はじめに

相談支援専門員として働いていると、「1人で何件まで受け持ってよいのか」「35件を超えたら問題になるのか」と気になることがあると思います。

事業所を運営する立場では、相談支援専門員を何人置けばよいか、管理者やほかの事業所の仕事と兼ねてよいかも、日々の判断にかかわります。

相談支援専門員の担当件数と兼務は、指定基準・報酬の告示・国の通知とQ&Aに、細かく定められています。

一方で、「35件」と「40件」が混同されたり、介護保険のケアマネジャーの担当件数と取り違えられたりすることもあります。

本記事では、相談支援専門員の担当件数(受け持ち人数)、配置基準、兼務できる範囲を、法令と厚生労働省の資料に沿って、わかりやすくご説明したいと思います。

主に、相談支援事業所の運営者・管理者の方と、現職の相談支援専門員の方に向けた内容です。

相談支援専門員の担当件数(受け持ち人数)とは?35件・40件・上限の違い

相談支援専門員の担当件数とは、1人の相談支援専門員が1か月に計画の作成やモニタリングを行う件数のことです。

国の基準は、この件数35件ごとに相談支援専門員を1人置くことを「標準」としています。

一方で、報酬が下がり始める境目は40件で、受け持つ件数そのものには上限が設けられていません。

ここでは、混同されやすい3つの数字を順に整理します。

35件は「1か月の計画作成・モニタリング」の件数の標準

35件は、事業所に置く相談支援専門員の人数を決めるための「標準」です。

指定基準は、相談支援専門員の員数の標準を、計画相談支援の対象者の数が35またはその端数を増すごとに1人と定めています(平成24年厚生労働省令第28号 第3条第2項)。

対象者の数は前6か月の平均で数え、新たに指定を受ける場合は推定数を使います(同条第3項)。

障害児相談支援も同じ事業所で一体的に行っている場合は、両方の対象者を合計します(同条第2項)。

国の解釈通知(「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準について」平成24年3月30日 障発0330第22号。以下「解釈通知」)は、ここでいう「利用者の数」を、サービス利用支援(計画の作成)または継続サービス利用支援(モニタリング)を提供した人の数としています(第二の1(1)②)。

つまり35件は、契約している利用者の総数ではなく、1か月に計画の作成やモニタリングを行う件数の標準です。

モニタリングの間隔は人によって1か月・3か月・6か月などと異なるため、1人が受け持つ利用者の人数は、35人より多くなることがあります。

同じ通知は、35件またはその端数を増すごとに相談支援専門員を増員することが「望ましい」としています。

この標準担当件数は、平成30年度の報酬改定で設けられました。

相談支援専門員の担当件数を平準化し、利用者ごとに丁寧な支援を行えるようにするためです(平成30年3月30日 障障発0330第1号)。

相談支援専門員の仕事の全体像は、相談支援専門員とはでご説明しています。

40件は報酬が下がる境目

40件は、基本報酬が下がり始める境目です。

報酬の告示は、相談支援専門員1人あたりの「取扱件数」が40未満の部分と40以上の部分とで、算定する単位数を分けています(平成24年厚生労働省告示第125号 別表1の注1・注2)。

40以上の部分は、サービス利用支援費(Ⅱ)・継続サービス利用支援費(Ⅱ)という、単位数の低い区分で算定します。

このように件数が増えると単価が下がる仕組みを「逓減(ていげん)」といい、35件の標準と同じ平成30年度の改定で導入されました(障障発0330第1号)。

計算の方法は、次の章でご説明します。

受け持つ件数・人数の上限は決められていない

相談支援専門員1人が受け持つ件数や人数に、上限は設けられていません。

国の「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)は、利用者の状況によって必要なモニタリングの頻度が異なることから、1人が受け持つ件数や人数に制限は設けていないとしています(問3)。

ただし、同じ答えの中で、1人の相談支援専門員が適切に対応できる件数や人数とすることも求めています。

「上限がないから何件受け持ってもよい」という意味ではない点に、注意が必要です。

一覧表:35件・40件・上限

3つの数字を並べると、次のとおりです。

数字意味根拠超えた場合
35件相談支援専門員の人数の標準(1か月の計画作成・モニタリングの件数。前6か月の平均)省令第28号 第3条第2項・第3項、解釈通知 第二の1(1)②35件またはその端数を増すごとに増員することが望ましいとされる
40件基本報酬が(Ⅱ)に下がる境目(取扱件数)告示第125号 別表1の注1・注240以上の部分が(Ⅱ)で算定される
上限定めはない。1人が適切に対応できる件数・人数とする相談支援に関するQ&A 問3―

介護保険のケアマネジャー(居宅介護支援)にも担当件数による逓減がありますが、制度が異なり、件数の基準も別に定められています。

2つの職種の違いは、相談支援専門員とケアマネの違いでご説明しています。

取扱件数の数え方と、40件からの逓減

報酬の計算で使う「取扱件数」は、事業所全体の件数を相談支援専門員の人数で割って求めます。

40件を超えても報酬がなくなるわけではなく、40以上の部分だけが低い区分になる仕組みです。

ここでは、計算式、相談支援員の数え方、国のQ&Aの計算例、「減算」と呼ばれる別の仕組みを順にご説明します。

取扱件数=前6か月の平均の対象者数÷相談支援専門員の平均員数

取扱件数は、次の式で求めます(告示第125号 別表1の注1)。

取扱件数 = 計画相談支援の対象者の数(前6か月の平均)÷ 相談支援専門員の平均員数(前6か月の平均)

対象者の数は35件の標準と同じ数え方で、障害児相談支援を一体的に行っている場合は合計します。

新たに指定を受けた場合は、対象者の数と相談支援専門員の人数のどちらも推定数を使います(同)。

前6か月の平均を使うのは、月ごとに担当件数が変動する影響を緩和するためです(障障発0330第1号)。

相談支援員は0.5人として数える

令和6年度に創設された「相談支援員」は、取扱件数の計算では、1人を相談支援専門員0.5人とみなします(告示第125号 別表1の注1)。

相談支援員は、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持ち、専らその事業所の職務に従事する職員です(省令第28号 第3条第4項)。

サービス等利用計画の原案の作成(アセスメントを含む)やモニタリングを担うことができますが、その場合も計画の作成者は相談支援専門員とされています(相談支援に関するQ&A 問4)。

置くことができるのは、機能強化型の基本報酬の基準に適合し、かつ、主任相談支援専門員が相談支援員に指導・助言を行う体制がある事業所に限られます(省令第28号 第3条第4項)。

障害児相談支援の基準(平成24年厚生労働省令第29号)の第3条第4項にも、同じ定めがあります。

相談支援員の仕組みは、相談支援員とはの記事で詳しくご説明しています。

40件以上の部分は(Ⅱ)で算定:国のQ&Aの例で計算する

国のQ&Aは、取扱件数が40以上になったときに(Ⅰ)と(Ⅱ)に件数を分ける方法を、例で示しています(相談支援に関するQ&A 問78)。

相談支援専門員が2人の事業所で、1月から9月の担当件数が72・60・84・104・64・84・96・72・80件と推移した場合です。

7月から9月の算定は、次のとおりです。

算定月前6か月の平均取扱件数その月の担当件数(Ⅱ)で算定する件数(Ⅰ)で算定する件数
7月39(1〜6月の平均78件÷2人)96096
8月41(2〜7月の平均82件÷2人)72(41−39)×2人=472−4=68
9月42(3〜8月の平均84件÷2人)80(42−39)×2人=680−6=74

8月は、前6か月の平均取扱件数が41で、40以上になっています。

このとき、41から39を引いた2に相談支援専門員の人数2を掛けた4件が(Ⅱ)、残りの68件が(Ⅰ)で算定されます。

その月の件数がすべて(Ⅱ)になるわけではありません。

単位数(1月につき)は、次のとおりです(告示第125号 別表1。令和8年10月時点)。

区分40未満の部分40以上の部分
サービス利用支援費(計画の作成)(Ⅰ) 1,572単位(Ⅱ) 732単位
継続サービス利用支援費(モニタリング)(Ⅰ) 1,308単位(Ⅱ) 606単位

機能強化型の基本報酬(機能強化型サービス利用支援費(Ⅰ)〜(Ⅳ)など)も40未満の部分について算定し、40以上の部分は(Ⅱ)で算定します(同 注1・注2)。

ケアマネジャーと一体的に行うときの重複減算

40件以上の逓減とは別に、報酬の告示には「重複減算」という仕組みもあります。

相談支援専門員または相談支援員が、介護保険の要介護者・要支援者に対して、ケアマネジャーの業務(居宅介護支援・介護予防支援)と一体的に計画の作成やモニタリングを行った場合の減算です(告示第125号 別表1の注6〜注8)。

例えば、要介護1・2の人に一体的に行った場合は、サービス利用支援費(Ⅰ)から582単位、継続サービス利用支援費(Ⅰ)から633単位が減算されます(居宅介護支援費重複減算(Ⅰ)。同 注6)。

要介護3〜5の人には、居宅介護支援費重複減算(Ⅱ)があります(同 注7)。

要支援1・2の人に介護予防支援と一体的に継続サービス利用支援を行った場合は、介護予防支援費重複減算(1月20単位)があります(同 注8)。

ケアマネジャーとの兼務の扱いは、後の「兼務」の章でご説明します。

相談支援専門員の担当件数の平均は?国の調査の数字

相談支援専門員1人が実際にどれくらいの件数を担当しているかは、国の調査で集計されています。

ただし、「計画の作成やモニタリングを行った件数」と「受け持っている利用者の人数(受け持ち人数)」は別々に集計されており、2つの数字は大きく異なります。

ここでは、国の調査と、より新しい自治体の調査の数字、その読み方をご紹介します。

国と自治体の調査に見る、1人あたりの件数と受け持ち人数

厚生労働省の「障害福祉サービス等報酬改定検証調査(令和元年度調査)」は、相談支援専門員の担当件数を調べています(「相談支援専門員の担当件数の実態把握及び標準担当件数の妥当性及び相談支援事業所における加算の算定状況等に関する調査研究」。調査結果報告書は令和2年3月)。

調査は令和元年11月から12月に行われ、平成31年4月から令和元年9月までの6か月間の件数を、相談支援専門員1人あたりで集計しています(回答した相談支援専門員2,683人。図表408)。

項目1人あたりの平均
計画の作成・モニタリングの件数(6か月の合計)86.4件(サービス利用支援19.0件、継続サービス利用支援45.4件、障害児支援利用援助8.7件、継続障害児支援利用援助13.4件)
担当利用者数60.5人(サービス等利用計画45.5人、障害児支援利用計画15.0人)

件数は6か月の合計なので、1か月あたりに直すと約14件です(当サイトで6で割った値)。

一方、受け持っている利用者は平均60.5人で、担当利用者数が71人以上の人が28.5%でした(同調査 図表410)。

同じ調査の中でも、「1か月の件数」で見るか「受け持ちの人数」で見るかで、数字は4倍ほど違います。

この国の調査は令和元年の時点のもので、現在の状況とは異なる可能性があります。

より新しい数字としては、神奈川県の「令和6年度神奈川県相談支援専門員実態調査」があります(回答585人、調査期間は令和7年1月9日〜2月13日)。

県内の相談支援専門員1人あたりの1か月の計画作成・モニタリングの平均は10件で、専従の人は13件、兼務の人は6.9件でした(令和6年4月〜9月の件数で算出)。

同じ調査では、回答者の49%が、相談支援の業務とほかの業務を兼務していました。

県は、国の標準の35件と開きがある結果だとまとめています。

神奈川県内の回答者の集計で、全国の数字ではありません。

件数が多くなりやすい事情:モニタリング期間と地域差

担当件数や受け持ち人数は、事業所や地域によっても変わります。

モニタリングの期間は本人の状況などを勘案して市町村が定めるため、間隔の短い人が多いほど、1か月の件数は増えます(障害者総合支援法施行規則第6条の16)。

厚生労働省は令和7年調査から、市町村ごとのモニタリング期間の設定状況とセルフプラン率を公表しています(厚生労働省「障害者相談支援事業の実施状況等について(令和7年調査)」)。

件数が多いと感じたときは、まず職場の取扱件数が前6か月の平均でどのくらいか、担当する人のモニタリング期間がどうなっているかを、数字で確かめてみることができます。

現場の相談支援専門員が感じていることは、相談支援専門員が抱える理想と現実でご紹介しています。

相談支援専門員の配置基準:事業所に何人置くか

指定特定相談支援事業所には、相談支援専門員と管理者を置く必要があります。

相談支援専門員は35件ごとに1人が標準ですが、人数に加えて、「専従」かどうか、「常勤」かどうかも問われます。

ここでは、配置の基本と、混同しやすい専従・常勤の考え方を整理します。

事業所ごとに専従の相談支援専門員を置く

指定特定相談支援事業者は、事業所ごとに、専らその職務に従事する相談支援専門員を置かなければなりません(省令第28号 第3条第1項)。

解釈通知は、これを、事業所ごとに必ず1人以上の相談支援専門員を置くことを定めたものとしています(第二の1(1)①ア)。

人数の目安は、前の章でご説明した35件ごとに1人という標準です(同条第2項)。

主たる事業所と一体的に運営する「従たる事業所」を置く場合は、それぞれに1人以上の専従の相談支援専門員が必要です(同 第4条の2第2項)。

相談支援事業所の種類と役割は、相談支援事業所とはでご紹介しています。

管理者を置く

事業所には、専従の管理者も置きます(省令第28号 第4条)。

管理上支障がない場合は、同じ事業所のほかの職務や、ほかの事業所などの職務を兼ねることができます(同条ただし書)。

解釈通知は、管理者は指定計画相談支援の従業者である必要はないとしています(第二の1(2))。

相談支援専門員が管理者を兼ねることもできますが、その条件は次の章でご説明します。

「専従」と「常勤」は別の考え方

専従と常勤は、混同しやすい別々の考え方です。

専従は、その事業所での勤務時間を通じて、相談支援専門員の職務だけに従事することをいいます。

解釈通知は、ここでいう時間帯をその相談支援専門員の事業所での勤務時間とし、常勤・非常勤の別を問わないとしています(第二の1(1)①ア)。

常勤は、その事業所で定められた常勤の勤務時間に達していることをいい、週32時間を下回る場合は32時間が基本です(平成18年12月6日 障発第1206001号 第二の2(3))。

妊娠中・出産後の健康管理の措置や、育児・介護・治療のための短時間勤務の措置を受けている人については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合、例外的に30時間として扱うことができます(同)。

また、併設する事業所(同一敷地内にある、または道路を隔てて隣接する事業所)の職務で、同時並行的に行っても差し支えないものは、それぞれの勤務時間の合計で常勤の要件を満たすことができます(同)。

兼務していても、勤務時間の合計で常勤と扱われる場合があるということです。

機能強化型の基本報酬や加算の要件にある「常勤」は、この定義に準じて扱うとされています(相談支援に関するQ&A 問70)。

市川市の案内は、相談支援専門員の常勤の要件は指定基準ではなく、報酬の告示などに定められていると説明しています(市川市「指定計画相談支援、指定障害児相談支援における『専従』『兼務』『常勤』『非常勤』について」令和6年5月)。

機能強化型・主任相談支援専門員配置加算は常勤専従が要件

機能強化型の基本報酬を算定する事業所では、常勤かつ専従の相談支援専門員を一定数以上置くことが要件になっています(平成27年厚生労働省告示第180号)。

一部の職員については例外的に兼務が認められており、その範囲は国のQ&Aが図で示しています(相談支援に関するQ&A 問73)。

主任相談支援専門員配置加算も、専ら指定計画相談支援に当たる常勤の相談支援専門員を1名以上置き、そのうち1名以上が主任相談支援専門員であることが要件です(告示第125号 別表4の注1)。

加算の要件の詳細は、主任相談支援専門員の記事で扱う予定です。

相談支援専門員の兼務:できる範囲と条件【一覧表】

相談支援専門員の兼務は、業務に支障がない範囲で認められています。

ただし、兼ねる相手によって、認められ方や注意点が異なります。

特に、障害福祉サービス事業所の職員と兼ねる場合は、その事業所を利用する人のモニタリングに制限があります。

ここでは、兼務の相手ごとに、国の通知とQ&Aの考え方を整理します。

基本ルールは「業務に支障がない範囲で」

指定基準は、相談支援専門員を専従で置くことを原則としつつ、業務に支障がない場合は、同じ事業所のほかの職務や、ほかの事業所・施設などの職務に従事させることができるとしています(省令第28号 第3条第1項ただし書)。

解釈通知は、その例として、同じ事業所の管理者や、併設する事業所の業務を挙げています(第二の1(1)①イ)。

兼務してよいかどうかで迷うときは、事業所の指定をした市町村に確認してください。

管理者との兼務

同じ事業所の相談支援専門員と管理者を1人が兼ねることは、相談支援専門員の業務と管理業務のどちらにも支障がなければ可能です(省令第28号 第3条第1項・第4条、解釈通知 第二の1(1)①イ・(2))。

解釈通知は、管理者がほかの事業所の管理者や従業者を兼ねる場合の条件として、兼務先で働く時間帯も、この事業所で起きることを適時かつ適切に把握し、職員と業務の一元的な管理・指揮命令を支障なく行えることを挙げています(第二の1(2))。

あわせて、事故などの緊急時の対応の流れをあらかじめ定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できることも求めています(同)。

併設され一体的に管理運営する事業所の管理者との兼務は、管理業務に支障がない場合として認められています(同)。

併設していない事業所の管理者との兼務は、基本的にはすべきでないものの、管理業務に支障がないと市町村が認める場合は差し支えないとされています(相談支援に関するQ&A 問24)。

機能強化型や主任相談支援専門員配置加算で常勤専従が求められる相談支援専門員も、その事業所と、同一敷地内の一般相談支援事業所・自立生活援助事業所の管理者を兼ねることは差し支えないとされています(同 問74)。

ただし、主任相談支援専門員配置加算では、主任相談支援専門員による助言・指導に支障が生じない場合に限られます(同)。

サビ管(サービス管理責任者)・児発管・ヘルパーなどとの兼務

相談支援専門員が、障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者(サビ管)、児童発達支援管理責任者(児発管)、サービス提供責任者、生活支援員、ヘルパーなどを兼ねることも、業務に支障がなければ可能です。

ただし解釈通知は、中立性を確保し、サービス事業所とは異なる視点での検討が欠けないようにするため、一定の扱いを定めています(第二の1(1)①ウ)。

担当する利用者が兼務先の事業所を利用している場合は、その事業所の業務と兼務していない相談支援専門員が継続サービス利用支援(モニタリング)を行うことを基本とする、というものです(同)。

支給決定の更新や変更にともなうサービス利用支援(計画の作成)も同じです(同)。

対象となる兼務先から、自立生活援助事業所は除かれています(同)。

例外は、次の3つの場合です(同)。

  • 身近な地域に指定特定相談支援事業者がない場合
  • 支給決定やその変更でサービス内容に著しく変動があった人のうち、支給決定などからおおむね3か月以内の場合
  • その他市町村がやむを得ないと認める場合

国のQ&Aは、兼務先で利用者に直接サービスを提供しているかどうかにかかわらず、この考え方が当てはまるとしています(相談支援に関するQ&A 問43)。

利用者本人が希望する場合でも望ましくないため、制度の趣旨を説明して理解を求めることとしています(同 問44)。

一方で、兼務先と同じ法人のほかの事業所を利用する人のモニタリングは、行うことができるとされています(同 問45)。

兼務先のサービス事業所の側にも、サービス管理責任者などの配置の基準があります。

両方の基準を満たせるかどうかは、それぞれの指定権者に確認が必要です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)との兼務

居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)との兼務は、指定基準上の取扱いとしては可能とされています(相談支援に関するQ&A 問23)。

機能強化型の基本報酬を算定する場合は、居宅介護支援事業の主任介護支援専門員(または介護予防支援事業の介護支援専門員)と兼務する場合に限り、原則として可能です(同)。

ただし、専ら障がいのある方への相談支援に従事する人が配置されていないなど、十分な支援が期待できない場合は、機能強化型の算定は認められません(同)。

同じ人に対して、ケアマネジャーの業務と一体的に計画の作成やモニタリングを行うと、前の章でご説明した重複減算の対象になります(告示第125号 別表1の注6〜注8)。

65歳を迎える方の支援で2つの職種がどう連携するかは、相談支援専門員とケアマネの違い|8項目の比較表と65歳の連携でご説明しています。

基幹相談支援センター・委託相談などとの兼務

相談支援の関係の事業との兼務については、解釈通知が、業務に支障がない場合として認める範囲を示しています(第二の1(1)①イ)。

指定障害児相談支援事業所、指定一般相談支援事業所、指定自立生活援助事業所、基幹相談支援センター、障害者相談支援事業などの業務です(同)。

このうち基幹相談支援センターや障害者相談支援事業などとの兼務は、その業務を委託する市町村などが認める場合に限られます(同)。

「障害者相談支援事業等」の「等」には、次の事業が含まれるとされています(相談支援に関するQ&A 問22)。

  • 都道府県相談支援体制整備事業
  • 地域生活支援拠点等における拠点コーディネーターの業務
  • 医療的ケア児支援センター
  • 高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業
  • 発達障害者支援センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 障害児等療育支援事業

相談支援員は、原則として専従です。

ただし、一体的に管理運営される障害児相談支援事業所・一般相談支援事業所・自立生活援助事業所の業務や、基幹相談支援センターなどの業務(委託する市町村などが認める場合)には従事させることができます(省令第28号 第3条第4項、解釈通知 第二の1(1)③ウ)。

基幹相談支援センターの役割は、基幹相談支援センターとはでご説明しています。

一覧表:兼務の相手ごとの扱い

ここまでの内容を一覧にすると、次のとおりです。

兼務の相手扱い主な条件・注意点根拠
同じ事業所の管理者可能相談支援専門員の業務と管理業務のどちらにも支障がないこと省令第28号 第3条第1項・第4条、解釈通知
併設していない事業所の管理者(管理者が兼ねる場合)基本的にはすべきでない管理業務に支障がないと市町村が認める場合は差し支えないQ&A 問24
障害福祉サービス事業所の職員(サビ管・児発管・サービス提供責任者・生活支援員・ヘルパーなど)業務に支障がなければ可能兼務先を利用する人のモニタリングは、兼務していない相談支援専門員が行うのが基本(例外3つ)。同じ法人のほかの事業所の利用者は可解釈通知、Q&A 問43〜45
居宅介護支援・介護予防支援のケアマネジャー指定基準上は可能機能強化型は主任介護支援専門員などとの兼務に限り原則可。同じ人に一体的に行うと重複減算Q&A 問23、告示第125号 注6〜注8
障害児相談支援・一般相談支援・自立生活援助の事業所業務に支障がない場合として認められる―解釈通知
基幹相談支援センター・障害者相談支援事業など業務に支障がない場合として認められる業務を委託する市町村などが認める場合に限る解釈通知、Q&A 問22
従たる事業所を置く場合の各1人兼務できない主たる事業所・従たる事業所それぞれ1人以上は専従省令第28号 第4条の2第2項

表は国の基準とQ&Aの考え方を整理したものです。

個別の勤務体制で兼務が認められるかどうかは、事業所の指定をした市町村に確認してください。

令和9年度報酬改定で担当件数は変わる?

担当件数の標準や逓減の仕組みは、報酬改定で見直されることがあります。

次の報酬改定は令和9年度に予定されており、検討が進んでいます。

ここでは、令和8年10月時点で示されている内容と、令和8年6月に新設された処遇改善加算をご紹介します。

令和8年10月時点で示されている論点

厚生労働省・こども家庭庁の障害福祉報酬改定検討チームは、令和8年8月27日の第62回会合で、「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」を示しました。

この中で相談支援については、のぞまないセルフプランの解消も含め、質の確保や提供体制の整備を図るための方策を検討する必要があるのではないか、という論点が挙げられています(第62回 資料2)。

この資料では、担当件数や取扱件数の見直しについて、具体的な案は示されていません。

その後、第63回(令和8年9月24日)は訪問系サービス、第64回(9月28日)は就労系サービス、第65回(10月5日)は障害児支援が議題でした。

相談支援の個別の論点が示された段階で、本記事も更新します。

令和8年6月に新設された処遇改善加算

令和8年6月から、計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援にも、福祉・介護職員等処遇改善加算が新設されました。

計画相談支援の加算は、基本報酬や加算で算定した単位数の1000分の51です(告示第125号 別表19の注)。

加算は、要件を満たして届け出た事業所が算定し、職員の賃金改善に充てる仕組みです。

一人ひとりの給与の変わり方は、事業所が加算を算定しているか、どう配分するかによって異なります。

給与の詳しい数字は、相談支援専門員の年収・給料でご紹介しています。

相談支援専門員の担当件数と兼務についてよくある質問

相談支援専門員の担当件数と兼務について、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 相談支援専門員の担当件数の上限は何件ですか?

上限は決められていません。

国のQ&Aは、1人が受け持つ件数や人数に制限は設けていないとしたうえで、適切に対応できる件数や人数とすることを求めています(相談支援に関するQ&A 問3)。

35件は相談支援専門員の人数の標準、40件は報酬が下がり始める境目で、どちらも上限ではありません。

Q2. 40件を超えると、報酬はもらえなくなりますか?

報酬がなくなるわけではありません。

前6か月の平均の取扱件数が40以上になると、40以上の部分がサービス利用支援費(Ⅱ)(732単位)・継続サービス利用支援費(Ⅱ)(606単位)で算定されます(告示第125号 別表1)。

40未満の部分は、引き続き(Ⅰ)などで算定します。

Q3. 相談支援専門員と管理者は兼務できますか?

相談支援専門員の業務と管理業務のどちらにも支障がなければ、兼務できます(省令第28号 第3条第1項・第4条)。

管理者が併設していない事業所の管理者も兼ねる場合は、管理業務に支障がないと市町村が認める場合に限られます(相談支援に関するQ&A 問24)。

Q4. 相談支援専門員とサービス管理責任者は兼務できますか?

業務に支障がなければ、兼務すること自体は可能です。

ただし、兼務先の事業所を利用している人のモニタリングは、その事業所と兼務していない相談支援専門員が行うことが基本とされています(解釈通知 第二の1(1)①ウ、相談支援に関するQ&A 問43〜45)。

身近な地域にほかの指定特定相談支援事業者がない場合など、例外もあります(解釈通知 第二の1(1)①ウ)。

サービス事業所の側の配置の基準も満たす必要があるため、それぞれの指定権者に確認してください。

Q5. 非常勤でも相談支援専門員として働けますか?

国の解釈通知は、専従かどうかをその事業所での勤務時間で考え、常勤・非常勤の別を問わないとしています(第二の1(1)①ア)。

このため、非常勤の相談支援専門員を置くことも想定されています。

ただし、機能強化型の基本報酬や主任相談支援専門員配置加算には、常勤の相談支援専門員を置く要件があります。

非常勤の人や兼務している人を、取扱件数の計算でどう数えるかは、事業所の指定をした市町村に確認してください。

Q6. 障害児相談支援の件数も35件に含まれますか?

計画相談支援と障害児相談支援を同じ事業所で一体的に運営している場合は、両方の対象者を合計して数えます(省令第28号 第3条第2項、解釈通知 第二の1(1)②)。

報酬の取扱件数も、同じ数え方で計算します(告示第125号 別表1の注1)。

まとめ

相談支援専門員の担当件数と兼務について、本記事のポイントを整理します。

  • 35件は、相談支援専門員の人数の標準で、1か月に計画の作成やモニタリングを行う件数(前6か月の平均)で数えます。
  • 40件は、基本報酬が下がり始める境目で、40以上の部分だけが(Ⅱ)で算定されます。
  • 1人が受け持つ件数や人数に上限はありませんが、適切に対応できる件数・人数とすることが求められています。
  • 兼務は業務に支障がない範囲で認められます。サービス事業所の職員と兼ねる場合は、兼務先を利用する人のモニタリングを、兼務していない相談支援専門員が行うのが基本です(例外あり)。
  • ケアマネジャーとの兼務は指定基準上は可能で、同じ人に一体的に行うと重複減算の対象になります。

担当件数の仕組みは、令和9年度の報酬改定で見直される可能性があります。

個別の兼務や配置の可否は、事業所の指定をした市町村の案内で確認してください。

参考資料

本記事で参照した法令と、厚生労働省などの資料は次のとおりです。

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所