相談支援事業所とは、障がいのある方が、地域での生活・福祉に関する相談ができる機関です。

相談支援事業所へは多岐にわたる様々な生活上の悩みについて相談ができます。

障害福祉サービスの利用のための情報提供や支援を受けられます。

相談支援専門員等の専門職が対応し、住み慣れた地域でのくらしを支援するためのサービスや生活福祉に関する相談を行っています。

相談支援事業の種類

それでは、相談支援事業所ではどのような業務をおこなっているのかを見てみましょう。

まずは、以下の相談支援事業所の業務のイメージ図をご覧ください。

障害者総合支援法における相談支援事業の体系

厚生労働省資料:障害者の相談支援等について

相談支援事業は、「一般相談支援事業」「特定相談支援事業」「障害児相談支援事業」の3つの事業に分類されます。

それぞれの事業で「基本相談支援」「地域相談支援」「計画相談支援」「障害児相談支援」の4つの支援のうちの必要な支援をおこないます。

「一般相談支援事業」「特定相談支援事業」は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)で以下のように定義されています。

第五条
18 この法律において「相談支援」とは、基本相談支援、地域相談支援及び計画相談支援をいい、「地域相談支援」とは、地域移行支援及び地域定着支援をいい、「計画相談支援」とは、サービス利用支援及び継続サービス利用支援をいい、「一般相談支援事業」とは、基本相談支援及び地域相談支援のいずれも行う事業をいい、「特定相談支援事業」とは、基本相談支援及び計画相談支援のいずれも行う事業をいう。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

「障害児相談支援事業」は「児童福祉法」で以下のように定義されています。

第六条の二の二
⑦ この法律で、障害児相談支援とは、障害児支援利用援助及び継続障害児支援利用援助を行うことをいい、障害児相談支援事業とは、障害児相談支援を行う事業をいう。

児童福祉法

一般相談支援事業

一般相談支援事業は、都道府県が指定する相談支援事業で、「基本相談支援」及び「地域相談支援」のいずれも行う事業です。

基本相談支援

基本相談支援とは、障害者等、障害児の保護者、介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報提供、助言、障害福祉サービス事業者等との連絡調整を行うことです。

地域相談支援

地域移行支援とは、障害者支援施設、療養介護精神科病院等に入所・入院している障害者等、地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする者に対して、住居の確保、相談等を行うことです。

地域移行支援

地域移行支援とは、障害者支援施設、療養介護精神科病院等に入所・入院している障害者等、地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする者に対して、住居の確保、相談等を行うことです。

地域定着支援

地域定着支援とは、居宅において単身等で生活障害者につき、常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に相談その他必要な支援を行うことです。

特定相談支援事業

特定相談支援事業は、市町村が指定する相談支援事業で、基本相談支援及び計画相談支援のいずれも行う事業です。

基本相談支援

基本相談支援とは、障害者等、障害児の保護者、介護を行う者からの相談に応じ、どのようなサービスを受けることができるか等の必要な情報提供や助言、障害福祉サービス事業者等との連絡調整を行うことです。

計画相談支援

「計画相談支援」とは、サービス利用支援及び継続サービス利用支援のことを指します。

サービス利用支援

サービス利用支援とは、以下の支援を指します。

  • 障害福祉サービスの支給決定前に、障害児者に対してアセスメントを実施し、サービス等利用計画案を作成する。
  • 障害福祉サービスの支給決定後に、サービス提供事業者等と連絡調整(サービス担当者会議等)を実施し、サービス等利用計画を作成する。
継続サービス利用支援

継続サービス利用支援とは、以下の支援を指します。

  • 厚生労働省令で定める期間ごとに、モニタリングを実施する。
  • モニタリングの結果及び障害児者の状況を勘案して、必要な場合は、サービス等利用計画の変更及び障害福祉サービスの変更・更新に係る申請の勧奨を行う。

障害児相談支援事業

障害児相談支援事業は、市町村が指定する相談支援事業で、障害児支援をおこなう事業です。

障害児支援利用援助

障害児支援利用援助とは、以下の支援を指します。

  • 障害児通所支援の支給決定前に、障害児及びその保護者に対してアセスメントを実施し、障害児支援利用計画案を作成する。
  • 障害児通所支援の支給決定後に、障害児通所支援事業者と連絡調整(サービス担当者会議等)を実施し、障害児支援利用計画を作成する。

継続障害児支援利用援助

継続障害児支援利用援助とは、以下の支援を指します。

  • 厚生労働省令で定める期間ごとに、モニタリングを実施する。
  • モニタリングの結果、障害児・その保護者の状況を勘案して、必要な場合は、障害児支援利用計画の変更及び障害児通所支援の変更・更新に係る申請の勧奨を行う。

「アセスメント」と「モニタリング」

相談支援事業の中で出てくる「アセスメント」と「モニタリング」という言葉に関しても覚えておきましょう。

アセスメント

「アセスメント」は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(厚生労働省令第二十八号)」で以下のように定義されています。

第十五条 第2項
五 相談支援専門員は、サービス等利用計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者について、その心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上で解決すべき課題等の把握(以下この項及び第三十条第二項第二号ロにおいて「アセスメント」という。)を行わなければならない。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(厚生労働省令第二十八号)

つまり、相談支援専門員が、適切な方法により、利用者(障害者及び障害児)について、次の内容を把握することを「アセスメント」といいます。

  1. 心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等
  2. 1,の評価を通じて利用者の希望する生活や利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上で解決すべき課題等

モニタリング

「モニタリング」は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(厚生労働省令第二十八号)」で以下のように定義されています。

第十五条 第3項
一 相談支援専門員は、サービス等利用計画の作成後、サービス等利用計画の実施状況の把握(利用者についての継続的な評価を含む。次号及び第三十条第二項第二号ニにおいて「モニタリング」という。)を行い、必要に応じてサービス等利用計画の変更、福祉サービス等の事業を行う者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うとともに、新たな支給決定又は地域相談支援給付決定が必要であると認められる場合には、利用者等に対し、支給決定又は地域相談支援給付決定に係る申請の勧奨を行うものとする。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(厚生労働省令第二十八号)

つまり、サービス等利用計画及び障害児支援利用計画を作成した後、各計画の実施状況について、次の内容を把握することを「モニタリング」といいます。

  1. 利用者の課題に即した適切なサービスが提供されているか。
  2. 利用者の解決すべき課題の変化はあるか。
  3. 計画の変更の必要性はあるか。

まとめ

相談支援事業所は、障がいのある方が地域での生活・福祉など多岐にわたる様々な生活上の悩みについて相談ができる機関です。

障害福祉サービスにはさまざまなサービスがありますので、どのようなサービスを受けることが出来るのかが分からないという方も多いと思います。

そういった方々にとって、相談支援はとても重要なサービスであると思います。