相談支援専門員を目指して求人票や研修の案内を見ると、「実務経験○年以上」という条件が必ず出てきます。ところが、自分の職場や仕事がその実務経験に入るのか、パートで働いた期間をどう数えるのかは、案内を読んでもわかりにくいところです。
相談支援専門員の実務経験は、国の告示(平成24年厚生労働省告示第227号)で、業務の種類と年数が細かく決められています。本記事では、告示と厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」、都道府県の実務経験一覧表をもとに、3つのことをわかりやすくご説明したいと思います。実務経験になる職場と業務の一覧、日数の数え方、実務経験証明書です。保有資格ごとの年数の早見表と研修の流れは、相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れの記事でまとめています。
ひとことで言うと
相談支援専門員の実務経験は、告示が定める「相談支援の業務」「介護等の業務」などに従事した期間です。業務と資格によって、通算5年または10年が必要です。国家資格等に基づく業務が通算5年以上ある人は、相談支援などの業務が通算3年以上で足ります。1年は「期間1年以上、かつ実際に従事した日数180日以上」で数え、5年なら900日以上です。自分の経歴が当たるかどうかは、都道府県や事業所の指定権者が判断します。
相談支援専門員の実務経験とは:告示が定める「業務」と「年数」
相談支援専門員の実務経験とは、国の告示が定める業務に、決められた期間従事した経験のことです。必要な年数は、「どこで」「どんな業務を」「どの資格で」行ったかの組み合わせで決まります。ここでは、一覧表を読む前に押さえておきたい告示の仕組みをご説明します。
数えられるのは「相談支援」「介護等」「就労・教育の相談」と、資格に基づく業務
告示が実務経験として数えるのは、大きく分けて次の4つの業務です。
- 相談支援の業務:身体上・精神上の障がいや環境上の理由で日常生活に支障がある人の、日常生活の自立に関する相談に応じ、助言・指導などの支援を行う業務
- 介護等の業務:身体上・精神上の障がいで日常生活に支障がある人に、入浴・排せつ・食事などの介護を行い、本人と介護者に介護に関する指導を行う業務
- 就労・教育の分野の相談:障害者職業センター・障害者就業・生活支援センターでの相談支援の業務と、特別支援学校などでの就学相談・教育相談・進路相談の業務
- 国家資格等に基づく業務:医師・看護師・社会福祉士・介護福祉士など23の資格に基づく業務。相談支援などの業務と組み合わせて数えます
同じ職場に勤めていても、数えられるのはこれらの業務に従事した期間です。例えば千葉県の資料は、障害福祉サービス事業所に経理事務員として10年以上勤めた場合は認められないとしています。
必要な年数は3つの型
必要な年数は、告示第一号で次のように決められています(平成18年の制度開始時の経過措置は省略しています)。
| 型 | 数える業務 | 必要な期間(通算) |
|---|---|---|
| 5年の型 | 相談支援の業務(ロ)、資格がある人の介護等の業務(ハ)、就労・教育の分野の相談(ホ・ヘ) | 合わせて5年以上 |
| 10年の型 | 資格がない人の介護等の業務(ニ) | 10年以上 |
| 3年の型 | ロからヘまでの業務 | 3年以上。かつ、国家資格等に基づく業務(ト)が5年以上 |
表の「資格がある人」は、社会福祉主事任用資格がある人や、介護職員初任者研修の修了者、保育士などを指します。詳しくは次の章でご説明します。
都道府県の「実務経験一覧表」は告示を整理したもの
都道府県や研修の実施機関は、この告示を読みやすく整理した一覧表を公開しています。資料の名前は「相談支援専門員の要件となる実務経験について」「実務経験早見表」「相談支援専門員実務経験一覧表」など、都道府県によってさまざまです。
中身は告示第227号に基づいていますが、区分に付ける記号や、「準ずる」施設・業務の挙げ方が都道府県ごとに違います。例えば大阪府は告示と同じイ〜ト、東京都は第1〜第7、沖縄県はA〜E、千葉県はa〜fを使っています。記号の対応は、次の章の最後に表でまとめます。
なお、大阪府の資料は、計画相談支援の告示(第227号)に加えて、障害児相談支援(平成24年厚生労働省告示第225号)と地域相談支援(同第226号)の告示の実務経験の参考資料としても作られています。
【一覧表】相談支援専門員の実務経験になる職場と業務
ここからは、告示に沿って、実務経験になる職場と業務を一覧にします。国のQ&Aで「準ずる」とされたものも加えています。ただし、個々の経歴が当たるかどうかの最終的な判断は、研修を実施する都道府県や、事業所を指定する市区町村などの指定権者が行います。
相談支援の業務(5年の型)になる職場
相談支援の業務は、通算5年以上で要件を満たします。資格は問われませんが、病院・診療所での相談支援の業務には、従事する人に条件があります(後述)。告示が挙げる職場は次のとおりです。
| 告示の区分 | 職場 |
|---|---|
| ロ(一) | 一般相談支援事業、特定相談支援事業、障害児相談支援事業、介護保険の居宅介護支援事業・介護予防支援事業など |
| ロ(二) | 児童相談所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、精神障害者地域生活支援センター(旧制度の施設)、福祉事務所など |
| ロ(三) | 障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、精神保健福祉センター、救護施設・更生施設、介護老人保健施設、介護医療院など |
| ロ(四) | 病院・診療所(従事する人に条件あり) |
| ホ | 障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター |
| ヘ | 特別支援学校など(就学相談・教育相談・進路相談の業務) |
※ ロ(一)〜(三)は、それぞれ「その他これらに準ずる」事業・施設を含みます。
厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)は、「準ずる」ものを具体的に示しています。障害者相談支援事業や基幹相談支援センターなど地域生活支援事業の相談支援業務、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業などの相談支援業務が含まれるとしています(問20)。地域包括支援センターの相談支援の業務(介護予防支援事業を除く)も、準ずるものとして認めて差し支えないとしています(問21)。
病院・診療所での相談支援の業務は、次のいずれかに当たる人に限られます(告示 第一号ロ(四))。
- 社会福祉主事任用資格がある人
- 介護職員初任者研修に相当する研修を修了した人
- トの23の資格のいずれかがある人
- ロ(一)〜(三)の職場で従事した期間が1年以上ある人
基幹相談支援センターの役割は基幹相談支援センターとは、相談支援事業所の種類は相談支援事業所とはの記事でご説明しています。ホの2つの機関については、障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)とはと地域障害者職業センターとはの記事をご覧ください。
介護等の業務(資格により5年または10年)になる職場
介護等の業務は、資格の有無で必要な年数が変わります。告示が挙げる職場は次のとおりです。
| 告示の区分 | 職場 |
|---|---|
| ハ(一) | 障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、病院・診療所の療養病床など |
| ハ(二) | 障害福祉サービス事業、障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)、老人居宅介護等事業など |
| ハ(三) | 病院・診療所、薬局、訪問看護事業所など |
これらの職場で介護等の業務に従事した期間は、資格によって必要な年数が変わります(告示 第一号ハ・ニ)。次のいずれかに当たる人(告示では「社会福祉主事任用資格者等」)なら通算5年以上、当たらない人は通算10年以上です。
- 社会福祉主事任用資格がある人
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)に相当する研修を修了した人。Q&Aは、介護職員実務者研修など、初任者研修以上の内容を扱う研修も含むとしています(問17)
- 保育士(一定の区域内の施設・事業所では、地域限定保育士・国家戦略特別区域限定保育士も含まれます)
- 児童指導員任用資格がある人
- 精神障害者社会復帰指導員の要件に当たる人
社会福祉主事任用資格者等に当たる人は、資格を取る前の期間も含めて5年の経験があればよいとされています。大阪府・福岡県の資料が平成18年8月24日の主管課長会議資料を出典として案内しており、千葉県のQ&Aも同じ扱いです。介護の仕事を続けてきた人が介護職員初任者研修などを修了すると、それまでの介護の期間も含めて5年の型で数えられることになります。
国家資格等に基づく業務(3年の型)
次の23の資格のいずれかで、その資格に基づく業務に通算5年以上従事した人は、ロからヘまでの業務が通算3年以上で要件を満たします(告示 第一号ト)。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士、公認心理師
数えられるのは、資格を持っている期間ではなく、その資格に基づく業務に従事した期間です。例えば、栄養士の資格を持つ人が資格と関係のない介護等の業務に従事した期間は、この区分の実務経験には数えないとされています(兵庫県の令和8年度の初任者研修のQ&A)。
都道府県の一覧表には、作成時期によって公認心理師が載っていないものがあるため、資格の一覧は告示の原文で確かめると確実です。
迷いやすい職種の早見表
同じ「支援員」や「相談員」でも、職場や業務の中身によって扱いが変わります。一次資料に扱いが書かれているものを中心に、迷いやすい職種をまとめました。
| 職場・仕事 | 告示の区分 | 扱いと根拠 |
|---|---|---|
| 居宅介護支援事業所のケアマネジャー | ロ(一) | 相談支援の業務として数える(告示) |
| 地域包括支援センターの相談業務(介護予防支援事業を除く) | ロ(一)に準ずる | 認めて差し支えない(Q&A問21) |
| 基幹相談支援センター、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業などの相談 | ロ(一)に準ずる | 含まれる(Q&A問20) |
| 保健所の保健師としての精神保健相談業務 | ロに準ずる | 実務経験と見なしてよい。保健所は診療所や、児童相談所・更生相談所などに準ずると考えられる(Q&A問19) |
| 市区町村役場・保健所での相談業務 | ロ(二)の施設として扱う例あり | 東京都の資料は、ロ(二)の施設に「保健所、市町村役場」を挙げている |
| 特別養護老人ホームや障害者支援施設の生活相談員 | ロ(三) | 相談支援の業務に従事した期間を数える(告示) |
| 生活介護・グループホーム・就労継続支援などで介護を行う生活支援員 | ハ(二)・ニ | 介護等の業務に当たる期間を、資格により5年または10年の型で数える(告示) |
| 就労継続支援・就労移行支援の職業指導員・就労支援員 | 都道府県の一覧表で確認 | 大阪府は、介護等の業務の説明に「その他の職業訓練や職業教育等の業務」を含めている |
| 児童発達支援・放課後等デイサービスの指導員・保育士 | ハ(二)・ニ | 障害児通所支援事業での介護等の業務に当たる期間を数える(告示) |
| 保育所・幼稚園・学校で、障がいのある子もいた | 対象外とする県がある | 千葉県・兵庫県の扱いは「よくある質問」のQ5を参照 |
| 障害福祉サービス事業所の経理などの事務 | 対象外 | 認められない(千葉県の資料、兵庫県のQ&A) |
| 公的な補助・委託で運営される小規模作業所 | 条件つき(千葉県は介護等の業務として扱う) | 勤務の記録が整い、所属長が証明できれば含まれる(千葉県・大阪府・福岡県の資料) |
| 公的な委託・補助によらない民間団体の相談支援 | ロ(一)に準ずる(条件つき) | 相談支援事業者の指定を受けている、または受けようとする事業所で、指定前から相談支援業務を続けている場合に限る。本人がその事業所で相談支援業務に5年以上従事したことを事業所の長が証明し、それが客観的に分かる資料(記録が十分でなければ活動の報告書等でも可)があること(平成23年10月26日の厚生労働省事務連絡) |
表の「数える」は、その業務に実際に従事した期間が対象になるという意味です。個々の経歴の当てはめは、都道府県や指定権者に確認してください。就労継続支援B型の事業所の仕組みは、就労継続支援B型とはの記事でご説明しています。
自分の都道府県の一覧表の探し方と、記号の対応
都道府県の一覧表は、「(都道府県名) 相談支援専門員 実務経験」で検索すると見つけやすくなります。研修の案内ページのほか、事業所の指定申請の様式ページに置かれていることもあります。例えば東京都は、「東京都障害者サービス情報」の書式ライブラリーにある「相談支援専門員の実務経験」の分類に、実務経験証明書を作るときに使う資料を掲載しています。
主な都道府県の記号と、告示の区分の対応は次のとおりです。
| 告示 | 内容 | 大阪府 | 東京都 | 沖縄県 | 千葉県 |
|---|---|---|---|---|---|
| イ | 経過措置(3年) | イ | 第1 | A | ― |
| ロ | 相談支援の業務(5年) | ロ | 第2 | B①〜④ | a |
| ハ | 介護等・資格あり(5年) | ハ | 第3 | C | b |
| ニ | 介護等・資格なし(10年) | ニ | 第4 | D | e |
| ホ | 就労分野の相談(5年) | ホ | 第5 | B⑤ | c |
| ヘ | 教育分野の相談(5年) | ヘ | 第6 | B⑥ | d |
| ト | 国家資格等の業務(5年) | ト | 第7 | E | f |
都道府県の資料には、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の実務経験が並べて載っていることがあります。サービス管理責任者などは別の告示で年数が決められているため、相談支援専門員の表と取り違えないよう注意が必要です。
【数え方】1年=180日、5年=900日:期間と日数の両方を満たす
実務経験の「年数」は、在籍していた期間だけでなく、実際に業務に従事した日数でも数えます。パートや非常勤で働いてきた人、複数の職場を経験した人は、この数え方で結果が変わることがあります。ここでは、日数の物差しと、通算・重複のルールを順にご説明します。
期間と日数の2つの物差し
都道府県の資料では、1年以上の実務経験を次のように定義しています。業務に従事した期間が1年以上で、かつ実際に業務に従事した日数が1年当たり180日以上であることです。例えば5年以上なら、期間が5年以上で、日数が900日以上です(千葉県「相談支援専門員の要件となる実務経験について」)。
同じ考え方で、3年以上は540日以上、10年以上は1,800日以上です(沖縄県「相談支援従事者初任者研修の応募要件」)。
1年ごとに180日が必要なわけではありません。国のQ&Aは、勤務期間が通算で必要な年数以上あり、勤務日数が「年数×180日」以上あればよく、180日従事していない年があってもよいとしています(問16)。
パート・非常勤の計算例
パートや非常勤でも、期間と日数の両方を満たせば実務経験になります。週の勤務日数ごとに、5年の型(900日)に届くまでの目安を計算すると、次のとおりです(1年を50週として計算)。
| 週の勤務日数 | 1年の日数の目安 | 900日に届くまでの目安 |
|---|---|---|
| 週5日 | 約250日 | 約3.6年(先に期間の5年が必要) |
| 週4日 | 約200日 | 約4.5年(先に期間の5年が必要) |
| 週3日 | 約150日 | 約6年 |
| 週2日 | 約100日 | 約9年 |
週4日以上なら、期間が5年に達した時点で900日にも届きます。週3日以下では、900日に届くまで勤務を続ける必要があります。1日の勤務時間が短い日の扱いなどは、提出先の証明書の様式や記入上の注意で確かめておくと安心です。
複数の職場・業務を通算する
実務経験は、1つの職場で続けて積む必要はありません。告示は「通算して」と定めており、転職した場合も、それぞれの職場での期間と日数を合わせて数えます。
ただし、合わせられる組み合わせは告示で決まっています。5年の型で合わせられるのは、相談支援の業務(ロ)、資格がある人の介護等の業務(ハ)、就労・教育の分野の相談(ホ・ヘ)です。例えば、資格を持って介護等の業務に2年、相談支援事業所で相談支援の業務に3年従事した場合は、通算5年になります。
資格がない人の介護等の業務(ニ)は、告示の文言上、10年の型で数えます。千葉県の資料も、aからd(5年)とe(10年)を分けて示しています。
期間が重なっている場合:国家資格等の業務との重なりは両方に数える
同じ時期に複数の業務に従事していた場合は、その期間をどう数えるかが問題になります。国のQ&Aが扱いを示しているのは、国家資格等に基づく業務との重なりです。
国家資格等に基づく業務の期間と、相談支援の業務や介護等の業務の期間が重なっている場合は、どちらにも数えることができます。国のQ&Aは、国家資格等に基づく業務に従事した期間と、相談支援業務・直接支援業務に従事した期間が重複している場合は、どちらにも算定してよいとしています。例えば、国家資格等に基づく業務が相談支援業務にも当たる場合は、8年以上ではなく5年以上の実務経験で足ります(問18)。
重なりの扱いを一覧表に注記している県もあります。福岡県の資料は「A~Eの期間が重複する場合は、何れかの期間のみを算定します」と注記し、同じ資料に、国家資格等による業務の期間との重複は「どちらとしてもカウントしてよい」という注記も載せています(A~Eは同県の資料の区分の記号)。岡山県の資料にも、同じ趣旨の2つの注記があります。重なっている期間がある場合は、提出先の一覧表の注記で数え方を確かめてください。
資格を取る前の期間と、休職期間
資格を取る前の期間の扱いは、区分によって異なります。社会福祉主事任用資格者等の介護等の業務(ハ)は、前述のとおり、資格を取る前の期間も含めて数えられます。一方、国家資格等の業務(ト)は、告示が「その資格に基づき当該資格に係る業務に従事した期間」としているため、資格に基づいて行った業務の期間を数えます。
日数は「実際に業務に従事した日数」で数えるため、産休・育休や病気休職などで業務に従事しなかった日は、日数に入りません。休職していた期間を「期間」に含めてよいかは、提出先の様式や記入上の注意で確かめてください。
実務経験証明書:いつ、誰に、何のために出すか
実務経験証明書は、勤めていた事業所や施設が、業務の内容と従事した期間・日数を証明する書類です。研修の申込みや、相談支援専門員として配置するときの手続で使われますが、求められる場面や様式は都道府県・市区町村によって異なります。ここでは、目指す人と、証明書を書く事業所の両方に向けて、押さえておきたい点をご説明します。
証明書が求められる2つの場面
証明書が求められる場面は、主に「研修の申込み」と「相談支援専門員として配置するときの手続」です。どちらで提出するかは、都道府県によって扱いが分かれます。
兵庫県は、研修受講にかかる実務経験の確認は申込書への記載による自己申告で行うため、研修の申込みに実務経験証明書の提出は必要ないとしています。証明書は、相談支援専門員として配置される際に、事業所を通じて指定担当部署へ提出する流れです。東京都の令和8年度の初任者研修の実施案内も、実務経験の要件は事業者指定の担当に確認するよう案内しています。指定特定相談支援事業・障害児相談支援事業の場合、その担当は事業所の所在地の区市町村です。
一方、群馬県の令和8年度の初任者研修募集要項は、相談支援専門員として従事するための課程(基礎課程+相談支援専門員課程)の申込みに、実務経験(見込)証明書と実務経験通算表の提出を求めています。研修の申込みの時点で実務経験を満たしている必要があるかどうかも、都道府県によって異なります。例は相談支援専門員の資格の記事でご紹介しています。
配置の場面では、相談支援事業所の指定申請や、相談支援専門員を変更したときの届出に、証明書の添付を求める市区町村があります。例えば東京都文京区は、相談支援専門員を変更したときの必要書類に、経歴書・実務経験証明書・研修修了証を挙げています。杉並区の申請書類チェック表も、相談支援専門員の経歴書と実務経験(見込)証明書との整合性を確認項目にしています。
誰が書くか:勤めていた事業所が証明する
証明書は、本人ではなく、勤めていた事業所の側が書くものです。杉並区のチェック表は、実務経験証明書は原則として当時従事していた事業所の法人に証明を出してもらうとしています。
勤め先が複数ある場合は、それぞれの事業所に証明を依頼することになります。様式は都道府県・市区町村ごとに定められているため、提出先の様式を使います。郡山市の指定申請の書類一覧には「実務経験(見込)証明書」があり、群馬県の初任者研修でも同じ名前の様式を使います。
早めに準備しておきたいこと
以前の職場に証明を頼む場合は、依頼してから受け取るまでに時間がかかることもあります。研修の申込みや配置の時期が決まってから慌てないよう、次のような準備をしておくと安心です。
- 退職するときに、証明書を頼んでおく
- 勤務した期間がわかる雇用契約書や給与明細を保管しておく
結婚などで姓が変わった場合について、杉並区は、現在の姓と資格証の姓が異なるときは、公的機関が発行する書類(運転免許証の裏書、戸籍抄本など)で改姓を確認するとしています。群馬県の令和8年度の初任者研修募集要項も、資格証書等の氏名と現在の氏名が異なる場合は、戸籍抄本の写しなど、氏名の変更が分かる書類の添付を求めています。勤めていた事業所が閉鎖しているなど、証明を受けにくい事情がある場合の扱いは、研修の実施機関や指定権者に問い合わせてください。
事業所の管理者・人事担当者が確認すること
証明書を書く事業所の側は、勤務の記録で、従事した期間と日数を確かめてから証明することになります。業務の内容は、その人が実際に担当していた業務を、一覧表の区分に当てはめられるように書きます。記録が十分でない場合の扱いは、提出先に確認してください。
申込みや証明の内容が事実と異なると、本人に不利益が及びます。東京都の初任者研修の実施案内は、申込みの内容に虚偽の申告が認められた場合は申込みを無効とし、以後の申込みも受け付けないとしています。
研修を受けた後も問われる実務経験(現任研修)
実務経験が問われるのは、相談支援専門員になるときだけではありません。相談支援専門員として働き続けるために5年度ごとに受ける現任研修にも、実務経験の要件があります。研修を受ける時期の判断にかかわるため、ここで押さえておきます。
現任研修の受講要件:初回は過去5年間に通算2年以上
告示は、現任研修の受講対象を次のいずれかとしています(告示 第二号)。
- 受講を始める日の前5年間に、相談支援等の業務に通算2年以上従事していた人
- 現任研修を修了し、現に相談支援等の業務に従事している人
初任者研修の修了後、初めて現任研修を受けるときは、必ず前者の要件を満たす必要があります(厚生労働省「相談支援専門員制度について」)。
この「2年」の数え方は、初任者研修の前の実務経験とは少し違います。国のQ&Aは、現任研修の受講については、必ずしも1年につき180日以上の実務経験を求めるものではないとしています(問16)。また、山形県の令和8年度のQ&Aは、ここでいう実務経験は相談支援事業所等での相談支援の実務経験を指すとしています。相談支援専門員に限らず、相談員などとして相談業務に従事した期間も含まれるという扱いです。
期限の数え方は相談支援専門員の資格の記事でもご説明しています。現任研修の内容と日程は、別の記事で扱う予定です。
相談支援専門員の実務経験についてよくある質問
相談支援専門員の実務経験について、よく検索されている疑問にお答えします。
Q1. 相談支援専門員の実務経験は何年・何日必要ですか?
業務と資格によって、次の3つの型のいずれかです。
- 通算5年(900日以上)
- 通算10年(1,800日以上)
- 国家資格等に基づく業務5年と、ロからヘまでの業務3年(540日以上)の組み合わせ
資格がなくても、相談支援事業所や福祉施設などでの相談支援の業務なら、通算5年で要件を満たします(病院・診療所での業務には条件があります)。日数は通算で数え、180日に満たない年があっても構いません(Q&A問16)。
Q2. 実務経験証明書は必要ですか?
求められる場面は、都道府県によって異なります。兵庫県のように研修の申込みでは不要とし、相談支援専門員として配置される際に事業所を通じて指定担当部署へ提出する扱いもあれば、群馬県のように研修の申込みで実務経験(見込)証明書を求める扱いもあります。提出の時期と様式は、勤務先(予定)がある都道府県の研修案内と、事業所の指定権者に確認してください。
Q3. 介護福祉士・保育士の場合はどうなりますか?
介護福祉士は、告示トの23の資格に含まれます。国のQ&Aは、国家資格等に基づく業務の期間と、相談支援業務・直接支援業務の期間が重なっている場合は、どちらにも算定してよいとしています(問18)。そのため、介護福祉士として障害者支援施設や特別養護老人ホームなどで介護等の業務に通算5年以上従事した場合は、トの5年と、ロからヘまでの3年の両方を満たすことになります。
保育士は、告示トの23の資格には含まれず、社会福祉主事任用資格者等(ハ)として扱われます。障害児入所施設や、児童発達支援・放課後等デイサービスなどで介護等の業務に通算5年以上従事すれば要件を満たします。保育所での勤務は扱いが分かれるため、Q5もご覧ください。
Q4. パートでも実務経験になりますか?
告示の業務に従事し、期間と日数の両方を満たせば、パートや非常勤でも実務経験になります。週3日以下の勤務では、期間が5年に達しても900日に届かないことがあるため、勤務日数を確認しておきましょう。
Q5. 保育所や幼稚園で、障がいのある子を担当した期間は数えられますか?
千葉県は、幼稚園・保育所・学校などで、受け持つ子どもの中に障がいのある子がいたというだけの場合は認められないとしています。特別支援学級は対象としていますが、告示が数えるのは、障がいのある児童・生徒の就学相談・教育相談・進路相談の業務に従事した期間です(告示 第一号ヘ)。兵庫県も、直接支援業務に該当しない保育所に勤めた期間は換算できないとしています。一方、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援事業は、告示が介護等の業務の職場として挙げています。
まとめ
相談支援専門員の実務経験は、告示が定める業務に、決められた期間と日数だけ従事した経験です。本記事のポイントを整理します。
- 数えられるのは相談支援・介護等・就労や教育の相談の業務と、23の資格に基づく業務で、事務だけの仕事は入りません
- 年数は通算5年・10年、または国家資格等の業務5年と組み合わせる3年です
- 1年は「期間1年以上、かつ180日以上」で数えます。180日に満たない年があっても、通算で満たせば構いません
- 国家資格等に基づく業務と、相談支援・介護等の業務の重なりは、両方に数えられます(Q&A問18)
- 実務経験証明書は勤めていた事業所に証明してもらいます。提出の場面と様式は、都道府県・市区町村で異なります
自分の経歴が当たるかどうかは、勤務先(予定)がある都道府県の一覧表で区分を確かめ、研修の実施機関や事業所の指定権者に確認してください。制度は改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省や都道府県の案内でご確認ください。
相談支援専門員の仕事の全体像は相談支援専門員とは?何をしてくれる人か・なるための要件の記事、保有資格ごとの年数と研修の流れは相談支援専門員の資格|なるには何年?資格別の年数と研修の流れの記事でご説明しています。
参考資料
本記事で参照した告示と、厚生労働省・自治体の資料は次のとおりです。
- 指定計画相談支援の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの(平成24年厚生労働省告示第227号)(厚生労働省 法令等データベース)
- 厚生労働省「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)
- 厚生労働省「相談支援専門員制度について(令和2年4月1日~)」
- 厚生労働省 事務連絡「相談支援専門員の要件としての実務経験の取扱いについて」(平成23年10月26日)(東京都障害者サービス情報に掲載)
- 千葉県「相談支援専門員の要件となる実務経験について」
- 大阪府「相談支援専門員の要件となる実務経験について」
- 東京都障害者サービス情報 書式ライブラリー「相談支援専門員の実務経験」、「令和8年度 東京都相談支援従事者初任者研修 実施案内」
- 沖縄県「相談支援従事者初任者研修の応募要件」
- 兵庫県「相談支援従事者研修『実務経験要件』について」、同「相談支援専門員の要件となる実務経験について」、兵庫県社会福祉事業団「令和8年度 兵庫県相談支援従事者初任者研修に関するQ&A」
- 福岡県「相談支援専門員の要件となる実務経験」、岡山県「相談支援専門員の要件となる実務経験」
- 山形県「令和8年度 相談支援従事者研修に関するQ&A」
- 群馬県「令和8年度相談支援従事者初任者研修募集要項」
- 文京区「指定特定相談支援事業所及び指定障害児相談支援事業所指定の変更に係る必要書類一覧」、杉並区「指定申請に係る書類一覧・申請書類チェック表」、郡山市「指定等申請に係る必要(添付)書類一覧表【新規指定】」
※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。
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