はじめに
相談支援専門員として経験を重ねると、「主任相談支援専門員」という言葉を目にする機会が増えると思います。
主任相談支援専門員は平成30年度に創設された仕組みで、地域の相談支援の中核を担う人材と位置づけられています。
一方で、要件の数え方や研修の受け方、「主任相談支援員」という似た名前の職種との違いは、わかりにくいところです。
本記事では、主任相談支援専門員の定義と役割、なるための要件、研修の内容、配置加算の仕組みを、告示と国の通知に沿って、わかりやすくご説明したいと思います。
主任を目指す現職の相談支援専門員の方と、相談支援事業所を運営する方に向けた記事です。
主任相談支援専門員とは?告示が定める定義と創設の経緯
主任相談支援専門員とは、相談支援従事者現任研修の修了後に相談支援の業務を3年以上経験し、主任研修を修了した人です。
要件は国の告示で定められており、地域づくりや人材育成、困難事例への対応で中核的な役割を担うことが期待されています。
ここでは、告示の定義、創設の経緯、似た名前の別の職種との違いを順にご説明します。
告示第115号が定める主任相談支援専門員
主任相談支援専門員の要件は、国の告示に定められています。
告示は、次の3つを順に満たした人を主任相談支援専門員としています(平成30年厚生労働省告示第115号。最終改正 令和6年こども家庭庁・厚生労働省告示第3号)。
- 相談支援従事者現任研修(以下、現任研修)を修了する
- その後、相談支援または障害児相談支援の業務に3年以上従事する
- 3年以上従事した後に、告示の別表に定める内容以上の研修(以下、主任研修)を修了し、修了の証明書の交付を受ける
主任相談支援専門員は、告示が定める実務経験と研修の修了で要件を満たす仕組みで、試験のある国家資格ではありません。
障害児相談支援については、平成30年厚生労働省告示第116号に同じ趣旨の定めがあります。
相談支援専門員になるための要件は、相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れでご説明しています。
平成30年度の報酬改定で創設された
主任相談支援専門員は、平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定で創設されました。
国の通知は、地域の中核的な役割を担う人材として新たに創設されたものと説明しています(「相談支援従事者主任研修事業の実施について」平成31年3月28日 障発0328第1号)。
平成30年度・令和元年度の2か年は国が直接養成研修を開き、平成31年4月1日からは、都道府県などが行う主任研修の実施要綱が適用されています。
令和6年度の報酬改定では、地域の相談支援の中核的な役割を担う事業所で、主任相談支援専門員がほかの事業所の従業者にも助言・指導を行う場合を評価する区分が設けられ、配置加算は2つの区分になりました。
「主任相談支援員」とは別の職種です
名前が似ている「主任相談支援員」は、生活困窮者自立支援制度の職種です。
生活に困りごとを抱える方の相談に応じる自立相談支援機関に置かれ、相談支援員・就労支援員とともに支援にあたります(厚生労働省 生活困窮者自立支援室「主任相談支援員の役割と期待」)。
障がい福祉の主任相談支援専門員とは、根拠となる制度も、なるための要件も異なります。
インターネット上には、自立相談支援機関の主任相談支援員についての説明が、主任相談支援専門員の説明として紹介されている例も見られるため、調べるときは制度名を確かめると安心です。
主任相談支援専門員の役割:地域づくり・人材育成・困難事例
主任相談支援専門員には、自分が担当する利用者への支援に加えて、ほかの相談支援専門員や地域の支援体制を支える役割が期待されています。
その役割は、国の通知と、配置加算の要件として示された取組から具体的に読み取ることができます。
ここでは、国の実施要綱が示す役割、事業所の中での役割、地域での役割を順にご説明します。
国の実施要綱が示す役割
国の実施要綱は、主任研修の目的として、次のことを挙げています(障発0328第1号 別添「相談支援従事者主任研修事業実施要綱」)。
- 保健・医療・福祉・就労・教育などのサービスを総合的かつ適切に利用できるよう支援する援助技術を高めること
- 困難事例に対する支援方法を身につけること
- 地域の相談支援体制の中で、地域課題についての協議や、相談支援に従事する者への助言・指導を行うなど、中核的な役割を果たすこと
また研修の対象者について、地域づくり、人材育成、困難事例への対応など、地域の中核的な役割を果たせる人を養成する観点を示しています(同)。
主任相談支援専門員の役割は、この「地域づくり」「人材育成」「困難事例への対応」の3つにまとめて理解することができます。
事業所の中での役割:会議・同行研修・指導助言
事業所の中での具体的な役割は、配置加算の要件として国の通知に示されています。
報酬の留意事項通知(平成18年10月31日 障発第1031001号)は、主任相談支援専門員配置加算の算定要件として、主任相談支援専門員が行う次の取組を挙げています。
- 利用者に関する情報や、サービス提供にあたっての留意事項を伝えるための会議の開催
- 新しく採用したすべての相談支援専門員への、主任の同行による研修
- すべての相談支援専門員への、地域づくり・人材育成・困難事例への対応などの援助技術を高めるための指導・助言
これらは加算を算定するための要件ですが、主任に求められる日々の役割を具体的に示したものとしても読むことができます。
地域での役割:基幹相談支援センターとの協働と相談支援員の育成
主任相談支援専門員の役割は、事業所の外にも広がっています。
配置加算の要件には、基幹相談支援センターが行う、地域の相談支援事業者の人材育成や支援の質の向上の取組とのかかわりも含まれています(留意事項通知)。
取組の例として、支援方針を検討する場の設置・運営、事業所への訪問や業務への同行による専門的な助言、研修会の企画・運営(相談支援従事者研修の実習の受入れを含む)が挙げられています(同)。
国のQ&Aは、基幹相談支援センター機能強化事業で置く専門的職員の対象として、主任相談支援専門員と、社会福祉士などの専門性を持つ相談支援専門員を挙げています(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」令和7年3月18日 問79)。
同じ答えの中で、主任相談支援専門員をはじめとする専門的職員が、地域の相談支援体制の強化や地域づくりの取組を担うことが望ましいとしています。
また、令和6年度に創設された相談支援員を置くには、機能強化型の基本報酬の基準に当たることに加え、その事業所の相談支援専門員として働く主任相談支援専門員が、相談支援員に指導・助言を行う体制が必要です(平成24年厚生労働省令第28号 第3条第4項。障害児相談支援は同第29号 第3条第4項)。
基幹相談支援センターの業務は、基幹相談支援センターとは?4つの業務を簡単に|設置義務も解説でご説明しています。
相談支援員の要件と業務は、相談支援員とは|資格・できる業務と相談支援専門員との8つの違いでご説明しています。
主任相談支援専門員になるには:要件と受講までの流れ
主任相談支援専門員になるには、現任研修を修了した後に実務経験を積み、主任研修を修了する必要があります。
主任研修の受講要件は国の実施要綱に定めがあり、そのうえで都道府県が独自の要件を加えることも認められています。
ここでは、実務経験の数え方、受講要件、申込みの流れを順にご説明します。
現任研修の修了後に、相談支援の業務を3年以上
要件の起点は、現任研修を修了したときです。
告示は、現任研修の修了後に、相談支援または障害児相談支援の業務に3年以上従事することを求めています(告示第115号)。
国の実施要綱は、この期間を、現任研修の修了後に相談支援専門員として次の職場で従事した期間が「通算して3年(36ヶ月)以上」と示しています(障発0328第1号 別添。令和5年6月30日改正)。
- 指定地域相談支援事業所・指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所
- 地域生活支援事業の障害者相談支援事業
- 基幹相談支援センター
これらの事業所の管理者として兼務した期間も、数えることができるとされています。
また国のQ&Aは、実務経験を「通算の期間」と「年数×180日以上の日数」で数える考え方を、主任研修の受講要件にも同じように当てはめるとしています(相談支援に関するQ&A 問16)。
3年であれば、通算3年以上で、日数は540日以上になる計算です。
日数は通算で数え、180日に満たない年があっても構いません(同 問16)。
3年は、現任研修を修了した後から数える点に注意が必要です。
受講できるかどうかの確認は、研修を実施する都道府県の募集要項で行います。
実務経験の数え方は、相談支援専門員の実務経験一覧表|職場別の年数・900日・証明書でも詳しくご説明しています。
主任研修の受講要件:3つのいずれか+都道府県の要件
国の実施要綱は、3年以上の実務経験に加えて、次の条件を挙げています。
まず、研修実施機関がサービス等利用計画などの提出を求めて内容を確認し、利用者の自立支援に資する相談支援を実践できていると認められることです。
そのうえで、次の3つのいずれかに当たる必要があります(同 別添)。
- 基幹相談支援センター、またはそれに準ずる機能を持つ事業所で、現に相談支援に関する指導的役割を担っている
- 都道府県の相談支援従事者研修やサービス管理責任者等研修で、研修の企画に携わっている、または講義・演習の講師を務めている
- その他、相談支援専門員の業務に関して十分な知識と経験があり、都道府県が適当と認める
実施要綱は、質の高い研修を行う観点から、都道府県が実情に応じた受講要件を加えることも差し支えないとしています。
例えば群馬県の令和7年度の募集要項は、受講対象者の条件として、修了後に、地域の相談支援事業所の従業者の資質を高める取組と、県の相談支援従事者研修の企画立案や講師としての活動の、いずれにも対応できることを挙げていました。
あわせて、県内の市町村の推薦を受けていることも条件でした(群馬県「令和7年度相談支援従事者主任研修募集要項」)。
受講要件は都道府県によって異なるため、勤務先の都道府県の募集要項で確かめることが大切です。
申込みは推薦を経る場合がある
主任研修は、事業所や市町村の推薦を経て受講者が決まる例があります。
例えば兵庫県の令和8年度の主任研修は、事業所から市町に申し込み、市町が県に推薦する仕組みでした(兵庫県立福祉のまちづくり研究所「研修」の主任相談支援専門員養成研修の案内)。
栃木県の令和8年度も、申込みの期限を「市町必着」としていました(栃木県「相談支援従事者主任研修」)。
和歌山市は、これまで基幹相談支援センターなどの職員を優先して推薦していましたが、令和7年度から推薦の対象をすべての相談支援事業所に広げると案内しています。
理由として、「令和6年度報酬改定において、研修を要件とする加算が創設されたこと」などを挙げています(和歌山市「令和7年度相談支援従事者主任研修に係る受講者募集について」令和7年11月7日)。
定員にも限りがあり、栃木県の令和8年度は50名、群馬県の令和7年度は24名程度の募集でした。
受講を考えている方は、勤務先の事業所や市町村に、推薦の時期と方法を早めに確かめておくと安心です。
主任相談支援専門員研修の内容と、修了後の扱い
主任研修の科目と時間数は告示で全国共通に定められていますが、日数や費用、課題の出し方は都道府県ごとに異なります。
また、主任研修を修了すると、相談支援専門員として求められる現任研修の扱いも変わります。
ここでは、研修の内容、都道府県ごとの違い、修了後の扱いをご説明します。
4科目・30時間(告示の別表)
主任研修の科目と時間数は、告示第115号の別表で次のように定められています。
| 区分 | 科目 | 時間数 |
|---|---|---|
| 講義 | 障害福祉の動向及び主任相談支援専門員の役割と視点に関する講義 | 3時間 |
| 講義 | 運営管理に関する講義 | 3時間 |
| 講義及び演習 | 相談支援従事者の人材育成に関する講義及び演習 | 13時間 |
| 講義及び演習 | 地域援助技術に関する講義及び演習 | 11時間 |
| 合計 | 30時間 |
全体の8割にあたる24時間が講義と演習を組み合わせた科目で、人材育成と地域援助技術に多くの時間が充てられています。
研修の名称は、国の通知では「相談支援従事者主任研修」、告示第227号では「主任相談支援専門員研修」で、「主任相談支援専門員養成研修」と呼ぶ都道府県もあります。
日数・費用・課題は都道府県ごと
告示が定めているのは科目と時間数で、日程や費用は都道府県などが決めています。
例えば栃木県の令和8年度は、12月の5日間の日程で、受講料は10,000円でした(栃木県「相談支援従事者主任研修」)。
群馬県の令和7年度は、受講費用が15,000円で、別に指定のテキスト(4,950円)が必要でした(群馬県「令和7年度相談支援従事者主任研修募集要項」)。
兵庫県の令和8年度のように、4つの事前課題を課す例もあります(兵庫県立福祉のまちづくり研究所の案内)。
日程・費用・課題の内容は年度ごとに変わるため、受講する年度の案内で確認してください。
修了後の現任研修と「更新」
相談支援専門員は、初任者研修を修了した年度の翌年度から5年度ごとの各年度末までに、現任研修を修了する必要があります。
告示第227号は、この期限までに修了すべき研修として、現任研修と並べて主任研修を挙げています(告示第227号 第二号)。
そのため、主任研修を修了すれば、その区切りで修了すべき研修を修了したことになります。
ただし兵庫県は、主任研修の修了年度に関わらず5年度ごとの区切りは変わらず、次の区切りの間には現任研修の受講が必要だと案内しています(兵庫県「相談支援従事者研修「現任研修の受講年度」について」)。
告示第115号が定めているのは、主任相談支援専門員に当たる人の要件(現任研修の修了、その後3年以上の業務、主任研修の修了)です。
一方で、相談支援専門員として配置され続けるには、告示第227号の5年度ごとの要件を満たし続ける必要があります。
なお、指定基準や報酬の算定で主任研修の修了を確認するときは、各月の前月の末日時点で修了している人とし、修了証の写しで確かめるとされています(相談支援に関するQ&A 問71)。
5年度ごとの期限の数え方は、相談支援従事者現任研修|5年度ごとの期限早見表と受講要件でご説明しています。
主任相談支援専門員配置加算(Ⅰ)(Ⅱ)の仕組み
主任相談支援専門員を置いてほかの相談支援専門員の資質を高める取組を行い、市町村に届け出た事業所は、計画相談支援・障害児相談支援の報酬で「主任相談支援専門員配置加算」を算定できます。
ここでは、事業所を運営する方に向けて、加算の区分と要件の全体像をご説明します。
実際の算定の要件や届出の方法は、事業所を指定した市町村の案内で確認してください。
加算(Ⅰ)300単位と(Ⅱ)100単位の違い【一覧表】
加算は、令和6年度の報酬改定で、1か月100単位の1区分から、(Ⅰ)300単位・(Ⅱ)100単位の2区分になりました。
報酬の告示は、専ら計画相談支援にあたる常勤の相談支援専門員を1名以上置き、そのうち1名以上が主任相談支援専門員であると市町村長に届け出た事業所を対象としています(平成24年厚生労働省告示第125号 別表4の注1)。
そのうえで、主任相談支援専門員が従業者に資質の向上のための研修を実施した場合に、1か月につき加算するとしています(同)。
(Ⅰ)と(Ⅱ)はどちらか一方を算定し、対象となる事業所と取組の範囲は区分ごとに異なります。
| 項目 | 加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 単位数 | 1か月300単位 | 1か月100単位 |
| 対象となる事業所 | 基幹相談支援センターの委託を受けている事業所、児童発達支援センターに併設される事業所、または地域の相談支援の中核を担う機関として市町村長が認める事業所 | 主任相談支援専門員を置く指定特定相談支援事業所(左の3つの類型以外の事業所も対象) |
| 主任が行う取組の相手 | 自分の事業所の従業者に加え、ほかの相談支援事業所の従業者にも行う | 自分の事業所の従業者、またはほかの相談支援事業所の従業者に行う |
| 基幹相談支援センターの取組とのかかわり | 基幹相談支援センターの職員と共同で実施する | 基幹相談支援センターの取組に協力する(市町村が基幹相談支援センターを設置していない場合は、地域の相談支援の中核を担う機関の取組に協力する) |
出典:平成24年厚生労働省告示第125号 別表4、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1 問64、留意事項通知の主任相談支援専門員配置加算の項(文言は兵庫県立福祉のまちづくり研究所「主任相談支援専門員配置加算関係規定」で確認)
(Ⅰ)の「地域の相談支援の中核を担う機関」について、国のQ&Aは、基幹相談支援センターに準ずる事業所として、主任相談支援専門員が基幹相談支援センターの取組に明確な役割をもって協力している事業所を想定しています(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1 令和6年3月29日 問64)。
基幹相談支援センターがない地域では、センターが設置されるまでの間、その取組を市町村と共に主体的に行うことが必要とされています(同)。
市町村長が認める手続は、加算の体制届を受理することで認めたものとされ、市町村が認めるにあたっては、協議会の相談支援部会などの意見を聴くことが望ましいとされています(同 問65)。
基幹相談支援センターの運営の委託を受けている事業所や、児童発達支援センターと一体的に運営されている事業所は、体制届の提出だけで足ります(同)。
共通の要件:常勤専従の主任と兼務の範囲
どちらの区分でも、主任研修を修了した常勤かつ専従の主任相談支援専門員を1名以上置き、適切な指導を行える体制が求められます(留意事項通知)。
ただし報酬の告示は、主任相談支援専門員が、自立生活援助・地域移行支援・地域定着支援・障害児相談支援などの職務に従事できるとしています(告示第125号 別表4の注2)。
その事業所と、同一敷地内の一般相談支援事業所・自立生活援助事業所の管理者を兼ねることも差し支えないとされています(相談支援に関するQ&A 問74)。
ただし、主任による地域の相談支援事業所の従事者への助言・指導の実施に支障が生じないと認められる場合に限られます(同)。
常勤・専従・兼務の考え方は、事業所を指定した市町村の案内で確認してください。
兼務できる範囲は、相談支援専門員の担当件数は何件?35件の標準・上限と兼務の範囲でもご説明しています。
掲示・公表と、令和9年度の報酬改定
加算を算定する事業所は、主任相談支援専門員を置いている旨を市町村に届け出るとともに、体制が整っている旨を事業所に掲示し、公表する必要があります(留意事項通知)。
事業所のホームページに「主任相談支援専門員配置加算の公表」が掲載されているのは、この要件によるものです。
報酬の単位数や加算の要件は、令和9年度の報酬改定で見直される可能性があります。
令和8年8月27日の障害福祉報酬改定検討チーム(第62回)では、相談支援の質の向上や提供体制の整備の方策が論点の一つとして示されました(厚生労働省「第62回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料」)。
具体的な見直しの内容は、改定案が示された段階で確認する必要があります。
相談支援専門員との違いと、主任相談支援専門員の給料
主任相談支援専門員は、相談支援専門員の要件を満たしたうえで、さらに経験と研修を重ねた人です。
利用者の計画を作る仕事は共通していますが、求められる役割や事業所での位置づけには違いがあります。
ここでは、両者の違いを一覧で整理し、国の調査に見る給料をご紹介します。
相談支援専門員との違い【一覧表】
主な違いを並べると、次のとおりです。
| 項目 | 相談支援専門員 | 主任相談支援専門員 |
|---|---|---|
| 根拠 | 平成24年厚生労働省告示第227号(障害児相談支援は第225号) | 平成30年厚生労働省告示第115号(障害児相談支援は第116号) |
| なるための要件 | 告示が定める実務経験(業務の種類や資格により通算5年以上・10年以上など)と、初任者研修の修了 | 現任研修の修了後、相談支援などの業務に3年以上従事し、主任研修を修了 |
| 研修の時間数 | 初任者研修42.5時間+実習、現任研修24時間 | 主任研修30時間 |
| 主な役割 | 利用者のサービス等利用計画の作成とモニタリング | 左の役割に加え、ほかの相談支援専門員の育成、地域づくり、困難事例への対応 |
| 事業所への配置 | 指定特定相談支援事業所ごとに置く必要がある | 配置加算を算定する場合や、相談支援員を置く場合の要件になる |
初任者研修の内容と日数は、相談支援従事者初任者研修は何日?費用・受講資格と2日課程でご説明しています。
給料:国の調査で常勤の平均は月約43万円
主任相談支援専門員の給料は、国の調査で、相談支援専門員とは別に集計されています。
厚生労働省の調査では、常勤の主任相談支援専門員(290人)の平均給与額は月429,860円でした(令和7年7月)。
同じ表の常勤の相談支援専門員は月375,810円で、主任のほうが月54,050円高くなっています(厚生労働省「令和7年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査事業 調査結果報告書(障害福祉人材の確保及び処遇状況等に関する調査)」第129表)。
ただし、主任相談支援専門員の平均年齢は48.9歳、平均勤続年数は13.8年で、相談支援専門員(47.8歳・10.3年)を上回っています。
この差のすべてが主任の役割によるものとは言えず、主任になれば必ず給料が上がるわけではありません。
この平均は、原則として令和6年9月と令和7年7月の両方に在籍していた人の値で、一時金を含み、税金や社会保険料を差し引く前の額です。
令和7年7月時点の数字のため、令和8年6月に計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援に新設された処遇改善加算(加算率5.1%)の影響は入っていません(厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」)。
給料の詳しい見方は、相談支援専門員の年収・給料|国の調査で常勤平均月36.5万円でご説明しています。
よくある質問
主任相談支援専門員について、よく調べられている疑問にお答えします。
Q1. 主任相談支援専門員は国家資格ですか?
国家資格ではありません。
告示が定める実務経験と主任研修の修了が要件で、試験や合格率はありません。
都道府県などが行う主任研修を修了すると、修了の証明書(修了証)が交付されます。
Q2. 主任研修は誰でも受けられますか?
国の実施要綱の要件を満たした人が受講できます。
現任研修の修了後に通算3年以上の実務経験があり、指導的役割を担っているなどの要件です。
都道府県が要件を加えていることや、事業所・市町村の推薦が必要なこともあるため、勤務先の都道府県の募集要項を確認してください。
Q3. 相談支援専門員になってから、何年で主任になれますか?
年数は、現任研修をいつ修了したかによって変わります。
告示の順番では、初任者研修の修了、現任研修の修了、その後3年以上の実務、主任研修の修了、と進みます。
初めて現任研修を受けるには、受講を始める日の前5年間に、相談支援等の業務に通算2年以上従事していることが必要です(告示第227号 第二号)。
これに推薦や募集の時期も加わるため、具体的な見通しは勤務先の都道府県の案内で確かめてください。
Q4. 事業所に主任相談支援専門員を置かなければいけませんか?
指定基準(省令第28号 第3条)が事業所ごとに置くよう求めているのは、相談支援専門員です。
主任相談支援専門員の配置は、主任相談支援専門員配置加算を算定する場合や、相談支援員を置く場合の要件として出てきます。
Q5. 障害児相談支援の場合も同じですか?
同じ趣旨の仕組みです。
障害児相談支援については平成30年厚生労働省告示第116号が主任相談支援専門員を定めており、配置加算も障害児相談支援の報酬に設けられています。
Q6. 主任研修を修了する人は、年にどのくらいいますか?
国の調査では、令和6年度に都道府県の主任研修を修了した人は713人でした(厚生労働省「障害者相談支援事業の実施状況等について(令和7年調査)」)。
同じ年度の初任者研修の修了者は6,330人、現任研修の修了者は5,497人です(同)。
これは研修を修了した人の数で、事業所に配置されている主任相談支援専門員の人数とは別の数字です。
参考までに、同じ調査で、指定特定・指定障害児相談支援事業所に配置されている相談支援専門員は、令和7年4月時点で29,821人です。
まとめ
主任相談支援専門員について、定義、役割、要件、研修、配置加算をご説明しました。
要点は次のとおりです。
- 主任相談支援専門員は、現任研修の修了後に相談支援の業務を3年以上経験し、30時間の主任研修を修了した人で、国家資格ではありません。
- 地域づくり・人材育成・困難事例への対応で、地域の中核的な役割が期待されています。
- 主任研修の受講には国の要件に加えて、都道府県の要件や推薦がある場合があり、日程・費用も都道府県ごとに異なります。
- 主任研修を修了すると、その区切りで修了すべき研修を修了したことになりますが、5年度ごとの区切りは変わりません。
- 配置加算は(Ⅰ)300単位・(Ⅱ)100単位の2区分で、令和9年度の報酬改定で見直される可能性があります。
相談支援専門員の仕事の全体像は相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件で、現任研修の期限は相談支援従事者現任研修|5年度ごとの期限早見表と受講要件でご説明しています。
制度は改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省や都道府県のページでご確認ください。
参考資料
本記事で参照した主な資料は次のとおりです。
- 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準に基づきこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める者」(平成30年厚生労働省告示第115号)
- 厚生労働省「指定計画相談支援の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの」(平成24年厚生労働省告示第227号)
- 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成24年厚生労働省告示第125号)
- e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第28号)
- e-Gov法令検索「児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第29号)
- 「相談支援従事者主任研修事業の実施について(改正)」(平成31年3月28日 障発0328第1号。令和5年6月30日 こ支障第34号・障発0630第7号による改正。大阪市掲載)
- 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日 障発第1031001号)
- 兵庫県立福祉のまちづくり研究所「主任相談支援専門員配置加算関係規定」
- 厚生労働省「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)問16・問71・問74・問79
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)問64・問65
- 厚生労働省「令和7年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査事業 調査結果報告書(障害福祉人材の確保及び処遇状況等に関する調査)」第129表
- 厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」
- 厚生労働省「障害者相談支援事業の実施状況等について(令和7年調査)」
- 厚生労働省「第62回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料」(令和8年8月27日)
- 厚生労働省 生活困窮者自立支援室「主任相談支援員の役割と期待」
- 栃木県「相談支援従事者主任研修」(令和8年度)
- 群馬県「令和7年度相談支援従事者主任研修募集要項」
- 兵庫県立福祉のまちづくり研究所「研修」(令和8年度 主任相談支援専門員養成研修)
- 兵庫県「相談支援従事者研修「現任研修の受講年度」について」
- 和歌山市「令和7年度相談支援従事者主任研修に係る受講者募集について」(令和7年11月7日)
※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。
よこぜき行政書士事務所

