介護や福祉の現場で働きながら、次の仕事として相談支援専門員を考えている方もいらっしゃると思います。求人票では「相談支援専門員の資格」と書かれることがある一方で、試験の案内は見当たらず、何年の経験が必要なのかもわかりにくい職種です。

相談支援専門員になるための要件は、国の告示で細かく決められています。本記事では、相談支援専門員の資格の中身と、保有資格・職歴ごとに必要な実務経験の年数、研修の流れを、告示と厚生労働省の資料、都道府県の研修案内に沿って、わかりやすくご説明したいと思います。役割や仕事内容については、相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件の記事をご覧ください。

ひとことで言うと

相談支援専門員は、試験のある国家資格ではありません。国の告示が定める実務経験(業務の種類と資格によって通算5年または10年。資格に基づく業務が通算5年以上ある方は、相談支援などの業務が通算3年以上)と、都道府県が行う相談支援従事者初任者研修の修了を満たし、相談支援事業所に配置されて業務を行います。なった後も、5年度ごとに現任研修の修了が必要です。

相談支援専門員は国家資格ではない

相談支援専門員は、国の告示が定める実務経験と研修の修了を満たし、相談支援事業所に配置されて業務を行う職種で、試験のある国家資格ではありません。ここでは、その要件がどこで決められているかと、それでも「資格」と呼ばれる理由をご説明します。

告示が定める2つの要件と「配置」

相談支援専門員は、事業所の運営ルールを定めた省令(指定基準)で、指定特定相談支援事業所ごとに置かなければならないとされている職種です(平成24年厚生労働省令第28号 第3条)。誰が相談支援専門員になれるかは、「指定計画相談支援の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの」(平成24年厚生労働省告示第227号。以下「告示」)が定めています。

告示は、相談支援専門員を、第一号と第二号の両方を満たす人としています。第一号は、決められた業務に一定の期間従事した実務経験があることです。第二号は、相談支援従事者初任者研修などを修了し、修了の証明書の交付を受けていることです。

この2つを満たした人が、指定を受けた相談支援事業所に配置されて、相談支援専門員として業務を行います。東京都の研修案内も、業務に就くには、実務経験を満たす、初任者研修を修了する、相談支援事業所等に配置される、の3つが必要だとしています(東京都心身障害者福祉センター「相談支援研修について」令和7年4月改訂)。

試験も合格率もないが、研修の受講対象は都道府県が決めている

告示の第一号・第二号を見ると、要件は実務経験と研修の修了で、筆記試験の合格や年齢・学歴は要件になっていません。そのため、「合格率」という考え方もありません。

それでも、「相談支援専門員の資格」という言い方は行政の資料でも使われており、厚生労働省の周知用リーフレットにも「資格取得」という表現があります。本記事でもこの言葉を使いますが、その中身は告示の要件だと考えるとわかりやすいと思います。

ただし、研修の受講対象は、研修を実施する都道府県(または都道府県が指定する事業者)が定めています。例えば東京都の令和8年度の初任者研修は、研修の修了に必要な全日程を受講できる方で、次の4つすべてを満たす方を対象としています(「令和8年度 東京都相談支援従事者初任者研修 実施案内」)。

  • 都内の事業所に所属している(予定を含む)
  • 相談支援専門員として従事する(予定を含む)
  • 事業所の推薦がある
  • 従事予定の事業所がある自治体で、実習に取り組める

同センターの冊子は、相談支援専門員として従事する予定のない方は受講の対象外としています(令和7年4月改訂)。

相談支援専門員になるには

相談支援専門員になるまでの道のりは、実務経験を積む、研修に申し込む、研修を修了する、事業所に配置される、の4つのステップで考えると整理しやすくなります。ここでは、各段階の中身と、実務経験をいつまでに満たせばよいかをご説明します。

経験を積み、研修に申し込み、修了して、事業所に配置される

4つのステップの中身は、次のとおりです。

  1. 実務経験を積む:告示が定める業務に、決められた期間従事します。必要な年数は、業務の種類と保有資格によって変わります(次の章でご説明します)。
  2. 初任者研修に申し込む:研修は都道府県ごとに募集されます。東京都の令和8年度は、事業所の推薦を受けて電子申請で申し込む方式で、申込期限は7月16日でした(同実施案内)。
  3. 研修を修了する:告示が定める初任者研修は、講義11時間と講義・演習31.5時間の合計42.5時間に、時間数の定めのない「相談支援の基礎技術に関する実習」が加わります(告示 別表第二)。東京都の令和8年度は、令和8年9月7日から令和9年2月3日までの間に講義2日・演習5日の全7日間を行い、研修4日目と5日目の間、5日目と6日目の間に実習があります。修了証書は令和9年3月中旬に発送する予定とされています(同実施案内)。
  4. 相談支援事業所に配置される:指定特定相談支援事業所や指定障害児相談支援事業所などに、相談支援専門員として配置されます。事業所の種類は、相談支援事業所とはの記事でご説明しています。

研修の日程や費用、オンライン実施の有無は、都道府県や年度によって異なります。初任者研修の受講要件や日数の詳細は、別の記事で扱う予定です。

なお、埼玉県は、初任者研修の修了証書は研修の修了を証明するもので、相談支援専門員として必要な経歴などを証明するものではないと案内しています(埼玉県「埼玉県相談支援従事者初任者研修」2026年4月27日更新)。相談支援専門員として配置されるには、研修の修了とあわせて、実務経験の要件を満たしている必要があります。

実務経験は研修の申込み時に必要?配置されるときでよい?

告示は、実務経験と研修の修了を、配置される人が満たすべき要件として並べています。研修の申込みの時点で実務経験をどこまで求めるかは、研修を実施する都道府県によって扱いが分かれます。

大阪府の資料は、平成18年11月2日のQ&Aを出典として、相談支援専門員の実務経験は配置される時点で満たしていればよく、研修の受講時に満たしている必要はないとしています(大阪府「相談支援専門員の要件となる実務経験について」)。一方、沖縄県の令和8年度の初任者研修は、受講対象者を、相談支援専門員として従事する予定で、実務経験の要件を満たしている方としています(「令和8年度 沖縄県相談支援従事者初任者研修(7日課程)募集要項」)。申し込む前に、勤務先(予定)がある都道府県の実施要領で確かめておくと安心です。

【保有資格・職歴別】相談支援専門員に必要な実務経験の年数

必要な実務経験の年数は、「どんな業務に従事したか」と「どんな資格を持っているか」の組み合わせで決まります。告示の区分を保有資格と職歴ごとに整理すると、次の表のとおりです。

持っている資格従事した業務・職場の例必要な期間(通算)告示の区分
問わない相談支援の業務(相談支援事業所、居宅介護支援事業所、児童相談所、福祉事務所、障害者支援施設、老人福祉施設など)5年以上第一号ロ
問わない障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターでの相談支援の業務5年以上第一号ホ
問わない特別支援学校などでの就学相談・教育相談・進路相談の業務5年以上第一号ヘ
社会福祉主事任用資格、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上、保育士、児童指導員任用資格など介護等の業務(障害者支援施設、障害福祉サービス事業、障害児通所支援事業、老人福祉施設、病院などでの介護)5年以上第一号ハ
上の資格がない介護等の業務10年以上第一号ニ
告示に列挙された23の資格(国家資格等)に基づく業務が通算5年以上上の相談支援・介護等・就労・教育の業務(ロからヘまで)3年以上第一号(ロからヘが3年以上、かつ、トが5年以上)

※ 病院・診療所での相談支援の業務は、次のいずれかに当たる方に限られます(第一号ロ(四))。

  • 社会福祉主事任用資格がある
  • 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上に相当する研修を修了している
  • 23の資格のいずれかがある
  • 相談支援事業所や施設の従事者・従業者である期間が1年以上ある

※ ロ・ハ・ホ・ヘの期間は通算できます(例:相談支援の業務3年と、資格を持って行った介護等の業務2年で通算5年)。平成18年10月時点の経過措置(第一号イ)は省略しています。最終的な判断は、研修を実施する都道府県や事業所の指定権者が行います。

資格がなくても目指せる:相談支援の業務なら5年、介護等の業務なら10年

資格を持っていなくても、相談支援専門員を目指すことはできます。資格がなくても、相談支援の業務に従事した期間であれば、通算5年で要件を満たします。介護等の業務の場合は、通算10年が必要です。

「相談支援の業務」は、告示で、障がいなどのために日常生活に支障がある人の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言や指導などの支援を行う業務とされています。相談支援事業所や居宅介護支援事業所、児童相談所、福祉事務所、障害者支援施設などでこの業務に従事した期間は、資格を問わず通算5年以上で要件を満たします(第一号ロ)。

「介護等の業務」は、入浴、排せつ、食事などの介護と、本人や介護者への介護に関する指導を行う業務です。資格がない方がこの業務で要件を満たすには、通算10年以上が必要です(第一号ニ)。

介護職員初任者研修・保育士・社会福祉主事任用資格がある場合

介護等の業務に従事している方のうち、告示が「社会福祉主事任用資格者等」とする次のいずれかに当たる方は、通算5年以上で要件を満たします(第一号ハ、厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」)。

  • 社会福祉主事任用資格がある方(社会福祉士・精神保健福祉士も含まれます)
  • 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上に相当する研修を修了した方
  • 保育士、児童指導員任用資格がある方、精神障害者社会復帰指導員の要件に当たる方

吹田市の資料は、国の主管課長会議資料(平成18年8月24日)を出典として、社会福祉主事任用資格者等の場合は資格を取る前の期間も含めて5年の経験があればよく、資格を取ってから改めて5年が必要なわけではないとしています。和歌山市の資料にも同じ記載があります。

保育士の方は、勤務先に注意が必要です。告示が介護等の業務の職場として列挙しているのは、障害者支援施設、障害福祉サービス事業、障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)、老人福祉施設、病院など(その他これらに準ずる施設・事業を含む)です。保育所での勤務が当たるかは都道府県が判断し、兵庫県の資料は、保育士について、直接支援業務に該当しない保育所へ勤務した期間は実務経験に換算できないとしています(兵庫県「相談支援専門員の要件となる実務経験について」)。

介護福祉士・看護師・社会福祉士など23の資格がある場合:「3年」の条件

告示に列挙された資格に基づく業務に通算5年以上従事した方は、相談支援や介護等などの業務(ロからヘまで)が通算3年以上で要件を満たします(第一号)。対象の資格は次の23です(告示 第一号ト)。

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士、公認心理師

3年で要件を満たすには、資格に基づく業務の期間が通算5年以上あることが前提です。

資格に基づく業務の期間と、相談支援や介護等の業務の期間が重なっている場合は、どちらの期間にも数えることができます。厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)は、国家資格等に基づく業務に従事した期間と、相談支援業務・直接支援業務(本記事でいう介護等の業務)に従事した期間が重複している場合は、どちらにも算定してよいとしています。例えば、国家資格等に基づく業務が相談支援業務にも当たる場合は、8年以上ではなく、5年以上の実務経験で足ります(問18)。保健所で保健師として精神保健相談業務に従事した期間も、実務経験と見なしてよいとされています(問19)。

数えられるのは、資格を持っている期間ではなく、その資格に基づく業務に従事した期間です。ご自身の業務がどの区分に当たるかや、実務経験証明書の書き方は、研修を実施する都道府県や配置先の指定権者に確認してください。

ケアマネジャー・就労支援・特別支援学校など、職場ごとの扱い

同じ「相談」や「支援」の仕事でも、職場によって告示の区分が変わります。主な職場の扱いは次のとおりです。

ケアマネジャー(介護支援専門員):居宅介護支援事業・介護予防支援事業での相談支援の業務として、通算5年以上で要件を満たします(第一号ロ)。基礎資格(介護福祉士・社会福祉士・看護師など)が23の資格に当たる方は、3年の区分を使えることもあります。厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」は、地域包括支援センターでの相談支援の業務(介護予防支援事業を除く)に従事した期間も、居宅介護支援事業・介護予防支援事業に準ずるものとして認めて差し支えないとしています(問21)。

地域の相談窓口・生活困窮者支援:同Q&Aは、相談支援事業に準ずるものとして、障害者相談支援事業や基幹相談支援センターなど地域生活支援事業における相談支援業務のほか、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業・就労準備支援事業・家計改善支援事業・地域居住支援事業などの相談支援業務を挙げています(問20)。基幹相談支援センターの役割は、基幹相談支援センターとはの記事をご覧ください。

就労支援の現場:障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターでの相談支援の業務は、第一号ホとして通算5年以上で要件を満たします。それぞれの機関の役割は、障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)とは、地域障害者職業センターとはの記事でご説明しています。

就労継続支援や就労移行支援などの事業所は、告示が介護等の業務の職場として挙げる「障害福祉サービス事業」に含まれます。ただし、告示の「介護等の業務」は介護と介護に関する指導を中心に定めているため、職業指導員や就労支援員の経験が当たるかは、都道府県の一覧表で確かめる必要があります。大阪府の資料は、介護等の業務の説明に「その他の職業訓練や職業教育等の業務」を含めています(大阪府「相談支援専門員の要件となる実務経験について」)。

特別支援学校:障がいのある児童・生徒の就学相談、教育相談、進路相談の業務は、第一号ヘとして通算5年以上で要件を満たします。

【実務経験の数え方】1年は180日、5年なら900日

実務経験の「年数」は、在籍していた期間だけでなく、実際に業務に従事した日数でも数えます。パートや非常勤で働いてきた方は、特にこの数え方を確かめておく必要があります。ここでは、日数の考え方と、経験を証明する書類についてご説明します。

期間と日数の両方を満たす

都道府県の資料では、1年以上の実務経験とは、業務に従事した期間が1年以上で、かつ、実際に業務に従事した日数が1年当たり180日以上であることをいうとされています。例えば5年以上なら、期間が5年以上で、日数が900日以上必要です(千葉県「相談支援専門員の要件となる実務経験について」)。同じ考え方で、3年以上は540日以上、10年以上は1,800日以上です(沖縄県「相談支援従事者初任者研修の応募要件」)。

厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」は、通算の勤務期間と、年数×180日以上の勤務日数を満たしていればよく、180日従事していない年があってもよいとしています(問16)。例えば、週3日のパート勤務を年50週続けると1年でおよそ150日、5年で約750日です。期間は5年に届いても日数が足りないため、900日に達するまで勤務を続ける必要があります。

経験は誰が確かめるのか:実務経験証明書と一覧表

実務経験は、勤務していた事業所や施設が、業務の内容と従事した期間・日数を証明する書類で示すのが一般的です。この「実務経験証明書」は、研修の申込みや、相談支援専門員として配置する際の手続で求められることがあります。

誰が確かめるかも、都道府県や事業の種類で異なります。例えば愛知県は、配置に必要な実務経験は、相談支援事業所等の指定権者に確認するよう案内しています(愛知県「相談支援従事者研修について」2026年9月15日更新)。

大阪府や兵庫県、沖縄県などは、告示の区分を一覧表にまとめた資料を公開しています。ご自身の経歴がどの区分に当たるかは、勤務先(予定)がある都道府県の一覧表と、指定の担当窓口で確認してください。以前の職場に証明を依頼することもあるため、早めに確かめておくと安心です。実務経験の数え方と証明書の詳細は、相談支援専門員の実務経験一覧表|職場別の年数・900日・証明書の記事でご説明しています。

資格や経験が足りないときに、相談支援の仕事に就く方法

必要な年数にまだ届かない場合でも、相談支援の現場に関わる方法はあります。社会福祉士・精神保健福祉士の資格がある方と、そうでない方とで道が分かれるため、順にご説明します。

社会福祉士・精神保健福祉士は「相談支援員」として働ける

令和6年度の報酬改定で、「相談支援員」という職種が設けられました。社会福祉士または精神保健福祉士の資格がある方は、新卒や実務経験がない場合でも、一定の要件を満たす相談支援事業所で主任相談支援専門員から指導や助言を受けられるときは、相談支援員として働くことができます(厚生労働省 事務連絡「障害福祉分野における『相談支援員』の周知用リーフレットについて」令和7年4月28日)。

相談支援員を置けるのは、指定特定相談支援事業所と指定障害児相談支援事業所で、それぞれ次の2つをいずれも満たす場合です(指定特定相談支援事業所は平成24年厚生労働省令第28号、指定障害児相談支援事業所は平成24年厚生労働省令第29号の、いずれも第3条第4項)。

  • 機能強化型の基本報酬の基準(指定特定相談支援事業所は平成27年厚生労働省告示第180号、指定障害児相談支援事業所は平成27年厚生労働省告示第181号の、いずれも第一号イからニ)のいずれかに適合していること
  • その事業所の相談支援専門員として働く主任相談支援専門員から、相談支援員が指導・助言を受ける体制が確保されていること

2つの省令は、相談支援員を、専らその事業所の職務に従事する社会福祉士または精神保健福祉士と定めています。主な業務は、サービス等利用計画の原案の作成(アセスメントを含む)とモニタリングです(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」問4)。リーフレットは常勤専従での勤務を求め、業務と育成に支障がないと市町村が認める範囲で兼務も可能としています。

同リーフレットは、相談支援員は相談支援の業務を行いながら、相談支援専門員になるための実務経験を積むことができるとしています。なお、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関で働く「相談支援員」とは別の職種です。相談支援員の仕組みは、別の記事で詳しく扱う予定です。

そのほかの方:補助の仕事と、経験を積める職場

相談支援事業所で、相談支援専門員の補助として働く方法もあります。ただし、厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」は、相談支援専門員の資格がなく、相談支援員でもない補助職員について、サービス等利用計画を作成するのは相談支援専門員であり、補助職員は相談支援専門員の指示の下に補助的業務を行うものだとしています(問4)。補助の業務が実務経験に数えられるかは業務の内容によるため、都道府県に確認が必要です。

経験を積む職場は、先ほどの表から逆算すると考えやすくなります。例えば介護の現場で働いている方は、介護職員初任者研修以上の研修を修了しているかどうかで、必要な年数が10年から5年に変わります。居宅介護支援事業所や障害者支援施設の相談員、障害者就業・生活支援センターなど、相談支援の業務に当たる仕事に移ると、資格を問わず通算5年の区分に入ります。

研修の受講対象を相談支援専門員として従事する予定の方とする都道府県もあるため、実務経験の見通しが立ったら、相談支援事業所への就職や異動の時期もあわせて考えておくと、研修の申込みにつなげやすくなります。

相談支援専門員になった後の要件

相談支援専門員として働き続けるには、期限までに現任研修を修了し続ける必要があり、その受講にも実務の要件があります。目指す段階で知っておきたい仕組みをご説明します。

現任研修の期限と受講要件

告示は、初任者研修を修了した日の属する年度の翌年度を初年度として、5年度ごとの各年度の末日までに、相談支援従事者現任研修(講義・演習24時間。告示 別表第一)または主任相談支援専門員研修を修了することを求めています(告示 第二号)。例えば、令和8年度に初任者研修を修了した場合は、令和9年度から令和13年度までの間に修了する必要があり、期限は令和14年3月31日です。

現任研修の受講対象は、受講を始める日の前5年間に相談支援等の業務に通算2年以上従事した方、または現任研修を修了した方で現に相談支援等の業務に従事している方です(告示 第二号)。初任者研修の修了後、初めて現任研修を受けるときは、必ず前者(過去5年間に2年以上)を満たす必要があります(厚生労働省「相談支援専門員制度について」)。

現任研修の修了後、相談支援の業務に3年以上従事するなどの要件を満たすと、主任相談支援専門員研修(30時間)を受講できます。主任研修を修了した場合は、現任研修を修了したものとみなされます。主任相談支援専門員には、基幹相談支援センターなどで地域の相談支援の質を高める役割も期待されています。現任研修と主任相談支援専門員は、それぞれ別の記事で扱う予定です。

研修を受けても、相談支援に就かないまま期限を過ぎると

初回の現任研修の受講対象は、受講を始める日の前5年間に、相談支援等の業務に通算2年以上従事した方です(告示 第二号)。このため、初任者研修を修了しても、相談支援の業務に就かないまま期限を迎えると、初回の現任研修の受講対象に当たりません。

東京都の案内は、初任者研修の修了後、5年度の間に現任研修を受講しなかった場合、再び相談支援専門員として従事するには初任者研修を受講する必要があるとしています(東京都心身障害者福祉センター「相談支援研修について」令和7年4月改訂)。研修を受ける時期は、相談支援の仕事に就く見通しとあわせて考えておくとよいと思います。

相談支援専門員の資格についてよくある質問

相談支援専門員の資格について、よく検索されている疑問にお答えします。

Q1. 相談支援専門員には誰でもなれますか?

告示の要件に年齢や学歴は含まれておらず、資格がなくても目指すことができます。ただし、告示の実務経験(資格がない場合は、相談支援の業務で通算5年以上、介護等の業務で通算10年以上など)と、初任者研修の修了が必要です。研修は、都道府県が相談支援専門員として従事する予定の方などに対象を絞って実施していることがあります。

Q2. 相談支援専門員の資格の難易度や合格率は?

試験がないため、合格率はありません。一方で、研修は国のカリキュラムに沿った法定研修で、全科目の受講と期限までの課題の提出が求められます(東京都心身障害者福祉センター、令和7年4月改訂)。埼玉県は、例年、受講定員を大きく超える申込みがあると案内しています。難しさは、実務経験を積むことと、研修を受ける機会を得ることにあるといえます。

Q3. 最短何年でなれますか?

よく見かける「最短3年」は、国家資格等に基づく業務が通算5年以上あることが前提です。資格に基づく業務がそのまま相談支援や介護等の業務に当たる場合は、重なった期間をどちらにも数えることができ(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」問18)、その場合は通算5年で要件を満たします。

研修の申込みから修了までには、半年以上かかることがあります(東京都の令和8年度は、7月の申込期限から翌年3月中旬の修了証書の発送まで)。この期間が年数に加わるかは、研修を実施する都道府県の受講要件によります。大阪府のように、実務経験は配置される時点で満たしていればよいとする場合は、実務経験を積みながら研修を受けられます。沖縄県の令和8年度のように、申込みの時点で実務経験の要件を満たしていることを求める場合は、研修の期間がその後に加わります。配置できる時期は、実務経験を満たす時期と、修了証書が交付される時期の両方で確かめてください。

Q4. 900日必要ですか?

通算5年以上の区分では、期間が5年以上あることに加えて、実際に業務に従事した日数が900日以上必要です。厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」は、180日従事していない年があっても、通算の勤務期間と勤務日数(年数×180日以上)を満たしていればよいとしています(問16)。

Q5. サービス管理責任者の研修で初任者研修の講義を受けました。相談支援専門員になれますか?

そのままでは要件を満たしません。大阪府は、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者向けの2日課程を受講済みでも、相談支援専門員として従事しようとする方向けの7日課程で免除はないとしています。東京都も、初任者研修は申し込んで受講決定された方が全日程を受講しなければ修了にならないとしています。

Q6. ほかの都道府県で修了した研修は使えますか?

告示が要件としているのは、都道府県知事または都道府県知事が指定する事業者が行う初任者研修を修了し、修了の証明書の交付を受けていることです。一方で、受講の申込みは、勤務先(予定)がある都道府県に限る例があります(東京都・埼玉県)。研修を修了した後に別の都道府県で働く場合は、配置先の指定の担当窓口で、修了証書の扱いを確認してください。

Q7. ケアマネジャーとどちらが難しいですか?

仕組みが違うため、一概には比べられません。介護支援専門員(ケアマネジャー)は、実務経験を有したうえで介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了して都道府県知事の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受ける必要があります(介護保険法第7条第5項・第69条の2・第69条の7)。相談支援専門員には試験がなく、実務経験と研修の修了が要件です。2つの職種の違いは、別の記事で扱う予定です。

まとめ

相談支援専門員の資格は、試験のある国家資格ではなく、国の告示が定める実務経験と研修の修了という要件です。本記事のポイントを整理します。

  • 告示の実務経験と初任者研修の修了を満たし、相談支援事業所に配置されて業務を行います
  • 必要な年数は、相談支援の業務なら資格を問わず通算5年、介護等の業務なら資格によって5年または10年です。国家資格等に基づく業務が通算5年以上ある方は、相談支援や介護等の業務が通算3年以上で要件を満たします
  • 年数は、期間と日数(1年当たり180日、5年なら900日)の両方で数えます
  • 社会福祉士・精神保健福祉士の方は、相談支援員として働きながら実務経験を積む道があります
  • なった後も5年度ごとに現任研修の修了が必要で、初回の受講には過去5年間に2年以上の相談支援の実務経験が必要です

ご自身の経歴が要件を満たすかどうかは、勤務先(予定)がある都道府県の研修の実施要領と実務経験の一覧表で確認してください。制度は改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省や都道府県の案内でご確認ください。

相談支援専門員の仕事の全体像は相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件、現場で働く相談支援専門員が感じていることは相談支援専門員が抱える理想と現実もご覧ください。

参考資料

本記事で参照した告示・省令・法令と、厚生労働省・自治体の資料は次のとおりです。

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所