相談支援専門員と介護支援専門員(ケアマネジャー)は、どちらも利用者の相談に応じ、サービスを組み合わせた計画を作る仕事です。名前も役割も似ているため、介護の現場で働く方が「ケアマネとどちらが難しいのか」「今の経験は使えるのか」と迷われることもあると思います。
2つの職種は、よりどころとなる法律、作る計画、なり方が違います。特に、ケアマネジャーには試験があり、相談支援専門員には試験がありません。
本記事では、相談支援専門員とケアマネジャーの違いを、法律・告示・国の通知に沿って、わかりやすくご説明したいと思います。あわせて、障害福祉サービスのサービス管理責任者(以下、サビ管)との違いや、65歳を迎える方の支援で2つの職種がどう関わるかも取り上げます。
相談支援専門員とケアマネジャーの違い【一覧表】
相談支援専門員は障害福祉サービス、ケアマネジャーは介護保険の制度の中で、利用者の相談に応じて計画を作る専門職です。役割は似ていますが、よりどころとなる法律、支援する相手、作る計画、なり方が異なります。まず一覧表で全体を比べ、そのうえで共通点と、名前の似た職種との区別を整理します。
一覧表で比べる
2つの職種の主な違いは、次のとおりです。
| 項目 | 相談支援専門員 | 介護支援専門員(ケアマネジャー) |
|---|---|---|
| 主な根拠法 | 障害者総合支援法・児童福祉法 | 介護保険法(定義は第7条第5項) |
| 支援する相手 | 主に、障害福祉サービスを使う障がいのある方と、障害児通所支援を使う障がいのある子ども | 要介護者・要支援者 |
| 作る計画 | サービス等利用計画・障害児支援利用計画 | 居宅サービス計画(ケアプラン)、施設サービス計画など |
| 主な職場 | 特定相談支援事業所・障害児相談支援事業所など | 居宅介護支援事業所、介護保険施設など |
| なり方 | 告示が定める実務経験と、相談支援従事者初任者研修の修了(試験はない) | 受験資格を満たして試験に合格し、実務研修を修了して、都道府県知事の登録と介護支援専門員証の交付を受ける |
| なった後の研修 | 5年度ごとの期限までに相談支援従事者現任研修を修了する(初回の受講には、前5年間に通算2年以上の相談支援等の実務が必要) | 介護支援専門員証の有効期間は5年で、更新には原則として更新研修が必要(有効期間を廃止する改正法が公布済み・施行前) |
| モニタリング | 使うサービスや状況を勘案して市町村が定める期間ごと(施行規則に1か月・3か月・6か月の区分がある) | 居宅介護支援:特段の事情がない限り、少なくとも1か月に1回、利用者に面接する(原則は居宅を訪問)。介護予防支援(要支援者):3か月に1回以上、原則として居宅を訪問して面接する。どちらも、条件を満たせばテレビ電話装置等の活用も可 |
| 利用者の負担 | 計画相談支援給付費の額は、国の基準で算定した費用の額とされ、利用者負担は発生しないと案内されている | 居宅介護サービス計画費は、利用者負担を求めない「10割給付」 |
表の内容は、令和8年10月時点の制度です。介護予防支援でも、訪問しない月は可能な限り事業所を訪問するなどして面接するよう努め、できない場合は電話などで連絡を取ります。モニタリングの結果は、少なくとも1か月に1回記録します(指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準 第30条第16号)。ケアマネジャーの有効期間の廃止については、後半でご説明します。
共通点:本人の相談に応じ、サービスを組み合わせる
どちらの職種も、本人や家族の話を聞いて、困りごとや希望を整理します(アセスメント)。そのうえで、使うサービスを組み合わせた計画を作り、事業所や市区町村と連絡を取ります。利用が始まった後も、定期的に状況を確かめて計画を見直します(モニタリング)。関係者が集まる「サービス担当者会議」を開くことも共通しています。
「生活相談員」「支援相談員」「相談支援員」は別の職種
名前の似た職種もあり、検索すると別の職種の解説が出てくることがあります。ここで整理しておきます。
- 生活相談員:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や特定施設入居者生活介護などで、相談に応じる職員
- 支援相談員:介護老人保健施設で、相談に応じる職員
- 相談支援員:令和6年度に創設された障害福祉サービスの職種。社会福祉士・精神保健福祉士が、相談支援専門員の要件を満たす前から、一定の相談支援事業所で業務の一部に従事できる
- 主任相談支援員:生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業に置かれる職員
このうち生活相談員・支援相談員・主任相談支援員は、相談支援専門員とともに、ケアマネジャーの受験資格となる「相談援助業務」の一覧に並んでいます(東京都「令和8年度介護支援専門員実務研修受講試験」別表2)。相談支援員は、別の記事で詳しく扱う予定です。
相談支援専門員の仕事の全体像は、相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件でご説明しています。
相談支援専門員とケアマネジャーの根拠法と作る計画の違い
2つの職種の違いは、組み合わせる制度の違いから生まれています。相談支援専門員は障害者総合支援法・児童福祉法の、ケアマネジャーは介護保険法の仕組みの中で働きます。ここでは、それぞれの法律が定める計画と、費用の扱いを比べます。
相談支援専門員:障害者総合支援法の「サービス等利用計画」
相談支援専門員の中心となる仕事は「計画相談支援」です。障害者総合支援法は、計画相談支援を「サービス利用支援」と「継続サービス利用支援」の2つとしています(同法第5条第19項)。
サービス利用支援では、市町村が支給を決める前に「サービス等利用計画案」を作ります。支給が決まった後は、事業者と連絡調整をして「サービス等利用計画」を作ります(同条第23項)。継続サービス利用支援は、決められた期間ごとに計画を見直すもので、モニタリングとも呼ばれます(同条第24項)。期間は市町村が定め、施行規則に1か月・3か月・6か月の区分があります(同法施行規則第6条の16)。
障がいのある子どもが児童発達支援や放課後等デイサービスを使うときは、児童福祉法の「障害児相談支援」として「障害児支援利用計画」を作ります。
費用の面では、計画相談支援給付費の額は、国の基準により算定した費用の額とされています(障害者総合支援法第51条の17第2項)。介護給付費のように利用者負担の分を差し引く仕組みではなく、自治体の案内でも、利用者負担は発生しないと説明されています(京都市「計画相談支援に関するQ&A」)。計画相談支援の詳しい流れは、別の記事で扱う予定です。
相談支援事業所の種類や探し方は、相談支援事業所とは|3つの種類と利用の流れ・探し方をわかりやすく解説をご覧ください。
ケアマネジャー:介護保険法の「ケアプラン」
介護保険法は、介護支援専門員を、要介護者・要支援者の相談に応じ、その人に合った介護保険のサービスを使えるよう、市町村や事業者との連絡調整などを行う者で、介護支援専門員証の交付を受けたものと定めています(介護保険法第7条第5項)。
在宅で暮らす方の場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが「居宅サービス計画(ケアプラン)」を作ります。
居宅介護支援のモニタリングは、特段の事情がない限り、少なくとも1か月に1回、利用者に面接して行います。面接は原則として居宅を訪問して行います。令和6年度からは、利用者の同意など一定の条件を満たせば、少なくとも2か月に1回の訪問と、テレビ電話装置等を使った面接を組み合わせることもできます(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第14号)。
費用の面では、ケアプランの作成などの費用(居宅介護サービス計画費)は、利用者負担を求めない「10割給付」です(介護保険法第46条第2項、厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会 資料)。どちらの計画も、作成に自己負担はかからない仕組みです。
障がいのある方が、両方の制度を使うこともある
障がいのある方が、障害福祉サービスと介護保険の両方の対象になることがあります。主に65歳を迎えたときです。40歳以上65歳未満の医療保険加入者でも、要介護状態の原因が特定疾病による場合は介護保険の給付の対象となり、介護保険が優先されます(厚生労働省の適用関係通知)。このとき、2つの職種は同じ方の支援で関わり合います。流れは、後半の「65歳を迎えるとき」でご説明します。
相談支援専門員とケアマネはどっちが難しい?なり方と研修の違い
「相談支援専門員とケアマネジャーはどっちが難しいか」は、よく聞かれる質問です。ただ、2つの職種は要件の組み立て方が違うため、一概には比べられません。違いがはっきりしているのは、試験があるかどうかと、要件の仕組みです。ここでは、なり方と、なった後に続く研修を順に比べます。
ケアマネジャー:受験資格→試験→実務研修→登録
ケアマネジャーになるには、試験に合格する必要があります。流れは次のとおりです。
- 受験資格を満たす:医師・看護師・社会福祉士・介護福祉士などの法定資格に基づく業務、または相談援助業務に通算5年以上従事する(介護保険法施行規則第113条の2)。あわせて、従事した日数が900日以上必要です(国の実施要綱「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」)
- 都道府県が行う介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
- 介護支援専門員実務研修を修了する
- 都道府県知事の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受ける(介護保険法第69条の2・第69条の7)
令和7年度の第28回試験は、受験者50,601人、合格者12,961人で、合格率は25.6%でした(厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況」)。令和8年度の第29回試験は10月11日に行われ、合格発表は11月24日の予定と案内されています(東京都)。
相談支援専門員:試験はなく、実務経験と初任者研修の修了
相談支援専門員には、試験も合格率もありません。要件は、国の告示が定める実務経験と、都道府県が行う相談支援従事者初任者研修の修了の2つです(平成24年厚生労働省告示第227号)。
実務経験の年数は、どの業務に就いていたかで変わります。相談支援の業務なら通算5年以上、介護などの直接支援の業務なら、資格によって通算5年以上または10年以上です。国家資格等に基づく業務が通算5年以上ある方は、相談支援や介護などの業務が通算3年以上で要件を満たします。
年数は、期間と日数の両方で数えます。5年なら、期間が通算5年以上、かつ実際に従事した日数が合計900日以上です(千葉県「相談支援専門員の要件となる実務経験について」)。1年ごとに180日が必要なわけではなく、180日に満たない年があってもかまいません(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」問16)。初任者研修は、国の標準で42.5時間に実習を加えた内容です。
資格ごとの年数と研修の流れは相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れ、実務経験の数え方は相談支援専門員の実務経験一覧表|職場別の年数・900日・証明書、初任者研修の日数や費用は相談支援従事者初任者研修は何日?費用・受講資格と2日課程でご説明しています。
なった後の研修:ケアマネの更新と、相談支援専門員の現任研修
なった後も、どちらの職種にも研修が続きます。ただし、その仕組みは異なります。
ケアマネジャーの介護支援専門員証の有効期間は5年です。更新するには、原則として更新研修を受ける必要があります(介護保険法第69条の7第3項・第69条の8)。
この仕組みは変わることが決まっています。令和8年6月19日に成立し、6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により、介護支援専門員証の有効期間は廃止されます。代わりに、研修の受講が義務づけられ、受講しない人には都道府県知事が受講を命じ、従わない場合は1年以内の期間を定めて業務を禁止できる仕組みになります(改正後の介護保険法第69条の34・第69条の38)。
施行日は、公布の日から1年6か月を超えない範囲で政令が定める日です。関係政令の整備に関する政令案の概要では、施行期日を令和9年12月1日としています(e-Govパブリック・コメント。意見募集は令和8年10月7日に終了)。施行までは、現行の5年ごとの更新が続きます。
相談支援専門員は、初任者研修を修了した年度の翌年度から数えて、5年度ごとの年度末までに相談支援従事者現任研修を修了する必要があります(告示第227号第二号)。初めて現任研修を受けるときは、受講を始める日の前5年間に、相談支援などの業務に通算2年以上従事していることが求められます(同)。期限までに修了しなかった場合は、改めて初任者研修を修了しなければ相談支援専門員として従事できないと、大阪府は案内しています。
現任研修の期限の数え方は、相談支援従事者現任研修|5年度ごとの期限早見表と受講要件でご説明しています。
ケアマネから相談支援専門員へ、相談支援専門員からケアマネへ
2つの職種は、片方の経験がもう片方の要件になる関係にあります。ケアマネジャーとして働いた期間は相談支援専門員の実務経験に、相談支援専門員として働いた期間はケアマネジャーの受験資格に数えられます。それぞれの条件を確認しておきましょう。
ケアマネジャーの経験は、相談支援専門員の実務経験になる
相談支援専門員の実務経験の告示は、「相談支援の業務」に従事した期間に数える職場として、介護保険法の居宅介護支援事業と介護予防支援事業を挙げています(告示第227号第一号ロ(一))。これらの事業所で相談支援の業務に従事した期間が通算5年以上、かつ実際に従事した日数が合計900日以上あれば、実務経験の要件を満たします。各年に180日以上従事している必要はありません(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」問16)。
地域包括支援センターの相談業務(介護予防支援事業を除く)についても、国のQ&Aは、居宅介護支援事業・介護予防支援事業に準ずるものとして認めて差し支えないとしています(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」問21、令和7年3月18日)。
ただし、どの期間が実務経験に当たるかを判断するのは、研修を行う都道府県や、事業所を指定する自治体です。職場の名前だけで決まるわけではないため、勤務先(予定)がある都道府県の実務経験の一覧表と、証明書の様式を確認してください。職場ごとの年数は、相談支援専門員の実務経験一覧表|職場別の年数・900日・証明書で整理しています。
なお、ケアマネジャーであることを理由に、初任者研修の科目を免除する定めは、確認した国の通知(「相談支援従事者研修事業の実施について」令和元年・令和5年の改正版)には見当たりませんでした。
相談支援専門員の経験は、ケアマネジャーの受験資格になる
反対に、相談支援専門員として働いた期間は、ケアマネジャーの受験資格になります。受験資格の「相談援助業務」には、計画相談支援と障害児相談支援の相談支援専門員が挙げられています(介護保険法施行規則第113条の2第2号ロ、東京都 別表2)。従事した期間が通算5年以上、かつ従事した日数が900日以上必要です。
国家資格を持っていない方でも、相談支援専門員として5年以上・900日以上の経験を積めば、受験資格を満たすことになります。
受験資格の見直しも議論されています。令和7年12月25日の社会保障審議会介護保険部会の意見では、受験要件の実務経験を5年から3年に見直すことが適当とされました。令和8年度(第29回)の試験は5年・900日以上の要件で行われており、見直しがいつの試験から適用されるかは、確認した範囲では示されていません。
65歳を迎えるとき:介護保険への移行と相談支援専門員・ケアマネの連携
障害福祉サービスを使っている方が65歳になると、介護保険の対象にもなります。障害福祉サービスが使えなくなるのではと心配される方もいますが、国の通知は、一律に介護保険へ切り替えるものではないとしています。ここでは、介護保険との関係のルールと、2つの職種の引き継ぎをご説明します。
原則は介護保険が優先。ただし一律ではない
障害者総合支援法第7条は、介護保険の給付など、自立支援給付に相当する給付を受けられるときは、その限度で自立支援給付を行わないと定めています。このため、介護保険に同じようなサービスがある場合は、介護保険が優先されます。
ただし、厚生労働省の適用関係通知(平成19年3月28日、最終改正 平成27年3月31日)は、「一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしない」としています。市町村は申請者の利用の意向を聴き取り、必要な支援を介護保険で受けられるかを判断します。
同じ通知は、次のような場合に障害福祉サービスを支給できるとしています。
- 介護保険にないサービス(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援など)を使う場合
- 区分支給限度基準額の制約から、介護保険のサービスだけでは必要な支援を確保できない場合
- 身近に介護保険の事業所がない、または定員に空きがない場合
- 要介護認定で非該当となった場合
令和5年6月30日の事務連絡も、就労系の障害福祉サービスや自立訓練(生活訓練)は「障害固有のサービス」で、65歳以降も利用できるとしています。ただし、就労移行支援と就労継続支援A型は原則として65歳未満が対象です。65歳以降に使えるのは、65歳になる前の5年間、引き続き障害福祉サービスの支給決定を受け、65歳の前日にそのサービスの支給決定を受けていた場合などに限られます(就労移行支援は障害者総合支援法施行規則第6条の9、A型は平成18年厚生労働省告示第523号)。就労継続支援B型には、年齢の定めがありません。個別の支給の判断は、お住まいの市区町村が行います。
それぞれのサービスの対象者は、就労移行支援とは|対象者・期間・料金をわかりやすく説明します、就労継続支援A型とは|対象・給料・選び方をわかりやすく説明します、就労継続支援B型とはでご説明しています。
65歳になる前から始まる準備と引き継ぎ
65歳を迎える方の支援では、相談支援専門員が早めに準備を始め、ケアマネジャーへ情報を引き継ぐことが求められています。
平成27年2月18日の厚生労働省の事務連絡は、65歳になる前の適切な時期から、要介護認定の申請を案内するよう求めています。65歳になる日の3か月前から申請を受け付け、65歳になる日に認定することも、運用上可能とされています。サービス担当者会議などを活用して、相談支援専門員と介護支援専門員が随時情報を共有することも求めています。
令和5年6月30日の事務連絡は、相談支援専門員などから本人へ介護保険制度を直接説明することが望ましいとし、本人の了解を得たうえで、居宅介護支援事業所などに情報を引き継ぐこととしています。
報酬の面では、相談支援事業所が居宅介護支援事業所などに情報を提供したり、その会議に参加したりした場合の「居宅介護支援事業所等連携加算」があります(平成30年度創設)。ケアマネジャーの側でも、居宅介護支援事業者は、指定特定相談支援事業者などとの連携に努めなければならないとされています(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第1条の2第4項)。
高額障害福祉サービス等給付費と共生型サービス
65歳を迎える方の負担などを和らげる仕組みとして、平成30年4月に次の2つが設けられました。
- 高額障害福祉サービス等給付費(65歳以上の方の負担軽減。いわゆる新高額障害福祉サービス等給付費):65歳になる前の5年間、居宅介護・重度訪問介護・生活介護・短期入所の支給決定を引き続き受けていた方で、本人と配偶者が市町村民税非課税などの場合が対象です(障害者総合支援法第76条の2、同法施行令第46条)。障害支援区分が2以上であったこと(同法施行規則第65条の9の4)、65歳までに介護保険の給付を受けていなかったことなども要件です。対象となる介護保険サービス(訪問介護・通所介護など)の利用者負担のうち、高額介護サービス費等で戻る分を除いた額が支給(償還)されます(同法施行令第47条第6項)
- 共生型サービス:ホームヘルプ・デイサービス・ショートステイについて、介護保険と障害福祉サービスの一方の指定を受けた事業所が、もう一方の指定も受けやすくする仕組みです(障害者総合支援法第41条の2、介護保険法第72条の2)
どちらも、使えるかどうかは要件や地域の事業所の状況によって変わります。
相談支援専門員とサービス管理責任者(サビ管)・児発管の違い
相談支援専門員は、障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者(サビ管)とも混同されることがあります。どちらも障害福祉サービスの計画に関わりますが、作る計画の範囲と、なり方が異なります。障がいのある子どもの事業所に置かれる児童発達支援管理責任者(以下、児発管)についても、あわせて整理します。
サビ管は、事業所の中の「個別支援計画」を作る
サビ管は、生活介護や就労継続支援などの障害福祉サービス事業所に置かれる職員です。その事業所での支援の内容を定める「個別支援計画」の作成に関する業務を担当します(指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第58条。療養介護の規定で、生活介護は第93条、就労継続支援B型は第202条などで準用されています)。
サビ管は、相談支援専門員が作ったサービス等利用計画を踏まえて、個別支援計画の原案を作ることとされています(同基準の解釈通知)。作った計画は、利用者と相談支援事業者に交付し、少なくとも6か月に1回以上見直します(同基準第58条第8項・第9項)。相談支援事業者への交付は、令和6年度の報酬改定で義務づけられました。
障がいのある子どもの通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)では、児発管が同じ役割を担います。
2つの計画は「暮らし全体」と「事業所での支援」の関係
サービス等利用計画は、本人が使う複数のサービスを組み合わせた、暮らし全体の計画です。個別支援計画は、その中の1つの事業所で、どのような支援をするかの計画です。
例えば、平日に就労継続支援B型に通い、週末に居宅介護を使う方なら、相談支援専門員が両方を含むサービス等利用計画を作ります。B型事業所のサビ管と、居宅介護事業所のサービス提供責任者は、それぞれの事業所の計画を作ります。
国の通知は、事業所が個別支援計画を相談支援事業者に交付し、計画とモニタリングの結果を相互に交換することが重要としています(指定計画相談支援の基準の解釈通知、平成24年3月30日 障発0330第22号)。
なり方の違いと、初任者研修の講義部分
サビ管になるにも、実務経験と研修の修了が必要です。実務経験は、次のいずれかです(平成18年厚生労働省告示第544号)。
- 相談支援の業務と、資格を持って行う直接支援の業務が、通算5年以上
- 直接支援の業務が、通算8年以上
- 相談支援・直接支援の業務が通算3年以上、かつ国家資格等に基づく業務が通算3年以上
研修は、①初任者研修の講義部分とサービス管理責任者等基礎研修 → ②相談支援や直接支援の業務に通算2年以上従事(OJT)→ ③実践研修 → ④5年度ごとの更新研修、と進みます。令和5年6月30日の告示改正で、基礎研修の受講開始時にすでに実務経験の要件を満たし、個別支援計画の作成の業務に従事して指定権者に届け出た場合などは、②を6か月以上とする例外が設けられました。
相談支援専門員と重なるのは初任者研修で、サビ管を目指す方は講義部分を、相談支援専門員を目指す方は全課程を受けます。講義部分の修了だけでは、相談支援専門員として従事することはできません。全課程と講義部分(7日課程・2日課程)の違いは、相談支援従事者初任者研修は何日?費用・受講資格と2日課程でご説明しています。
相談支援専門員とケアマネジャーの違いについてよくある質問
相談支援専門員とケアマネジャーの違いについて、よく寄せられる質問にお答えします。制度と数字は、令和8年10月時点のものです。
Q1. 相談支援専門員とケアマネジャーは、どちらが難しいですか?
仕組みが違うため、一概には比べられません。ケアマネジャーは、受験資格(法定資格に基づく業務または相談援助業務が通算5年以上、かつ900日以上)を満たしたうえで試験に合格し、実務研修を修了する必要があります。令和7年度の試験の合格率は25.6%でした。相談支援専門員には試験がなく、告示が定める実務経験と初任者研修の修了が要件です。必要な実務経験の年数は、業務の種類や資格によって異なります。
Q2. 給料はどちらが高いですか?
同じ調査で2つの職種の給与を比べた公的な統計は、確認した範囲では見当たりませんでした。ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均給与額は、令和6年9月で375,410円です(厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」。介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の常勤・月給の者で、令和5年9月と令和6年9月にともに在籍している人の平均。基本給・手当に加え、一時金(4〜9月の支給額の6分の1)を含む額)。相談支援専門員は、「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」の結果の概要では、職種別の平均給与額の対象に入っていません。
令和8年6月からは、居宅介護支援(加算率2.1%)と、計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援(同5.1%)に、処遇改善加算が新たに設けられました。加算率は報酬に上乗せされる割合で、一人ひとりの給与がどれだけ変わるかは事業所によって異なります。給与の詳しい比較は、別の記事で扱う予定です。
Q3. ケアマネジャーの資格があれば、初任者研修は免除されますか?
ケアマネジャーであることを理由に初任者研修の科目を免除する定めは、確認した国の通知には見当たりませんでした。一方で、居宅介護支援事業所などで相談支援の業務に従事した期間は、相談支援専門員の実務経験に数えられます(告示第227号第一号ロ(一))。研修の受講方法は、都道府県の実施要領で確認してください。
Q4. 相談支援専門員とケアマネジャーを兼務できますか?
国の「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)は、相談支援専門員と介護支援専門員の兼務について、指定基準上の取扱いとしては可能としています(問23)。機能強化型の基本報酬を算定する事業所では、兼務できる相手に条件があります(同)。勤務時間の配分や担当件数の扱いは、事業所の所在地の自治体に確認してください。兼務と担当件数については、別の記事で扱う予定です。
Q5. 65歳になったら、相談支援専門員の担当は終わりますか?
一律に終わるわけではありません。ただし、介護保険のケアプランの作成対象になっている方が障害福祉サービスを併せて使う場合、相談支援専門員によるサービス等利用計画の作成対象とするかは、市町村が判断します。国のQ&Aは、市町村が支給決定に当たってサービス等利用計画案の作成が必要と認める場合に対象とすることができるとし、ケアマネジャーだけではプランの作成が難しい場合などを想定しています(「相談支援に関するQ&A」問33)。この場合、ケアプランとサービス等利用計画を別の人が作っても、どちらの報酬も請求でき、両者で調整しながら作ることが求められています(同 問54)。
まとめ
相談支援専門員とケアマネジャーは、どちらも相談に応じて計画を作る専門職ですが、よりどころとなる制度が違います。本記事のポイントを整理します。
- 相談支援専門員は障害者総合支援法・児童福祉法でサービス等利用計画を、ケアマネジャーは介護保険法でケアプランを作ります
- ケアマネジャーには試験があり、相談支援専門員は実務経験と初任者研修の修了が要件です
- 居宅介護支援事業所などで働いた期間は相談支援専門員の実務経験に、相談支援専門員として働いた期間はケアマネジャーの受験資格に数えられます
- 65歳以降も介護保険が一律に優先されるわけではなく、2つの職種が連携して支援を引き継ぎます
- サビ管は、サービス等利用計画を踏まえて事業所の個別支援計画を作ります
相談支援専門員の仕事の全体像は相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件、なるための要件は相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れもご覧ください。
ケアマネジャーの有効期間の廃止のように、施行を控えた見直しもあります。最新の情報は、厚生労働省や都道府県の案内でご確認ください。
参考資料
本記事で参照した法令・告示・通知と、厚生労働省・自治体の資料は次のとおりです。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(第5条・第7条・第41条の2・第51条の17・第76条の2)、同法施行令(第46条・第47条)、同法施行規則(第6条の9・第6条の16・第65条の9の4)(e-Gov法令検索)
- 介護保険法(第7条第5項・第46条・第69条の2・第69条の7・第69条の8・第72条の2)、介護保険法施行規則(第113条の2)(e-Gov法令検索)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)、指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第37号)
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)
- 指定計画相談支援の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの(平成24年厚生労働省告示第227号)
- 指定障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者として厚生労働大臣が定めるもの等(平成18年厚生労働省告示第544号)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)
- 厚生労働省「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)
- 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」(平成19年3月28日、最終改正 平成27年3月31日)
- 厚生労働省 事務連絡(平成27年2月18日)、厚生労働省 事務連絡(令和5年6月30日)(自立支援給付と介護保険制度の適用関係等の留意事項)
- 厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況」
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」、厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」
- 厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」
- 社会福祉法等の一部を改正する法律案要綱(令和8年法律第51号)、e-Govパブリック・コメント(案件番号495260180・関係政令の整備に関する政令案)、社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」(令和7年12月25日)
- 東京都「令和8年度介護支援専門員実務研修受講試験」別表2、千葉県「相談支援専門員の要件となる実務経験について」、大阪府「相談支援従事者研修について」、京都市「計画相談支援に関するQ&A」
※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。
よこぜき行政書士事務所

