平均は月91,451円(令和6年度)

厚生労働省によると、令和6年度のA型の全国平均賃金は月額91,451円で、前年度の105.4%でした(厚生労働省: 令和6年度工賃(賃金)の実績について)。

集計の対象は4,220事業所です。

この調査の賃金には、賃金・給与・手当・賞与など、名称を問わず事業所が利用者に支払うすべてのものが含まれます。

この平均は厚生労働省の集計による全国の平均で、利用者一人ひとりの受取額をそのまま平均した額と一致するとは限りません。

都道府県別では、高い順に東京都111,818円、広島県107,968円、島根県107,724円で、低いのは秋田県73,802円、宮崎県78,410円などでした(同)。

厚生労働省のページに掲載されているのは、令和8年10月29日時点で令和6年度の実績までです。

実際の給料は時給と働く時間で決まるため、見学や面接で両方の見込みを確かめておくと安心です。

給料の決まり方:最低賃金と指定基準第192条

A型の賃金には最低賃金法が適用され、原則として、都道府県ごとの最低賃金額以上の賃金が支払われます。

令和8年度の地域別最低賃金は、改定額の全国加重平均が1,177円で、令和8年10月1日から12月2日までの間に都道府県ごとに順次発効します(厚生労働省: 令和8年度最低賃金額答申)。

ただし、「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」などについては、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた場合に、最低賃金を減額できる特例があります(最低賃金法第7条)。

賃金の支払い方については、指定基準第192条が次のように定めています。

  • 利用者が自立した生活を送れるよう、賃金の水準を高めるよう努めること(第1項)
  • 生産活動の収入から必要な経費を引いた額が、利用者に支払う賃金の総額以上となるようにすること(第2項)
  • 賃金の支払いに、原則として自立支援給付(国や自治体から事業所に支払われる給付費)を充てないこと。災害その他やむを得ない理由がある場合を除く(第6項)

つまり、A型の賃金は、原則として事業所の仕事(生産活動)の売上でまかなう仕組みです。

第2項の基準は平成29年度から指定基準に置かれ、基準を満たしていない事業所には、指定権者である自治体が経営改善計画書を出させることとしています(厚生労働省: 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料)。

利用料:1割負担と月の上限、事業所による減免

A型も障害福祉サービスのため、サービスの費用の1割を利用者が負担するのが原則で、所得に応じて1か月の上限額が決まっています(厚生労働省: 障害者の利用者負担)。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満。入所施設利用者(20歳以上)・グループホーム利用者を除く)9,300円
一般2上記以外37,200円

18歳以上の方(施設に入所する18歳・19歳の方を除く)の場合、所得を判断する世帯の範囲は、本人とその配偶者です。

そのため、親と同居していても、親の収入は判定に含まれません。

A型には、このほかに事業所による利用者負担の減免の仕組みがあります。

厚生労働省の通知「就労継続支援A型事業における利用者負担減免事業実施要綱について」(平成19年7月31日 障発第0731001号)は、事業者が、その判断と負担で利用者負担を減免できるとしています。

減免の対象は雇用関係のある利用者に限られ、雇用関係のある方全員に同じ措置をとることとされています。

減免を行う事業者は、事業所の指定を受けた都道府県知事に届け出ることとされています。

減免しているかどうかは事業所によって違うため、見学や面接のときに確かめておくとよいでしょう。

昼食代など、利用料とは別に実費がかかる場合もあります。

生活費の考え方(障害年金・生活保護)

A型の賃金だけで生活費をまかなえるかどうかは、働く時間や住む地域、家族の状況などによって変わります。

障害年金や生活保護など、ほかの制度とあわせて生活を考える方もいます。

障害年金を受けられるかどうかや金額は、日本年金機構が個別に審査します。

働きながら障害年金を受け取る場合の考え方は、働きながら障害年金は受け取れる?でまとめています。

障害年金については、社会保険労務士へのご相談をおすすめします。

当サイトと連携している全国障害年金サポートセンター(わくわく社会保険労務士法人)で相談することもできます。

生活保護については、お住まいの地域の福祉事務所が窓口です。

利用開始までの流れと事業所の選び方

A型を使い始めるには、事業所の採用と市区町村の支給決定の両方が必要です。

運営の状況は事業所ごとに違うため、見学や面接で確かめておきたいこともあります。

ここでは、利用開始までの6ステップ、「やめとけ」と言われる背景、見学・面接で確かめたいことをご説明します。

相談から利用開始までの6ステップ

A型を使い始めるまでの流れは、おおむね次のとおりです。

順番や必要な書類は市区町村や事業所によって違うため、最初に窓口で確認しておくと安心です。

  1. 相談する:市区町村の障害福祉の窓口や相談支援事業所に、A型を使いたいことを伝える
  2. 見学・体験をする:気になる事業所を見学し、仕事の内容や雰囲気を確かめる
  3. 事業所の選考を受ける:雇用契約を結ぶため、履歴書の提出や面接などの選考がある
  4. 利用を申請し、サービス等利用計画案を出す:市区町村に支給を申請し、計画案を相談支援事業所に作成してもらうか、自分で作成する(セルフプラン)
  5. 暫定支給決定を受けて利用を始める:2か月以内の期間を定めた支給決定(暫定支給決定)を受け、受給者証が交付されたら、事業所と契約して利用を始める
  6. 正式な支給決定を受ける:暫定支給決定の期間の利用の結果を踏まえて、正式な支給決定が行われる

暫定支給決定は、本人が続けて利用したいかと、利用が適切かどうかを確かめるための期間を設けた支給決定です(事務処理要領)。

暫定支給決定期間に行うアセスメントと同等のアセスメントがすでに行われていると市町村が認めた場合などは、暫定支給決定が行われないこともあります(同)。

令和9年4月以降に新たにA型を使う方は、この流れのなかで、先に就労選択支援を利用する予定です(就労選択支援の中身は就労選択支援の期間と流れ)。

計画の作り方は計画相談支援とはとセルフプランとは?で、相談先は相談支援事業所とはでご説明しています。

「やめとけ」と言われる背景と、数字で見る現状

A型について調べると、「やめとけ」「潰れる」といった言葉を目にすることがあります。

背景の一つは、A型の賃金を原則として生産活動の売上でまかなう仕組みのなかで、売上が賃金に届かない事業所があることです。

令和6年度の報酬改定では、経営状況の改善や一般就労への移行を促すため、スコアの「労働時間」や「生産活動」の配点が高くされました(厚生労働省: 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料)。

改定後の令和6年3月から7月に、全国で329のA型事業所が閉鎖し、少なくとも約5,000人の利用者が解雇や退職となったと、2024年8月13日に共同通信が報じています。

令和6年度にハローワークが把握した障がいのある方の解雇者は9,312人で、そのうちA型の利用者は7,292人でした(厚生労働省: 障害者の解雇者数について(令和6年度))。

ただし、この7,292人は、各月に10人以上の解雇が起きたA型事業所に限った数です。

令和7年4月末時点では、そのうち2,171人の再就職が決まり、3,834人がB型事業所などに移ったか移る予定とされています(同)。

令和7年度にハローワークに届け出のあった障がいのある方の解雇者数(A型の利用者に限りません)は3,692人で、前年度の9,312人から減っています(厚生労働省: 令和7年度 障害者の職業紹介状況等)。

一方で、経営状況が赤字の事業所の割合は、令和5年度の37.4%から令和6年度は19.3%に下がったとされています(厚生労働省: 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料)。

同じ資料によると、令和7年3月末時点で生産活動の収益が賃金総額を下回る774事業所のうち、94.8%が経営改善計画書を出しています。

こうした数字からは、A型全体を一律に「危ない」とも「心配ない」とも言えず、事業所ごとに確かめることが大切です。

見学・面接で確かめたい6つのこと

運営の状況は、見学や面接である程度確かめられます。

次の6つを目安に、気になることは事業所に質問してみましょう。

  1. 雇用契約の内容:1日と1週間の労働時間、時給、契約期間と更新の有無
  2. スコアの公表:ホームページなどで公表されているスコア表(指定基準第196条の3)。公表していない場合は、解消するまで利用者全員について報酬(所定単位数)が15%減算される。新規指定の事業所は、スコアを算出できない初年度(年度の途中に指定された場合は2年度目まで)は公表しなくてよい(いずれも神戸市の案内)
  3. 生産活動の内容と収支:どのような仕事で売上を得ているか、経営改善計画書を作っているか
  4. 利用者負担の減免:事業所が減免を行っているか
  5. 一般就労への支援:実習先の確保、求職活動の支援、就職後の相談の継続(指定基準第193条〜第195条)
  6. 通勤と在宅:通勤の方法、送迎の有無、在宅で働けるか

A型で利用者として働いた経験は、B型を知る元支援員がA型で働いて感じたことで紹介しています。

B型・就労移行支援との違いと、一般就労への移行

A型・B型・就労移行支援は、いずれも障害者総合支援法に基づく就労系の障害福祉サービスですが、目的と働き方が異なります。

どれが合うかは、雇用契約を結んで働くことができるか、すぐに一般就労を目指すかなど、本人の目的によって変わります。

ここでは、3つのサービスの比較、A型から一般就労への移行、一般就労中の一時的な利用をご説明します。

3つのサービスの比較表

3つのサービスの主な違いは次のとおりです。

項目就労継続支援A型就労継続支援B型就労移行支援
雇用契約結ぶ(結ばずに利用する特例もある)結ばない結ばない
収入賃金(給料)工賃原則としてなし(工賃が支払われる場合もある)
最低賃金法原則として適用される適用されない原則として対象外
目的雇用契約に基づいて働き、一般就労に向けた支援も受ける生産活動などを通じて働く力を保ち、高める一般就労を目指して訓練を受ける
利用期間制限なし制限なし標準24か月(市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に限り、最大1年の更新)
65歳以上65歳になる前の5年間、障害福祉サービスの支給決定を受けていて、65歳の前日にA型の支給決定を受けていた方は、引き続き利用できる施行規則のB型の規定に年齢の上限はない65歳になる前の5年間、障害福祉サービスの支給決定を受けていて、65歳の前日に就労移行支援の支給決定を受けていた方は、引き続き利用できる
事業所数4,33020,4012,724

※事業所数と65歳以上の欄は、厚生労働省: 第159回社会保障審議会障害者部会 資料3(事業所数は国保連 令和8年4月実績)。

それぞれのサービスは、就労継続支援B型とはと就労移行支援とはで詳しくご説明しています。

A型から一般就労へ:令和6年は5,998人(利用終了者の29.2%)

厚生労働省の資料によると、A型から一般就労に移った方は、令和6年は5,998人でした(厚生労働省: 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料。出典は社会福祉施設等調査)。

この数は、各年の10月1日時点で、前年1年間の実績を集計したものとされています(同)。

A型の利用を終えた方のうち一般就労に移った方の割合は、令和6年は29.2%で、前年より増えています(同)。

この割合の分母は利用を終えた方で、A型を利用しているすべての方の就職率ではありません。

同じ年の割合は、就労移行支援が60.2%、B型が11.8%でした。

A型の事業者は、利用者が就職した日から6か月以上、職業生活の相談などの支援を続けるよう努めることとされています(指定基準第195条第1項)。

本人が就労定着支援の利用を希望する場合は、その事業者との連絡調整に努めることとされています(同条第2項)。

就労定着支援は、就労系のサービスなどを利用して一般就労した方が、就職から6か月を過ぎてから使えるサービスで、利用できるのは最長3年間です。

一般就労中でもA型を一時的に使える3つの場合

令和6年4月から、企業などで働いている方も、決められた場合にはA型を一時的に利用できるようになりました(障害者総合支援法第5条第15項)。

厚生労働省の資料は、A型の一時的な利用を次の3つに整理しています(厚生労働省: 第159回社会保障審議会障害者部会 資料3)。

類型どんな場合か利用期間
労働時間延長支援型企業などでの働き始めに、概ね週10時間以上20時間未満から段階的に労働時間を延ばしていく場合。就職前に利用していた事業所を引き続き利用する原則3か月から6か月以内(延長が必要な場合は合計1年まで)
復職支援型休職から復職を目指す場合企業の定める休職期間の終了まで(上限2年)
就労継続支援短時間型A型などの利用者(通常の事業所に雇用されることが難しい方)が、企業などで概ね週10時間未満を目安に、非常勤のような形態で一般就労している場合特段の定めなし

復職支援型は、勤め先などによる復職支援が見込めない、または難しい場合で、本人が復職を希望し、勤め先と主治医が適当と判断しているなどの条件を満たすときに使えるとされています(同)。

一時的な利用ができるかどうかは、働く時間や状況をもとに市区町村が判断します。

休職中の方の復職支援には、医療機関や地域障害者職業センターなどで行われるリワークもあります。

就労継続支援A型のよくある質問

A型について、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1. A型とB型、どちらがきついですか?

どちらがきついかは、人によっても事業所によっても違うため、一概には言えません。

A型は雇用契約を結ぶため、決められた勤務時間に働くことや、休むときの連絡など、働く人としての決まりがあります。

B型は雇用契約がないため、通う日数や時間を相談しやすい一方で、工賃の全国平均は月額24,141円(令和6年度)と、A型の賃金より低い水準です。

見学や体験で実際の一日を確かめることが、判断の手がかりになります。

Q2. 誰でも入れますか?面接に落ちることはありますか?

A型を使うには、市区町村の支給決定と、事業所の採用の両方が必要です。

雇用契約を結ぶため、履歴書や面接などの選考があり、事業所の判断で採用されないこともあります。

採用されなかった場合も、ほかの事業所を探したり、相談支援専門員と一緒にB型や就労移行支援など別のサービスを考えたりする方法があります。

Q3. アルバイトや副業と掛け持ちできますか?

A型は事業所に雇われて働くため、ほかの仕事と掛け持ちできるかは、まず事業所の就業規則や雇用契約で決まります。

企業などで働いている方がA型を使えるのは、一時的な利用の3つの類型に当てはまる場合などで、市区町村が支給決定のなかで判断します。

掛け持ちを考えている場合は、働き始める前に、事業所と市区町村の窓口に伝えて確認しておくことが大切です。

Q4. A型で働くと障害年金は止まりますか?

障害年金を受けられるかどうかや等級は、日本年金機構が個別に審査します。

A型で働くことが障害年金にどう影響するかは、障がいの状態や働き方などによって異なるため、一概には言えません。

障害年金については、社会保険労務士へのご相談をおすすめします。

Q5. 事業所が閉鎖されたら、どうなりますか?

A型の事業者は、事業をやめたり休んだりする日の1か月前までに、指定を受けた都道府県知事などに届け出なければなりません(障害者総合支援法第46条第2項)。

届け出た事業者は、届出の日前1か月以内に利用していた方で、引き続き同じようなサービスを希望する方に、ほかの事業者との連絡調整などの便宜を図らなければなりません(同法第43条第4項)。

雇用契約を結んでいるため、解雇には、少なくとも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払いが必要とする労働基準法のルールも関わります(労働基準法第20条)。

解雇や賃金で困ったときは労働基準監督署へ、個別の労働トラブルについては弁護士へのご相談をおすすめします。

次の事業所探しは、相談支援事業所や市区町村の障害福祉の窓口で相談できます。

Q6. A型はなくなるのですか?今後はどうなりますか?

A型は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスです。

令和8年4月には、A型などを利用して一般就労し、6か月以上働き続けている方がいる事業所を評価する加算(就労移行支援体制加算)について、1つの事業所で算定できる年間の就職者数を定員数までとするなどの見直しが行われました(厚生労働省: 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について)。

同じ利用者がA型事業所と企業の間で離職と就職を繰り返し、そのたびに加算を取る使い方が報じられたことへの対応とされています。

令和8年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームでは、令和9年度の報酬改定に向けて、A型のスコアの見直しが論点になりました。

資料では、「労働時間」「生産活動」の割合を下げ、障がいの程度や事業の透明性を評価する項目を加えるといった見直しのイメージが示されましたが、これは検討段階の案です。

A型・B型の事業所数の推移は、就労継続支援B型の現状と今後でまとめています。

Q7. 合わないとき・辞めたいときは?

まずは、事業所の職員や担当の相談支援専門員に、合わないと感じていることを伝えてみるのが一つの方法です。

仕事の内容や時間の調整、別のA型事業所への変更、B型や就労移行支援への切り替えを考えることもできます。

A型を辞めることは雇用契約を終えることでもあるため、退職の申し出の時期などは、就業規則や雇用契約で確かめておきましょう。

まとめ

ここまでの内容を、要点に絞って振り返ります。

  • 就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結んで働く障害福祉サービスで、最低賃金は原則として適用されます(減額の特例があります)
  • 対象は、雇用契約に基づいて働くことができる障がいのある方で、事業所の採用と市区町村の支給決定の両方が必要です
  • 原則として18歳以上が対象で、65歳以上の方は、65歳になる前から続けてA型の支給決定を受けている場合に限られます(企業などで働いている方の一時的な利用を除く)
  • 令和6年度の全国平均賃金は月額91,451円で、利用料は所得に応じた上限があり、事業所が減免している場合もあります
  • 新たにA型を使う方は、令和9年4月以降、原則として先に就労選択支援を利用する予定です
  • 事業所を選ぶときは、雇用契約の内容、スコアの公表、生産活動の状況、一般就労への支援を、見学や面接で確かめることが大切です

制度は報酬改定などで変わる可能性があるため、最新の情報は厚生労働省のサイトや、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

参考資料

本記事は、次の法令と厚生労働省などの資料をもとに作成しています。

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所