就労継続支援B型(以下、B型)は、雇用契約を結ばずに、体調や障がいの状態に合わせて働ける障害福祉サービスです。事業所は毎年増えていますが、「B型事業所はつぶれるのではないか」「今後はどうなるのか」という声も聞かれます。
ひとことで言うと
- B型の事業所は令和8年3月時点で20,274か所、利用者は425,938人です(国保連データ)
- 一方、B型を含む障害福祉サービスの事業者の倒産は、2026年上半期に33件と増えています(東京商工リサーチ)
- 今後は、事業所の増え方を抑える動き(新規指定の報酬の特例・総量規制)と令和9年度報酬改定が焦点です
本記事では、事業所の運営者や開設を検討している方に向けて、B型の現状と今後を出典付きのデータで分かりやすくご説明したいと思います。事業所が閉鎖するときに利用者・家族が知っておきたいことにも触れます。B型の制度そのものについては、就労継続支援B型とはの記事をご参照ください。
就労継続支援B型の現状|A型・B型の事業所数と利用者数の推移
就労継続支援B型の事業所数は、令和元年から令和6年までの5年間で約1.4倍に増えています(社会福祉施設等調査)。ただし、事業所数や利用者数は、どの統計を見るかによって数字が異なります。ここでは、出典と基準日をそろえた推移表と最新の月次データを示したうえで、数字が違う理由と平均工賃の推移をご説明します。
事業所数・利用者数の推移(社会福祉施設等調査)
厚生労働省の「社会福祉施設等調査」は、障害福祉サービスの事業所数や利用者数を毎年調べている統計です。B型と就労継続支援A型(以下、A型)の推移は次のとおりです。
| 調査年 | B型 事業所数 | B型 利用実人員 | A型 事業所数 | A型 利用実人員 |
|---|---|---|---|---|
| 令和元年(2019年) | 12,497 | 332,487人 | 3,860 | 86,031人 |
| 令和2年(2020年) | 13,355 | 359,732人 | 3,929 | 89,351人 |
| 令和3年(2021年) | 14,407 | 401,977人 | 4,130 | 98,620人 |
| 令和4年(2022年) | 15,588 | 406,577人 | 4,429 | 101,448人 |
| 令和5年(2023年) | 16,713 | 461,003人 | 4,676 | 108,488人 |
| 令和6年(2024年) | 17,973 | 502,992人 | 4,634 | 103,278人 |
※事業所数は各年10月1日現在、利用実人員は各年9月中の人数です。利用実人員は、人数などが不詳の事業所を除いて集計されています。出典:厚生労働省「社会福祉施設等調査」(各年の概況)
B型は毎年850〜1,300か所ほどのペースで増え、令和6年は前年から1,260か所(7.5%)増えました。これに対してA型は、令和5年の4,676か所から令和6年は4,634か所へと42か所減っています。この表の上では、A型の利用実人員も令和6年に減っており、B型とは動きが分かれています。A型の制度については、就労継続支援A型とはで解説しています。
最新の月次データ(国保連データ・令和8年3月実績)
社会福祉施設等調査は、執筆時点(令和8年9月)で公表されている最新版が令和6年の結果です。より新しい数字としては、厚生労働省が国民健康保険団体連合会(国保連)のデータをもとに示している資料があります。
| サービス | 事業所数 | 利用者数 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 20,274 | 425,938人 |
| 就労継続支援A型 | 4,367 | 86,929人 |
| 就労移行支援(参考) | 2,770 | 37,863人 |
※国保連令和8年3月実績。出典:厚生労働省「就労系障害福祉サービスの概要」
ただし、国保連データは障害福祉サービスの報酬の請求をもとにした数字で、先ほどの表とは集計の方法が異なります。そのため、社会福祉施設等調査の17,973か所と比べて「何か所増えた」と読むことはできません。
統計によって数字が違う理由
B型の事業所数を調べると、資料によって17,973か所、18,245事業所、20,274か所など、異なる数字が出てきます。これは、それぞれの統計が数えている対象や時点が違うためです。
| 統計 | 数えているもの | 時点 | B型の数字 |
|---|---|---|---|
| 社会福祉施設等調査 | 全国の事業所を対象とした統計調査 | 毎年10月1日現在 | 17,973か所(令和6年) |
| 国保連データ | 報酬を請求した事業所・利用者 | 月ごと | 20,274か所(令和8年3月) |
| 工賃(賃金)の実績 | 平均工賃の集計対象となった事業所 | 年度ごと | 18,245事業所(令和6年度) |
年ごとの増減を見るときは、同じ統計どうしで比べることが大切です。別々の統計の数字をつないで伸び率を計算すると、実際とは違う伸び方に見えてしまいます。利用者数も、社会福祉施設等調査の利用実人員と国保連データの利用者数とでは、集計の方法が異なります。
なお、B型の事業所数を知りたいときは、上の表の3つの資料を見るのが基本です。「国勢調査」は、人口や世帯の状況を調べる統計です。
平均工賃の推移と算定方式の変更
B型の利用者に支払われる工賃の全国平均(月額)は、次のように推移しています。
| 年度 | 平均工賃月額 | 備考 |
|---|---|---|
| 令和4年度(2022年度) | 17,031円 | 旧算定方式 |
| 令和5年度(2023年度) | 22,649円 | 新算定方式。令和8年3月に修正された値 |
| 令和6年度(2024年度) | 24,141円 | 対前年度比106.6%(集計18,245事業所) |
令和4年度から令和5年度にかけて大きく伸びているように見えますが、これには令和6年度報酬改定で平均工賃月額の計算方法が変わった影響が含まれます。以前は「工賃を支払った利用者の数」で割っていたものが、令和5年度の実績からは「1日あたりの平均利用者数」で割る方式になりました。そのため、令和4年度以前と令和5年度以降の数字は、そのまま比べることができません。
令和5年度の実績は、令和8年3月に23,053円から22,649円へ修正されています。修正前の値を載せたままの資料もあるため、引用するときは厚生労働省のページで確認することをおすすめします。執筆時点の最新の実績は令和6年度で、A型の平均賃金月額は91,451円です。いずれも厚生労働省所定の集計方法による全国平均です。特にB型の平均工賃月額は算定方式の見直しが反映されているため、利用者一人ひとりが実際に受け取った月額の単純平均とは必ずしも一致しません。
就労継続支援B型はつぶれる?倒産・赤字のデータから見る経営状況
結論から言えば、B型の事業所数は社会福祉施設等調査では毎年増えていますが、B型を含む障害福祉サービスの事業者の倒産は増えています。また、平均では黒字でも、赤字の事業所は一定の割合で存在します。ここでは、倒産件数、赤字事業所の割合、先に閉鎖が相次いだA型の状況の3つのデータから、B型の経営状況を見ていきます。
事業所数は増える一方、障害福祉サービス事業者の倒産も増えている
東京商工リサーチの調査によると、2026年上半期(1〜6月)の「障害者福祉事業」の倒産は33件で、前年同期から26.9%増えました。上半期としては2012年以降で最も多く、3年連続の増加です。年度で見ると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の障害者福祉事業の倒産は54件でした。
この集計の対象は、負債1,000万円以上の倒産です。業種は日本標準産業分類の「障害者福祉事業」(居住支援事業、その他の障害者福祉事業)で、B型以外の事業者も含まれています。B型だけの件数ではない点に注意が必要です。
2026年上半期の33件のうち、破産が30件、資本金1,000万円未満の事業者が27件でした。小規模な事業者の破産が大半を占めていることが分かります。不正受給などのコンプライアンス違反による倒産も6件ありました。
倒産は、事業所が閉鎖する理由のひとつです。この件数が数えているのは負債1,000万円以上の倒産で、経営者が自ら事業を廃止・休止する場合は別に扱われます。事業所の総数が増えているのは、新しく開設される事業所の数が、閉鎖する事業所の数を上回っているためです。
赤字事業所の割合と収支差率
事業所の経営状況を示すデータには、厚生労働省の「障害福祉サービス等経営概況調査」と、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の調査があります。対象や計算方法が異なるため、分けて見ていきます。
令和7年障害福祉サービス等経営概況調査によると、B型の収支差率(収入に占める、収入から支出を引いた額の割合)は、令和5年度決算で6.0%、令和6年度決算で6.2%でした。これは、物価高騰対策関連等の補助金収入を含めない数値です。これらの補助金収入を含めると、それぞれ6.2%、6.4%となります(有効回答348事業所)。A型の収支差率は、同じ補助金収入を含めない場合で6.6%から6.8%でした。
WAMの「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(令和8年7月)は、2023年度と2024年度の両方のデータがある同じ事業所で経営状況を比べています。平均工賃月額に応じた報酬体系のB型事業所(1,807事業所)では、赤字の事業所が36.4%から30.4%に下がりました。一律評価の報酬体系のB型事業所(99事業所)では、40.4%から33.3%に下がっています。なお、WAMは、経常増減差額から就労支援事業増減差額を除いた金額が0円未満の事業所を「赤字」としています。
ただし、WAMの調査は同機構の融資先が対象で、B型の開設主体の79.2%が社会福祉法人です。設立から1年未満の事業所も含まれていません。開設から間もない事業所や、社会福祉法人以外の事業所の状況は、この数字だけでは分かりません。
平均で見ればB型は黒字で、令和6年度は収支が改善しています。それでも、WAMの調査対象では3割ほどの事業所が赤字です。「B型全体が黒字かどうか」と「個々の事業所が黒字かどうか」は、分けて考える必要があります。
A型で先に起きた閉鎖と、B型との違い
令和6年度報酬改定の後、A型では事業所の閉鎖が相次ぎました。共同通信が令和6年7月に都道府県・指定都市・中核市の計129自治体に行った調査によれば、令和6年3〜7月に全国で329のA型事業所が閉鎖し、少なくとも約5,000人が解雇・退職したとされています。閉鎖した事業所の4割強はB型に移行したと報じられました(共同通信、2024年8月13日配信)。
厚生労働省の集計でも、令和6年度にハローワークが解雇届で把握した障がいのある方の解雇者数は、9,312人でした。そのうち7,292人が、A型事業所の利用者です。この7,292人は、各月内に10人以上の解雇が発生したA型事業所に限って数えたもので、それらの事業所の約9割は生産活動収支が赤字だったとされています(厚生労働省「障害者の解雇者数について(令和6年度)」)。令和7年度は、障がいのある方全体の解雇者数が3,692人でした(厚生労働省「令和7年度 障害者の職業紹介状況等」)。WAMの調査でも、A型の赤字事業所の割合は2024年度に48.4%(2023年度45.5%)と、B型より高くなっています。
A型は利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金が原則として適用されます。そのうえで、生産活動の収入から経費を引いた額で利用者の賃金をまかなうことが求められています(指定基準第192条第2項)。そのため、生産活動が赤字になると経営が苦しくなりやすい仕組みです。
B型は雇用契約を結ばないため、A型と同じ形で影響が出るわけではありません。ただ、B型でも、平均工賃月額に応じた報酬体系を選択する事業所では、工賃の水準が基本報酬に影響します。生産活動の状況が経営に影響する点は共通しています。
就労継続支援B型事業所が抱える4つの課題
データから見えてきた経営の状況を踏まえると、B型事業所の課題は、工賃と報酬、地域の需給、職員の確保、サービスの質の4つに整理できます。いずれも、令和8年度の報酬見直しや令和9年度報酬改定の議論と深く関わっています。順にご説明します。
工賃と報酬の連動(平均工賃月額型と一律評価型)
B型の基本報酬には、2つの体系があります。事業所は、どちらかを選んで報酬を算定します。
- 平均工賃月額に応じた報酬体系:平成30年度報酬改定で導入され、令和3年度報酬改定で区分が8段階に細分化されました
- 利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系:令和3年度報酬改定で新設されました
現場では、前者を「工賃型」、後者を「参加型」と呼ぶこともあります。平均工賃月額に応じた報酬体系では、平均工賃が高いほど基本報酬も高くなるため、工賃の水準が経営に直結します。WAMの調査対象でも、平均工賃月額型が1,807事業所、一律評価型が99事業所で、多くの事業所が前者を選んでいます。
工賃を上げるには、受注する作業の単価や種類を見直すことが欠かせません。障害者優先調達推進法に基づいて国や地方公共団体などが障害者就労施設等からの調達を進める仕組みや、複数の事業所で仕事を受ける共同受注窓口は、その手がかりになります。農業と福祉が連携する農福連携も、作業の選択肢のひとつです。
地域によっては供給が需要を上回っている
事業所が増えた結果、地域によっては、利用を希望する人の数に比べて事業所の受け入れ枠が大きくなっています。例えば大阪市です。
大阪市は、第7期障がい福祉計画で、B型の必要量(1か月あたりの延べ利用日数)を令和7年279,997日、令和8年334,047日と見込んでいます。これに対し、令和7年12月時点の供給量は519,087日(1,079事業所)でした。この供給量は、実際の利用日数ではなく、事業所ごとの定員数に原則の利用日数(月23日)を掛けて出した受入可能量です。供給量が必要見込量を大幅に上回っているとして、市はB型の総量規制を始めました(大阪市、令和8年3月31日発表)。
こうした地域では、新しい事業所が開設しにくくなる一方で、既存の事業所どうしで利用者を確保する競争が続きます。定員に対して利用者が少ない状態が続けば、報酬の収入が伸びず、経営に影響します。利用者を集める工夫については、就労継続支援B型の「利用者の集め方」や就労継続支援B型事業所のSNSの活用方法もご参照ください。
職員の確保と処遇改善加算の拡充
B型の運営には、サービス管理責任者や職業指導員、生活支援員などの職員が欠かせません。令和9年度報酬改定に向けた論点(案)でも、「他職種と遜色のない処遇改善を図るための方策」が論点の一つに挙げられています。
令和8年6月からは、処遇改善加算の対象が「福祉・介護職員」から「障害福祉従事者」に広がり、月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現するための措置がとられました。生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員については、月0.3万円(1.0%)を上乗せする措置も設けられています。福祉・介護職員については、定期昇給分(0.6万円)を含めて最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げを実現する措置とされています。個々の職員の昇給額は、事業所の賃金改善の方法によって異なります。
サービスの質の確保と運営状況の確認の強化
事業所が急増するなかで、国は事業所の質を確かめる仕組みを強めています。厚生労働省は令和7年11月28日、「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン」を自治体に通知しました(障障発1128第1号)。
このガイドラインでは、新規指定の流れとして、事前説明・確認、事業計画書等審査、専門家会議審査、指定申請審査、現地審査の段階が示されています。既存の事業所についても、生産活動の実態や経営状況を確認する「生産活動シート」が用意されました。
公費による就労支援として適さない可能性がある活動の例として、eスポーツや、植物の水やりを1日数回行うだけの活動などが挙げられています。利用者の募集方法についても、金品や物品の提供を謳った募集や、交通費や昼食費の一律的な提供を謳った募集が、不適切な例とされました。交通費や昼食費を無料と謳い、障がいのある方の意思決定を歪めるような誘因行為が例として示されています。先ほどの倒産データでも、コンプライアンス違反による倒産が6件ありました。制度の趣旨に沿った運営かどうかが、これまで以上に問われる段階に入っています。
就労継続支援B型の今後|押さえておきたい制度の動き
B型の今後を考えるうえでは、「事業所の増え方を抑える動き」と「報酬の見直し」の2つを押さえておく必要があります。令和6年度報酬改定の後、B型の年間総費用額は令和5年度の5,242億円から令和6年度には6,294億円へと20.1%増えました(国保連データ。第48回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料6)。こうした増加が、令和8年度の臨時的な見直しにつながっています。
| 時期 | 制度の動き | 主な対象 |
|---|---|---|
| 令和7年10月 | 就労選択支援が始まる。B型を新たに利用する場合は、原則として事前に利用 | B型の新規利用者 |
| 令和7年11月 | 京都市がB型の総量規制を開始(令和10年3月まで) | 京都市内の新規指定・定員増など |
| 令和8年6月 | 平均工賃月額の区分の見直し。新規指定事業所の基本報酬の特例 | 既存・新規のB型事業所 |
| 令和8年7月・8月 | 大阪市がB型の総量規制を開始(定員追加は7月、新規指定は8月から) | 大阪市内の定員追加・新規指定 |
| 令和9年度 | 令和9年度報酬改定(新規指定事業所の特例はそれまでの措置) | すべてのB型事業所 |
| 令和9年4月 | A型を新たに利用する場合も、原則として事前に就労選択支援を利用(予定) | A型の新規利用者 |
| 令和10年4月以降 | 京都市は、供給量が必要見込量を下回る圏域が生じた場合に公募で指定(実施は毎年度判断) | 京都市内の新規指定など |
令和8年6月の報酬見直し(区分の見直しと新規指定事業所の特例)
令和8年度障害福祉サービス等報酬改定(臨時応急的な見直し)では、B型について2つの見直しが令和8年6月に施行されました。
1つ目は、平均工賃月額に応じた基本報酬区分の基準額を3,000円引き上げる見直しです(算定方式の変更による平均工賃の上昇幅約6,000円の半分)。あわせて、次の配慮措置が設けられました。
- 令和6年度改定の前後で区分が上がっていない事業所は、見直しの適用対象外
- 区分が下がる事業所には、基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう、中間的な区分(A)〜(F)を新設
- 区分七と区分八の間の基準は引き上げずに据え置き
2つ目は、令和8年6月1日以降に新規指定された事業所の基本報酬を、所定単位数の1000分の984とする特例です。既存の事業所は従前どおりで、期間は令和9年度報酬改定までの間とされています。ただし、次の場合は従前の報酬が適用されます。
- 医療連携体制加算(Ⅳ)を算定する利用者に係る基本報酬(利用者単位)
- 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)または高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所に係る基本報酬(事業所全体)
- 離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
- 自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所(公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所)に係る基本報酬
加算による配慮は、その加算を1日でも算定した月について、その月分が特例の対象外となる扱いです(令和8年度報酬改定等に関するQ&A VOL.1 問8〜10)。
総量規制の仕組みと実施例(障害者総合支援法第36条第5項)
総量規制とは、障害福祉計画で見込んだ量に対して供給が十分にある場合に、自治体が新たな指定をしないことができる仕組みです。障害者総合支援法第36条第2項は、就労継続支援などを「特定障害福祉サービス」としています。第5項は、その量が都道府県障害福祉計画で定める必要な量に「既に達しているか、又は当該申請に係る事業者の指定によってこれを超えることになると認めるとき」などは、指定を「しないことができる」と定めています。
令和6年4月からは、市町村が意見を申し出て、都道府県がそれを勘案して指定に条件を付けられる仕組みも設けられました(同条第6項〜第8項、厚生労働省「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」令和8年6月)。
実際に、京都市は令和7年11月1日から令和10年3月31日まで、市内の5つの障害福祉圏域すべてで、B型の新規指定や定員増などを規制しています。今後、供給量がサービス必要見込み量を下回る圏域が生じた場合は、公募によって事業者指定等を行う方針です。公募の実施は毎年度判断され、実施する場合は別途公表されます。なお、令和9年度向けの公募は実施しないとされています(令和8年9月1日更新の市の案内)。大阪市も、B型の新規指定(令和8年8月1日指定から令和9年7月1日指定まで)と、利用定員の追加(令和8年7月1日変更から令和9年6月1日変更まで)の受付を停止しました。
総量規制が働くのは、新たな指定の申請や、自治体によっては定員の追加の場面です。開設を考える方にとっては、地域ごとの規制の有無が出発点になります。
令和9年度報酬改定に向けた議論
令和8年8月27日の第62回障害福祉報酬改定検討チームでは、「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」が示されました。論点は、次の4つの柱で整理されています。
- ①持続可能なサービス提供体制の確保
- ②希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応
- ③サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保
- ④地域差や人口減少への対応等
このうち③では、「営利法人を中心に、事業所数や利用者数が大幅に増加しているサービスが見られる中、制度の持続可能性の確保が重要な課題」とされています。そのうえで、「メリハリのきいた報酬体系とする必要があるのではないか」と書かれています。先ほどのガイドラインも踏まえた更なる対応の検討も、論点に挙がっています。
就労支援については、就労選択支援の状況や「障害者就労に係る雇用福祉横断検討会」の議論も踏まえて検討するとされています。いずれも論点(案)の段階で、B型の報酬の具体的な変更はこれからの議論で示されます。
就労選択支援の拡大(A型は令和9年4月から)
就労選択支援は、令和7年10月1日に始まった障害福祉サービスです。利用の対象は、就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある方と、現に利用している方です。
B型を新たに利用する場合は、令和7年10月から、原則として事前に就労選択支援を利用する仕組みになりました。ただし、50歳以上の方や障害基礎年金1級を受給している方などは例外とされています。A型を新たに利用する場合も、令和9年4月から同様の取扱いとなる予定です。
B型の側から見ると、利用の入口に就労選択支援のアセスメントが入ることで、利用者が事業所を選ぶ流れが変わる可能性があります。制度の詳細は就労選択支援とは、実施する事業所については就労選択支援事業所とはの記事で解説しています。
通っているB型事業所が閉鎖するとき|利用者・家族が知っておきたいこと
利用している方やご家族にとっては、「通っている事業所がなくなったらどうなるのか」が気になるところだと思います。障害者総合支援法には、事業所が閉鎖するときの手続と、利用者への対応が定められています。ここでは2つの条文と相談先をご説明します。
廃止・休止は1か月前までに届け出る決まり(法第46条第2項)
事業所が事業をやめる(廃止)ときや、一時的に休む(休止)ときは、事前の届出が必要です。障害者総合支援法第46条第2項は、次のように定めています。
指定障害福祉サービス事業者は、当該指定障害福祉サービスの事業を廃止し、又は休止しようとするときは、主務省令で定めるところにより、その廃止又は休止の日の一月前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
届出先は、事業所を指定した都道府県(指定都市・中核市にある事業所は、その市)です。倒産などの事情で、閉鎖までの期間が短くなる場合もあります。
事業所には、次の利用先との連絡調整が義務づけられている(法第43条第4項)
閉鎖する事業所には、利用者が次のサービスにつながるよう手助けする義務があります。障害者総合支援法第43条第4項の内容は、次のとおりです。
指定障害福祉サービス事業者は、第四十六条第二項の規定による事業の廃止又は休止の届出をしたときは、当該届出の日前一月以内に当該指定障害福祉サービスを受けていた者であって、当該事業の廃止又は休止の日以後においても引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する者に対し、必要な障害福祉サービスが継続的に提供されるよう、他の指定障害福祉サービス事業者その他関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない。
つまり、届出の日の前1か月以内に利用していて、閉鎖後も同じようなサービスを希望する方について、事業所はほかの事業所などとの連絡調整を行うことになっています。
困ったときの相談先
閉鎖の知らせを受けたら、まずは事業所のサービス管理責任者に、次の利用先の候補や今後の流れを確認しましょう。そのうえで、次の窓口も相談先になります。
- 相談支援専門員:計画相談支援を利用している場合に、サービス等利用計画を作成している担当者です。次の事業所の候補探しや、計画の見直しを一緒に進めることができます
- 市区町村の障害福祉担当窓口:受給者証の手続など、別の事業所に移るときに必要な手続を確認できます
相談支援専門員が所属する事業所については、相談支援事業所とはで解説しています。事業所が変わることは、利用者にとって大きな環境の変化です。見学や体験利用を通じて、自分に合う事業所を落ち着いて探すことが大切です。通所中の悩みについては、就労継続支援B型の利用者の悩みもご参照ください。
よくある質問
就労継続支援B型の現状と今後について、よくある質問をまとめました。
Q1. 就労継続支援B型という制度はなくなりますか?
令和9年度報酬改定に向けた論点(案)(令和8年8月)が示しているのは、事業所や利用者が大幅に増えているサービスについて、制度の持続可能性とサービスの質を確保するための見直しです。B型は、令和7年10月に始まった就労選択支援と組み合わせて、利用の流れが整えられたばかりのサービスでもあります。見直しの具体的な内容は、今後の報酬改定の議論で示されていきます。
Q2. 既存のB型事業所も令和8年度改定で報酬が下がりますか?
基本報酬を1000分の984とする特例の対象は、令和8年6月1日以降に新規指定された事業所で、既存の事業所は従前どおりです。一方、平均工賃月額の区分の見直しは既存の事業所にも関係します。ただし、令和6年度改定の前後で区分が上がっていない事業所は対象外です。区分が下がる事業所には、減少額が3%程度に収まるよう中間的な区分(A)〜(F)が設けられ、区分七と八の間の基準は据え置かれました。
Q3. B型の事業所数はどの統計で確認できますか?
主な統計は、厚生労働省の「社会福祉施設等調査」(毎年10月1日現在)、国保連データをもとにした厚生労働省の資料(月ごと)、「工賃(賃金)の実績について」(年度ごと)の3つです。数えている対象や時点が異なるため、数字は一致しません。年ごとの推移を見るときは、同じ統計どうしで比べてください。
Q4. B型事業所は今からでも開設できますか?
開設には、都道府県や指定都市・中核市から事業所の指定を受ける必要があります。総量規制を行っている地域では、新規指定の受付が停止されている場合があります。また、令和8年6月1日以降に指定を受けた事業所には、令和9年度報酬改定までの間、基本報酬の特例(1000分の984)が適用されます。重度障害者への配慮や離島・中山間地域などの例外があります。新規指定の審査では、事業計画や生産活動の内容まで確認する流れがガイドラインで示されています。まずは、開設を考えている地域の指定権者の最新の取扱いを確認することが出発点になります。
まとめ
最後に、本記事のポイントを整理します。数字は、出典と時点を確認しながら読むことが大切です。
- B型の事業所数は、社会福祉施設等調査では毎年増えており、令和6年は17,973か所でした。最新の国保連データ(令和8年3月)では20,274か所です。一方、A型は社会福祉施設等調査で令和6年に減少しました
- B型を含む障害者福祉事業の倒産は、2026年上半期に33件と増えています。平均では黒字でも、WAMの調査対象では3割ほどの事業所が赤字です
- 今後は、新規指定事業所の報酬の特例(令和9年度改定まで)、京都市・大阪市などの総量規制、令和9年度報酬改定の議論が焦点になります
- 事業所が閉鎖するときは、1か月前までの届出と、閉鎖後も同様のサービスを希望する利用者への連絡調整が法律で定められています
運営や開設を考えている方は指定権者の自治体の情報を、利用している方やご家族は相談支援専門員や市区町村の窓口の情報をあわせて確認してください。制度は改正される可能性があるため、最新情報は厚生労働省のサイト等でご確認ください。
※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。
よこぜき行政書士事務所


