相談支援専門員を目指して調べ始めると、最初に出てくるのが「相談支援従事者初任者研修」です。ところが、検索すると都道府県の案内ページが並び、何日かかるのか、費用はいくらか、自分は受けられるのかを全国の目線でまとめた情報は多くありません。研修の時間数は国が決めていますが、日数や費用、受講の条件は都道府県ごとに違うためです。
本記事では、相談支援従事者初任者研修の内容、日数と費用、受講資格と申込みの流れ、修了した後の流れを、国の告示・実施要綱と都道府県の令和8年度の案内に沿って、わかりやすくご説明したいと思います。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者(以下、サビ管・児発管)を目指して「2日課程」を調べている方に向けて、講義部分だけを受ける場合の扱いもまとめています。相談支援専門員の仕事の全体像は、相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件の記事をご覧ください。
ひとことで言うと
相談支援従事者初任者研修は、相談支援専門員として働くために修了が必要な研修です。国が定める内容は講義と演習の合計42.5時間に実習が加わる構成で、日数や費用、受講の条件は都道府県ごとに決められています。サビ管・児発管を目指す方は、このうちの講義部分(大阪府の「2日課程」など)を受講します。
相談支援従事者初任者研修とは
相談支援従事者初任者研修とは、相談支援専門員として従事するために国が修了を求めている研修です。都道府県か、都道府県が指定した研修事業者が実施します。ここでは、研修の位置づけ、よく似た名前の研修との違い、修了することの意味をご説明します。
相談支援専門員になるための法定の研修
相談支援専門員になるための要件は、国の告示で定められています。「指定計画相談支援の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの」(平成24年厚生労働省告示第227号)は、相談支援専門員を、一定の実務経験があり、かつ相談支援従事者初任者研修などを修了した人としています。障害児相談支援(第225号)と地域相談支援(第226号)にも、それぞれ告示があります。
告示は、初任者研修を、都道府県知事か都道府県知事が指定する事業者が行う研修で、告示の別表第二に定める内容以上のものとしています。研修の進め方は、こども家庭庁・厚生労働省の通知「相談支援従事者研修事業の実施について」(平成18年4月21日 障発第0421001号。最終改正 令和5年6月30日)の実施要綱で示されています。現在のカリキュラムは、令和元年9月10日の改正(障発0910第1号)で見直されたもので、令和2年4月1日から適用されています。
研修事業者の指定は、都道府県の区域ごとに行われます(同実施要綱)。研修の内容は国の基準以上であればよいため、時間数の土台は全国共通でも、日程の組み方や費用、受講の条件は都道府県ごとに違ってきます。
なお、令和6年度の初任者研修の修了者は6,330人でした(厚生労働省「障害者相談支援事業の実施状況等について」令和8年5月7日公表)。
「介護職員初任者研修」とは別の研修
「初任者研修」とだけ書かれていると、訪問介護などで働くための「介護職員初任者研修」と取り違えることがあります。2つは目的も実施の仕組みも異なる、別の研修です。相談支援専門員を目指す場合は、必ず「相談支援従事者」と付いた研修の案内を確認してください。
介護職員初任者研修の修了は、相談支援専門員の実務経験の年数(介護等の業務の場合)にかかわることがあります。この点は、相談支援専門員の実務経験一覧表|職場別の年数・900日・証明書の記事でご説明しています。
修了しただけでは相談支援専門員にならない
初任者研修を修了しても、それだけで相談支援専門員として働けるわけではありません。告示の実務経験を満たし、指定特定相談支援事業所などに配置されることで、相談支援専門員として業務を行います。
埼玉県は、初任者研修の修了証書は研修の修了を証明するもので、相談支援専門員として必要な経歴などを証明するものではないと案内しています(埼玉県「埼玉県相談支援従事者初任者研修」)。沖縄県の令和8年度の募集要項にも、同じ趣旨の注意書きがあります。保有資格ごとの必要年数は相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れ、配置先となる事業所の種類は相談支援事業所とはの記事をご覧ください。
研修の内容:国の基準は42.5時間+実習
初任者研修の時間数は、告示と国の実施要綱で決まっています。講義、講義と演習、実習の3つの部分からなり、実習には時間数が定められていません。ここでは、それぞれの部分で何を学ぶかをご説明します。
講義11時間、講義・演習31.5時間、実習の3つの部分
初任者研修の内容は、告示で、別表第二に定める内容以上のものとされています。国の実施要綱の標準カリキュラム(別表1)も、同じ5つの科目で構成されています。
| 区分 | 科目 | 時間数 |
|---|---|---|
| 講義 | 1. 障害児者の地域支援と相談支援従事者(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者)の役割に関する講義 | 5時間 |
| 講義 | 2. 相談支援におけるケアマネジメントの手法に関する講義 | 3時間 |
| 講義 | 3. 障害者総合支援法及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義 | 3時間 |
| 講義・演習 | 4. ケアマネジメントプロセスに関する講義及び演習 | 31.5時間 |
| 実習 | 5. 相談支援の基礎技術に関する実習 | 時間数の定めなし |
※ 科目3の「障害者総合支援法」は、原文では正式名称(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)で書かれています。
合計の42.5時間は講義と講義・演習の時間で、実習には時間数が定められていません。講義の3科目(計11時間)は、科目名に「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者」とあるとおり、サビ管・児発管を目指す方と共通の内容です。都道府県が「講義部分」として募集しているのはこの部分で、例えば福岡県の令和8年度の講義のみコースは、この3科目(約11時間)をeラーニングで行っています。
科目4では、受付と初期相談、アセスメント、目標の設定と計画の作成、サービス担当者会議、モニタリングと評価という一連の流れを、模擬面接や事例検討で身につけます。受講者が実習で作った計画をグループで共有し、相互に評価する「実践研究」の時間もあります。古い資料には令和2年3月までの時間数が載っていることがあるため、令和2年4月以降の資料で確認してください。
実習で行うこと
実習は、演習日と演習日の間に、受講者が地域で行います。国の標準カリキュラムは、実習の内容として次の3つを示しています。
- 障害福祉サービスなどを利用している方の自宅を訪問し、面接による情報収集、アセスメント、計画の作成(プランニング)を行う
- 演習での相互評価を踏まえて、追加の情報収集と再アセスメントを行い、計画を修正する
- 市町村や障害保健福祉圏域の公的機関、サービス事業所、協議会などの地域資源の情報を集め、所定の書式に記録する
東京都の令和8年度は、研修4日目と5日目の間、5日目と6日目の間に実習があり、受講者が自分で実習協力者を探して同意を得る必要があるとしています。作った計画には、拠点機関からスーパービジョン(助言・指導)を受けます。千葉県と福岡県の令和8年度も、基幹相談支援センターなどに出向く実地研修や地域実習を組み込んでいます。基幹相談支援センターの役割は、基幹相談支援センターとはの記事をご覧ください。
事前課題とインターバル課題
演習の前に、事前課題の提出を求める都道府県があります。千葉県の令和8年度は、自分や所属先で担当した支援事例をもとに、事例概要、相談受付票、アセスメント票を作って前期演習の初日に持参する形式です。開始時刻までに課題が準備できていない場合は、演習に参加できないとされています。
課題は、受講者が実際の事例で一連の流れを体験し、演習で検討するための材料です。様式と提出期限は、受講決定後に案内される資料で確認してください。
全課程と講義部分(7日課程・2日課程)の違い
初任者研修には、すべての科目を受ける「全課程」と、講義の科目だけを受ける「講義部分」という受け方があります。都道府県によって「7日課程・2日課程」「8日コース・3日コース」などと呼び方は違いますが、誰が受けるかで大きく2つに整理できます。ここでは、それぞれの対象と、講義部分を受けた後の扱いをご説明します。
相談支援専門員は全課程、サビ管・児発管は講義部分
大阪府は、初任者研修を7日課程と2日課程に分けています(大阪府「相談支援従事者研修について」)。
- 7日課程の対象:指定相談支援事業所で相談支援専門員として従事しようとする方と、指定重度障がい者包括支援事業所でサービス提供責任者として従事しようとする方
- 2日課程の対象:サービス管理責任者または児童発達支援管理責任者として従事しようとする方
令和8年度の主な呼び方を並べると、次のとおりです。
| 府県 | 全課程(相談支援専門員向け) | 講義部分(サビ管・児発管向け) |
|---|---|---|
| 大阪府 | 7日課程 | 2日課程 |
| 京都府 | 8日コース(ほかに演習コース) | 3日コース |
| 和歌山県 | A日程(相談支援専門員コース・7日間) | B日程(サービス管理責任者等コース・2日間) |
| 福岡県 | 全日程コース(ほかに演習のみコース) | 講義のみコース(eラーニング) |
和歌山県は、初任者研修(A日程またはB日程)を受講していないと、サービス管理責任者等基礎研修に申し込めないとしています。京都府の令和8年度の3日コースは、サビ管・児発管になろうとする方などを対象とし、約7時間×3日分の動画を視聴する形で、国の基準(講義11時間)より長い時間をとっています。呼び方や日数が違っても、講義部分は国の基準の講義の3科目、全課程はそれに演習と実習を加えたもの、と考えると整理しやすくなります。
講義部分だけでは、どちらの職種にもならない
講義部分を修了しても、相談支援専門員としては従事できません。相談支援専門員として働くには、全課程の修了が必要です。
サビ管・児発管についても、講義部分の修了だけでは足りません。大阪府社会福祉事業団は、「基礎研修修了者」の扱いになるには、2日課程とサービス管理責任者等基礎研修の両方を修了する必要があると案内しています。福岡県の案内も、講義のみコースの受講だけでは、サビ管・児発管として従事できないとしています。その後も、実務経験を積んで実践研修を修了するなどの段階があります。
なお、大阪府社会福祉事業団は、2日課程には受講要件がなく、実務経験を問わず申し込めるとしています。一方で、基礎研修には受講要件があるため、先に確かめておくと安心です。
講義部分の修了を、後から全課程に使えるかは都道府県で違う
サビ管・児発管を目指して講義部分を受けた後に、相談支援専門員を目指すこともあると思います。その場合、受講済みの講義を全課程に使えるかどうかは、都道府県によって扱いが分かれています。令和8年度の案内では、次のような違いがあります。
- 大阪府:2日課程を受講済みでも、7日課程で講義部分の免除はない
- 千葉県:講義部分の免除を希望する場合は、申込みの際に「相談支援従事者初任者研修(講義2日)修了証書」を郵送する
- 京都府:3日コース(講義部分)を令和3年度から令和7年度までの間に修了した方は、演習コース(演習5日間)を受講できる。令和2年度以前に修了した方は8日コースを受講する
- 福岡県:演習のみコース(集合研修5日間)を設けている。申込みには、実務経験証明書と「2021(令和3)年度以降の相談支援従事者初任者研修講義部分の受講証明書」の写しが必要
ほかの都道府県で受けた講義部分の扱いも含めて、勤務先(予定)がある都道府県の実施要領で確かめてください。
何日かかる?日数・期間とオンライン受講
時間数は国の基準で決まっていますが、何日に分けて行うかは都道府県や研修事業者が決めています。演習と演習の間に実習を挟むため、令和8年度の例では、全課程は数か月にわたって行われています。ここでは、日数の例、オンラインで受けられる部分、障がいのある受講者への配慮をご説明します。
時間数は国、日数は都道府県が決める
令和8年度の全課程の日程を、4つの都府県で比べると次のとおりです。
| 都府県 | 日数・形式 | 期間の例 |
|---|---|---|
| 東京都 | 全7日間(講義2日はオンデマンド配信で合計12時間程度の動画、演習5日)。演習の間に実習2回 | 令和8年9月7日〜令和9年2月3日の間 |
| 大阪府 | 7日課程(指定を受けた4つの研修事業者がそれぞれ実施) | 大阪府社会福祉事業団の場合、令和8年9月7日〜12月24日 |
| 京都府 | 8日コース(講義3日分はオンデマンド配信、演習5日)。演習の間に実習2回 | 講義の視聴期間は8月12日〜9月24日、演習は10月13日〜12月9日 |
| 福岡県 | 全日程コース(7日間)。講義はeラーニング約11時間、演習は集合研修5日間。演習の間にインターバル実習 | A日程の場合、講義の視聴期間は5月20日〜6月15日、演習は6月29日〜9月29日 |
「何日必要ですか」という疑問への答えは、令和8年度の例では、全課程でおおむね7〜8日程度です。東京都の全7日間は講義2日と演習5日で、実習は演習日の間に各自で行います。京都府の8日コースも、講義3日分と演習5日に、実習2回を加えた組み方です。
東京都と福岡県の令和8年度の演習日は平日です。東京都は、演習の時間をおおむね午前9時45分から午後5時15分までの予定としています。勤務先とは早めに日程を調整しておく必要があります。
オンラインで受けられる部分と、地域で行う部分
講義は、オンデマンド配信やeラーニングで行う例があります(東京都・京都府・福岡県・沖縄県の令和8年度)。決められた期間内であれば、自分の都合のよい時間に視聴できる形式です。
演習の形は、都道府県によって分かれます。東京都の令和8年度は原則として集合型で、主催者が必要と認める場合に限って、Web会議システムによるオンラインの日程を設けています。対象は、障がいなどで会場に来ることが難しい方や、島しょなど遠方に住んでいて来場が難しい方などで、Web会議システムを使いこなせることも条件です。京都府と福岡県の令和8年度も、演習は会場に集まる形です。一方、沖縄県の令和8年度は、講義をeラーニング、演習をZoomで行うとしています。
実習は、受講者が地域で行います。利用者の方の自宅への訪問や、基幹相談支援センターなどでの助言を含むため、講義や演習がオンラインでも、研修のすべてが自宅で完結するわけではありません。沖縄県の令和8年度も、勤務地にある一般相談支援事業所か基幹相談支援センターでの現場実習を求めています。
障がいのある受講者への配慮
国の実施要綱は、重度の障がいなどで短期間に続けて受講することが難しい受講者について、合理的配慮を検討するよう求めています。例として挙げられているのは次の3つです。
- 講義を録画で視聴し、レポートを提出する方法
- 年度をまたいで、最長24か月までの長期履修
- 講義と一部の演習を終えた方が、残りの演習に相当する指導を、都道府県が指導者と認めた人の下で、基幹相談支援センターなどで受ける方法
聴覚障がいや視覚障がいのある受講者への情報保障(手話通訳、点字の資料など)も求められています。東京都の令和8年度の案内も、最長24か月を上限とする長期履修が認められる場合があるとしています。希望する場合は、申込み前に研修事務局に問い合わせてください。
費用はいくら?受講料の例と自己負担
受講料も、都道府県や研修事業者によって大きく異なります。無料で実施している都道府県がある一方で、数万円かかる研修事業者もあります。ここでは令和8年度の例と、受講料のほかにかかる費用をご説明します。
無料の都道府県と、数万円かかる研修事業者
令和8年度の受講料などの例は、次のとおりです。
| 実施 | 受講料など(令和8年度) |
|---|---|
| 東京都 | 無料(参加費) |
| 千葉県 | 無料 |
| 和歌山県(和歌山県福祉事業団に委託) | 相談支援専門員コース(7日間)7,000円、サービス管理責任者等コース(2日間・講義)2,000円 |
| 京都府(京都府社会福祉協議会) | 資料代として、8日コース27,500円、演習コース20,000円、3日コース7,500円 |
| 沖縄県(おきなわ障がい者相談支援ネットワーク) | 7日課程49,500円(税込。教科書は別途購入) |
| 福岡県(保健福祉振興財団) | 全日程コース74,800円、演習のみコース55,000円、講義のみコース19,800円(いずれも税込) |
大阪府は、4つの研修事業者がそれぞれ研修を行っており、受講料は各事業者の募集要項に記載されています。同じ都道府県の中でも、研修事業者によって金額が異なることがあります。受講料を本人と勤務先のどちらが負担するかは勤務先の取扱いによるため、推薦を受ける際に確かめておくと安心です。
受講料のほかにかかる費用
国の実施要綱は、研修の参加費用のうち、資料などの実費相当分と、会場までの旅費・宿泊費は、受講者(所属する事業者を含む)が負担するとしています。
東京都の令和8年度は、参加費は無料ですが、講義動画の視聴環境と通信費は所属先の負担、会場までの旅費などは推薦する事業者または受講者の負担です。資料は自分でダウンロードして印刷します。福岡県と沖縄県の令和8年度は、講義のテキストとして指定の書籍を各自で購入するよう案内しています。
受けるには:受講資格と申込みの流れ
初任者研修の受講者は、国が定める対象をもとに、都道府県が勤務先や推薦などの条件を加えて決めています。定員を超える申込みがあると、選考が行われることもあります。ここでは、受講資格の考え方と、申込みから修了証書を受け取るまでの流れをご説明します。
国が定める対象は「相談支援事業に従事しようとする者」
国の実施要綱は、初任者研修の対象を「相談支援事業に従事しようとする者」としています。相談支援専門員として働く予定のある方のための研修、という位置づけです。
そのうえで、どんな人を受講者とするかは、研修を実施する都道府県が実施要領などで具体的に定めています。定員を超える申込みがあった場合に、優先順位に沿って選考する都道府県もあります(東京都・埼玉県・福岡県)。
都道府県が加える条件の例
令和8年度の案内では、次のような条件が示されています。
- 東京都:研修の全日程を受講できる方で、次のすべてを満たす方。他道府県の事業所で従事する方は対象外です
- 都内の事業所に所属している(予定を含む)
- 相談支援専門員などとして従事する(予定を含む)
- 事業所の推薦がある
- 従事予定の事業所がある自治体で実習に取り組める
- 千葉県:県内の相談支援事業所などで相談支援専門員として従事しようとする方と、障がい児者の相談支援に関わる市町村職員
- 大阪府:7日課程は、府内の事業所に配置予定の方だけを受け付ける
個人で申し込めるかどうかも、この条件によります。上の3都府県は、いずれも、その都府県内で働いている(働く予定がある)ことを前提にしています。沖縄県の令和8年度は、個人での申込みもできるものの、法人の推薦が原則だとしています。まずは、勤務先(予定)がある都道府県の実施要領を確認することが出発点になります。
実務経験は申込みの時点で必要か
告示の実務経験は、相談支援専門員として配置されるための要件で、研修の受講要件とは別のものです。申込みの時点で実務経験をどこまで求めるかは、都道府県によって扱いが分かれます。
大阪府は、実務経験は相談支援専門員として配置される時点で満たしていればよく、研修の受講時に満たしている必要はないとしています。一方、沖縄県の令和8年度の初任者研修(7日課程)は、受講対象者を、相談支援専門員として従事する予定で、実務要件を満たしている方としています。京都府の令和8年度の8日コースは、受講対象を、相談支援事業所の職員などで、障害福祉業務の実務経験がおおむね3年以上の方としています。必要な年数や数え方は、相談支援専門員の実務経験一覧表の記事でご説明しています。
申込みから修了証書までの流れ
東京都の令和8年度を例に、申込みから修了までの流れをまとめると次のとおりです。
- 実施案内を確認する:受講対象、日程、実習の条件を確かめます。
- 申し込む:事業所の推薦を受け、電子申請で申し込みます(申込期限は令和8年7月16日)。
- 選考と受講決定:8月24日をめどに通知されます。相談支援専門員の増員や交代が必要な事業所、新たに事業を始める事業所、現任研修を期限内に受けずに要件を満たさなくなった方の再受講などの事情を参考に決めるとされています。
- 受講する:講義動画の視聴(9月)のあと、演習5日間と実習2回(10月〜翌2月)を行います。
- 修了証書を受け取る:令和9年3月中旬に発送する予定とされています。
東京都の令和8年度は、申込期限から修了証書の発送まで8か月ほどです。申込期限は、研修が始まる数か月前に来ます。千葉県の令和8年度は6月1日、京都府は7月10日、東京都は7月16日が期限で、いずれも募集を終えています。大阪府では、令和8年2月に募集を始めた研修事業者もありました。令和9年度の研修を受けたい方は、年明けから都道府県のページを確認しておくと安心です。
修了した後:配置・現任研修・5年度ごとの期限
初任者研修を修了し、実務経験も満たした方は、相談支援事業所に配置されて相談支援専門員として働けるようになります。ただし、その後は5年度ごとに現任研修を修了し続ける必要があり、初回の現任研修には実務の要件もあります。ここでは、修了した後に知っておきたい期限の仕組みをご説明します。
修了証書に、次の現任研修の期日が書かれる
国の実施要綱は、初任者研修の修了証書に、次に相談支援従事者現任研修を修了すべき期日を記載することとしています。修了証書は、都道府県知事か、指定を受けた研修事業者が交付します。
告示は、初任者研修を修了した日の属する年度の翌年度を初年度として、5年度ごとの各年度の末日までに現任研修を修了することを求めています(告示第227号 第二号)。例えば令和8年度に修了した場合は、令和9年度から令和13年度までの間に修了する必要があり、期限は令和14年3月31日です。修了証書は配置の手続などで使うため、大切に保管してください。
初回の現任研修には「過去5年間に2年以上」の実務が必要
現任研修を初めて受けるときは、受講を始める日の前5年間に、相談支援等の業務に通算2年以上従事していることが必要です(告示第227号 第二号、厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」)。2回目以降は、この要件を満たす場合のほか、現に相談支援等の業務に従事している場合も受講の対象になります。
このため、初任者研修を修了しても、相談支援の業務に就かないまま数年がたつと、初回の現任研修を受けられなくなるおそれがあります。東京都は令和8年度の実施案内の冒頭で、この要件を満たせずに初任者研修を「再受講せざるを得ない方が少なくありません」と注意を呼びかけています。あわせて、事業所の管理者に、推薦の際の留意を求めています。研修を受ける時期は、相談支援事業所で働き始める見通しとあわせて考えておくことが大切です。
期限を過ぎたら初任者研修から
期限までに現任研修を修了しなかった場合について、大阪府は、改めて初任者研修を修了しなければ相談支援専門員として従事できないとしています。
主任相談支援専門員研修を修了した場合は、現任研修を修了したものとみなされます(告示第227号 第二号)。主任研修は、現任研修を修了した後、相談支援の業務に3年以上従事するなどの要件を満たすと受講できます。現任研修の内容と日程、主任相談支援専門員の役割は、それぞれ別の記事で扱う予定です。
相談支援従事者初任者研修についてよくある質問
相談支援従事者初任者研修について、よく検索されている疑問にお答えします。
Q1. 相談支援従事者初任者研修は必須ですか?
相談支援専門員として従事するには、告示で初任者研修などの修了が求められているため、必要です。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者を目指す場合は、初任者研修のうち講義部分の受講が求められます(大阪府社会福祉事業団・和歌山県の案内)。
Q2. 誰でも受けられますか?個人で申し込めますか?
国が定める対象は、相談支援事業に従事しようとする方です。そのうえで、都道府県が勤務先や推薦などの条件を加えています。例えば東京都の令和8年度は、都内の事業所への所属(予定を含む)と事業所の推薦を条件としていました。沖縄県の令和8年度は、個人での申込みもできるものの、法人の推薦が原則だとしています。サビ管・児発管向けの講義部分は、大阪府社会福祉事業団の2日課程のように、受講要件を設けていない例もあります。
Q3. 年に何回ありますか?
都道府県や研修事業者によって異なります。大阪府では令和8年度、指定を受けた4つの研修事業者が、それぞれ7日課程を開催しています(予定を含む)。募集の時期は、2月から9月にかけて4回に分かれていました。東京都は、年1回の募集で、複数の演習日程から希望を選ぶ形式でした。
Q4. 有効期限や更新はありますか?
相談支援専門員として従事し続けるには、5年度ごとに現任研修を修了する必要があります。初任者研修の修了証書には、次に現任研修を修了すべき期日が記載されます。期限までに修了しなかった場合、大阪府は、改めて初任者研修を修了しなければ従事できないとしています。
Q5. ほかの都道府県の研修を受けられますか?修了証書は使えますか?
東京都・埼玉県や大阪府(7日課程)は、ほかの都道府県の事業所で従事する方を受講の対象外としています。大阪府の2日課程は、定員に余裕がある場合に、他府県の事業所に配置予定の方も選考するとされています。研修を修了した後に別の都道府県で働く場合は、配置先の指定の担当窓口で修了証書の扱いを確認してください。
Q6. 試験はありますか?難しいですか?
国の標準カリキュラムは、講義・演習・実習で構成されています。修了の条件は、全日程の受講と課題の提出が基本で、東京都の令和8年度は、次の場合は修了証書を交付しないとしています。
- 期間内に講義動画の視聴が終わらなかった
- 演習を欠席・遅刻・早退した
- 実習を行わなかった、または課題を作成・提出しなかった
福岡県の令和8年度は、理解度が著しく低い場合に追加の課題を求め、修了の見込みがないと判断した方には修了証書を交付しないとしています。
Q7. 保育士や介護福祉士などの資格があれば受けられますか?
国の実施要綱が示す受講対象は、資格ではなく「相談支援事業に従事しようとする者」です。資格が関係するのは、主に、相談支援専門員として配置されるための実務経験の年数です。例えば介護等の業務では、保育士や社会福祉主事任用資格などがある方は通算5年、そうした資格がない方は通算10年が必要です。介護福祉士などの資格に基づく業務が通算5年以上ある方は、相談支援や介護等の業務が通算3年以上で要件を満たします(告示第227号)。
ただし、沖縄県の令和8年度のように、申込みの時点で実務経験の要件を満たしていることを求める都道府県では、資格によって必要な年数が変わるため、受講できる時期にも影響します。資格ごとの年数は、相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れの記事をご覧ください。
まとめ
相談支援従事者初任者研修は、相談支援専門員として働くために修了が必要な研修です。本記事のポイントを整理します。
- 国が定める内容は、講義11時間と講義・演習31.5時間の合計42.5時間に、時間数の定めのない実習が加わる構成です
- 相談支援専門員を目指す方は全課程、サビ管・児発管を目指す方は講義部分を受けます。呼び方(7日課程・2日課程など)と、講義部分を後から全課程に使えるかは、都道府県で異なります
- 日数は、令和8年度の例で全課程がおおむね7〜8日程度で、実習を含めて数か月にわたります。費用は、無料の都道府県から7万円台の研修事業者まで幅があります(令和8年度の例)
- 受講の条件は都道府県が定めており、その都道府県内での勤務(予定)や推薦、実務経験を求める例があります。申込期限は研修の数か月前です
- 修了後は5年度ごとに現任研修の修了が必要で、初回の受講には過去5年間に2年以上の相談支援等の実務が必要です
受講を考えたら、まず勤務先(予定)がある都道府県の実施要領を確認してください。研修の日程や費用は年度ごとに変わるため、最新の情報は都道府県や研修事業者の案内でご確認ください。
参考資料
本記事で参照した告示・通知と、都道府県・研修事業者の資料は次のとおりです。
- 指定計画相談支援の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの(平成24年厚生労働省告示第227号)(厚生労働省 法令等データベース)
- こども家庭庁・厚生労働省「相談支援従事者研修事業の実施について」(平成18年4月21日 障発第0421001号。最終改正 令和5年6月30日。和歌山県ホームページ掲載)
- 厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」
- 厚生労働省「障害者相談支援事業の実施状況等について(令和7年調査)」(令和8年5月7日公表)
- 東京都心身障害者福祉センター「令和8年度 東京都相談支援従事者初任者研修 実施案内」
- 千葉県「令和8年度千葉県相談支援従事者初任者研修」
- 埼玉県「埼玉県相談支援従事者初任者研修」
- 大阪府「相談支援従事者研修について」
- 社会福祉法人大阪府社会福祉事業団「大阪府相談支援従事者研修」
- 京都府「令和8年度京都府相談支援従事者初任者研修 開催要綱」
- 和歌山県「相談支援従事者養成研修及びサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修」
- 一般財団法人保健福祉振興財団「令和8年度福岡県相談支援従事者初任者研修 研修概要」
- 特定非営利活動法人おきなわ障がい者相談支援ネットワーク「令和8年度 沖縄県相談支援従事者初任者研修(7日課程)募集要項」
※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。
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