基幹相談支援センターは、地域の相談支援の拠点として総合的な相談業務(身体障害・知的障害・精神障害)及び成年後見制度利用支援事業を実施するなどの業務を行う機関です。

基幹相談支援センターの業務

まずは基幹相談支援センターでは、どのようなことをしているのかを見てみましょう。

基幹相談支援センターでおこなう業務は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、障害者総合支援法)」第77条に定義がされています。

(基幹相談支援センター)
第七十七条の二 基幹相談支援センターは、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、前条第一項第三号及び第四号に掲げる事業並びに身体障害者福祉法第九条第五項第二号及び第三号、知的障害者福祉法第九条第五項第二号及び第三号並びに精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第四十九条第一項に規定する業務を総合的に行うことを目的とする施設とする。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

それぞれの法令に書かれている内容を以下に簡単に列挙します。

以下のよう広範囲に渡った業務があります。

  • 障害者等、障害児の保護者又は障害者等の介護を行う者からの相談に応じる。
  • 必要な情報の提供及び助言その他の主務省令で定める便宜を供与する。
  • 障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整をする。
  • 障害者等の権利の擁護のために必要な援助をする。
  • 補助を受けなければ成年後見制度の利用が困難であると認められる障害者へ、当該費用のうち主務省令で定める費用を支給する。
  • 身体に障害のある者を発見して、又はその相談に応じて、その福祉の増進を図るために必要な指導を行う。
  • 身体障害者の福祉に関し、必要な情報の提供を行う。
  • 身体障害者の相談に応じ、その生活の実情、環境等を調査する。
  • 更生援護の必要の有無及びその種類を判断し、本人に対して、社会的更生の方途を指導する。
  • 知的障害者の福祉に関し、必要な情報の提供を行う。
  • 知的障害者の福祉に関する相談に応じ、必要な調査及び指導を行う。
  • 精神障害者が最も適切な障害福祉サービス事業の利用ができるよう、相談に応じ、必要な助言を行う。

基幹相談支援センターの業務内容

基幹相談支援センターの具体的な業務内容は以下のようになります。

基幹相談支援センターの役割のイメージ

一般的・総合的・専門的な相談支援

  • ワンストップの相談窓口として、様々な障害の種別や各種のニーズに対応できる相談支援を実施。

地域の相談支援体制の強化の取組

  • 個別のケース対応について所管区内の相談支援事業所からの相談に応じ、専門的な指導、助言を行うほか、支援が困難なケースに対しては協働して支援にあたる。

地域移行・地域定着の促進の取組

  • 病院や施設などで長年暮らしている方たちがグループホームや一人暮らし、家族との生活を始めることを支援。
  • その方たちの生活が安定して継続できるように支援。

地域自立支援協議会の運営

  • 障害者が住みなれた地域でその人らしく暮らしていけるような体制作りのための定期的な協議の場である地域自立支援協議会の運営。

権利擁護・虐待の防止

  • 成年後見制度の利用支援や障害があるご本人の意思決定支援。
  • 虐待に至らないように、必要な福祉サービスの導入やご家族への支援。

障害者相談支援に関する各種情報の収集、集約、発信

地域の相談員が業務に活用できるよう地域における様々な支援機関の情報の収集、集約、発信。

「基幹相談支援センター」と「相談支援事務所」の違い

相談支援事業所」と「基幹相談支援センター」は、それぞれの機能や役割には違いがあります。

相談支援事業所の役割

相談支援事業所は、障がいのある人々やその家族が日常生活や社会生活を送る上での相談を受け付ける機関です。

生活上の困りごとや障害福祉サービスに関する情報提供、利用計画の策定支援などを行います。

地域に根ざしたサービスを提供し、障害者のニーズに応じた細かいサポートのように、個々の相談に対してどういったサービスを受けるのが良いかなどを助言します。

基幹相談支援センターの役割

基幹相談支援センターは、その地域の相談支援の中核的存在です。

スタッフには相談支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、保健士などがいますので、相談支援事業所では対応できないような専門的な相談や複雑なケースに対応ができます。

例えば、障害が重い場合や複数の障害を持つような場合や特別な支援が必要な場合などには専門的な知識を持つスタッフが支援します。

地域の相談支援事業所と連携しつつ、より専門的なアドバイスや支援計画の策定、関連機関との連携などを行う。

「基幹相談支援センター」と「相談支援事務所」の役割

相談支援事業所は一般的な支援や日常的な相談に応じる場所であり、基幹相談支援センターはより専門的かつ複雑なケースのためのサポートを提供する施設で、個人からの相談以外に相談支援事業者などの関連機関との連携をつくっていく役割も担っています。

相談支援事業所は「どんなサービスを利用できるのかわからない」という場合に向いていて、基幹相談支援センターは「どこに相談すれば良いのかわからない」という場合に向いているとも言えます。

両者は連携して機能し、障害者が社会で自立し、活動するためのサポートを提供する関係にあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

基幹相談支援センターは、その地域の相談支援の中核的存在として、さまざまな役割を担っていることをご理解いただけたかと思います。

障害福祉サービスにはたくさんのサービスがあります。

基幹相談支援センターと関連機関が連携して、障がいのある方一人ひとりにあったサービスが受けられるようになることが期待されると思います。