はじめに

休職中に主治医や勤務先からリワークを勧められ、通い始めたものの、「本当に意味があるのだろうか」「毎日通うのがしんどい」と感じることがあるかもしれません。

リワークは、どの機関で受けるかによって目的が異なります。

期待していたこととプログラムの目的がずれていると、通う意味が見えにくくなることがあります。

本記事では、リワークは意味ない・しんどいと感じたときに確かめたい5つのこと(リワークの目的、しんどいと感じる場面とプログラムの意図、効果に関する研究と実績の数字、利用が必須かどうか、相談先)を、国や実施機関の資料をもとに分かりやすくご説明したいと思います。

通い続けるか、休むか、やめるかは、体調を踏まえて主治医と相談して決めることになります。

本記事は、その相談の前に、制度と仕組みを整理するためのものです。

リワークは意味ない?まず「どのリワークか」と目的を確かめる

リワークは、うつ病などの精神疾患で休職した人が職場復帰に向けて取り組むプログラムで、行う機関によって目的が異なります。

「意味がない」と感じたときは、まず自分が通っている(勧められている)リワークがどの区分に当たり、何を目的にしているかを確かめることが出発点になります。

ここでは、区分ごとの目的と、自分の区分の見分け方をご説明します。

機関ごとに異なるリワークの目的

日本うつ病リワーク協会(以下、協会)は、リワークを実施する機関によって、医療リワーク・職リハリワーク・職場リワークの3種類に分けています(日本うつ病リワーク協会「リワークプログラムとは」)。

当サイトでは、これに障害福祉サービスによる復職支援と民間の自費サービスを加えた5つの区分で整理しています。

区分主な目的(各機関・資料の説明)利用を判断する人
① 医療機関のリワーク(医療リワーク)再休職の予防を最終目標として、働き続けるための病状の回復と安定を目指す治療(協会)主治医(医療機関)
② 地域障害者職業センターのリワーク支援(職リハリワーク)職場への適応に向けた本人と雇用主への支援。病状を回復させるための治療ではない(協会)本人・勤務先・主治医の3者が支援計画に合意
③ 障害福祉サービスによる復職支援(復職支援型)復職に必要な生活リズムの確立、体力や集中力の回復、主治医や産業医との連携等を通じた円滑な職場復帰(厚生労働省の留意事項通知)市区町村(勤務先・主治医などの書類をもとに支給決定)
④ 勤務先のリワーク(職場リワーク)復職させて安定した就労ができるのかの見極め(協会)勤務先
⑤ 民間の自費サービスサービスごとに異なる(国の職場復帰支援の手引きは、内容や目標は多様としている)本人

この表は、目的の違いが分かるように当サイトで整理したもので、法令上の分類ではありません。

協会の理事長は、3つのリワークは目的も内容も異なるもので、利用する人の目的に応じた使い分けが必要だと述べています(五十嵐良雄「リワークプログラムの現状と課題」日本労働研究雑誌No.695、2018年6月)。

5つの区分それぞれの実施機関や費用の出どころは、リワークとは?5つの種類と期間・費用・使うまでの流れでご説明しています。

「意味がない」と感じたら、期待していたことと目的を比べる

意味がないと感じる理由が、区分の目的とのずれにある場合もあります。

例えば、「早く仕事の感覚を取り戻したい」と考えて医療機関のリワークに通うと、病気についての講義や休職の経緯の振り返りに時間が割かれ、遠回りに感じるかもしれません。

協会は、医療機関のリワークを、再休職の予防を最終目標とする治療と位置づけています。

反対に、体調を整えることを期待して職業センターのリワーク支援を使う場合も、ずれが生じることがあります。

職業センターのリワーク支援は職場への適応に向けた支援で、通院や治療は主治医のもとで続けることになります。

勤務先のリワーク(試し出勤など)には、勤務先が「安定して働けるか」を見極める場という性格があります(協会)。

国の職場復帰支援の手引きは、事業者が職業リハビリテーションや医療リハビリテーション(デイケアなど)を利用する場合、それらが何を目的としているかを見極めることが重要としています(厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

そのうえで、それらが事業場の目的に適していることを確認することも重要としています。

意味がないと感じたときは、①通っている区分の目的、②自分が期待していたこと、③勤務先が求めていることの3つを並べてみると、ずれがあるかどうかを確かめられます。

ずれがあるときは、期待していたことを主治医やリワークのスタッフに伝えて、進め方を相談することが考えられます。

自分が通っているのがどの区分か分からないとき

名前に「リワーク」と付いていても、それだけではどの区分かは分かりません。

例えば、就労移行支援や自立訓練の事業所が、休職中の方への支援を「リワーク」の名前で案内していることがあります。

区分は、費用の払い方や、使っている書類から見分けられます。

  • 健康保険を使って医療機関に費用を払っている、自立支援医療受給者証(精神通院医療)を使っている:① 医療機関のリワーク
  • 地域障害者職業センターに通い、受講料がかからない:② 職業センターのリワーク支援
  • 障害福祉サービス受給者証の交付を受け、事業所と契約している:③ 障害福祉サービスによる復職支援
  • 勤務先の制度として、勤務先の指示や手配で参加している:④ 勤務先のリワーク
  • 民間の事業者と契約し、利用料を自分で払っている:⑤ 民間の自費サービス

区分ごとの費用の仕組みは、リワークの費用はいくら?5種類の自己負担と傷病手当金でご説明しています。

リワークがしんどいと感じる5つの場面と、プログラムの意図

リワークがしんどいと感じる場面の中には、プログラムの仕組みとして意図されているものもあります。

ここでは、協会や国の資料の説明をもとに、5つの場面と、それぞれのプログラムが何のために行われているかを整理します。

体調がつらいときに通い続けるか、休むかは、主治医と相談して決めることになります。

毎日決まった時間に通うのがつらい

協会は、プログラムに応じて決まった時間に施設へ通うこと自体を、会社への通勤を想定した訓練と説明しています。

手引きも、職場復帰の可否の判断基準の例として、「通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる」「決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である」などを挙げています。

一方で、通う日数は、最初から毎日とは限りません。

協会の理事長は、通常は1〜2日の参加から始め、段階的に日数を増やしていくことを、リハビリテーションの原則としています(五十嵐 2018)。

障害福祉サービスによる復職支援でも、国の資料は、段階的に通所の頻度を増やし、復職に必要な生活リズムを確立する進め方を示しています(厚生労働省「一般就労中の就労系障害福祉サービスの一時的な利用(復職支援)について」社会保障審議会障害者部会 第159回 資料3)。

通う日数や時間がつらいときは、調整できるかを主治医やスタッフに相談することが考えられます。

仕事と関係なさそうなプログラムがある

協会によると、プログラムの初期には、久しぶりの集団生活に慣れるための軽スポーツやレクリエーションが行われることがあります。

協会は、医療機関のプログラムを、個人プログラム・特定の心理プログラム・教育プログラム・集団プログラム・その他のプログラムの5つの形態に分けています。

運動や個人面談は、このうち「その他のプログラム」に含まれます。

仕事に近い内容としては、オフィスワークや軽作業も行われます(協会)。

あるプログラムが何のためにあるのか分からないときは、スタッフに目的を尋ねてみることが考えられます。

グループワークや人前で話すのがつらい

協会は、実際に役割分担をして共同作業などを行い、対人スキルの向上などを目指すものを「集団プログラム」と定義しています。

協会の理事長は、職場で働くことは対人関係が主要な要素であり、集団療法と心理療法を取り入れたリワークプログラムの成り立ちは自然なものだったと説明しています(五十嵐 2018)。

人前で話すことがつらいときは、そのことをスタッフに伝え、参加の仕方を相談することが考えられます。

休職した経緯を振り返るのがつらい

協会によると、プログラムの途中では、休職したときの働き方や考え方を振り返って休職に至った要因を確かめ、復職したときに同じ状況にならないための準備をしていきます。

協会の理事長は、この段階を、ストレスと感じた環境の要因と、自分の中にある要因や課題を整理する作業と説明しています(五十嵐 2018)。

振り返りがつらいと感じるときは、そのことを主治医やスタッフに伝え、進め方を相談することが考えられます。

休職期間や収入、復職の時期が気になって焦る

休職できる期間の上限は、勤務先の就業規則などで定められていることがあります。

手引きは、私傷病による休業の最長(保障)期間などを、労使の十分な協議によって決め、あらかじめ就業規則等に定めて周知しておくことが望ましいとしています。

休職期間の残りが気になるときは、人事担当者に、残りの期間と復職の手続きを確かめておくと、計画を立てやすくなります。

休職中の給与や健康保険の傷病手当金の扱いは、勤務先の就業規則や、加入している健康保険の保険者が判断するため、それぞれに確認することになります。

休職中の給料と傷病手当金の仕組みは、リワークの費用はいくら?5種類の自己負担と傷病手当金でもご説明しています。

手引きは、病気による休業は、多くの労働者にとって働くことについての自信を失わせる出来事であるとしています。

そのうえで、管理監督者に、労働者の焦りや不安に耳を傾け、健康の回復を優先するよう努めることを求めています。

復職の時期を最終的に決めるのは勤務先です(手引きの第4ステップ)。

リワークの効果は?研究と実績の数字の読み方

リワークに意味があるかどうかを考える材料として、利用した人のその後を調べた研究や、実施機関の実績が公表されています。

ただし、数字は、誰を対象に、いつ、何を数えたものかによって読み方が変わります。

ここでは、医療機関のリワークの研究と、職業センターのリワーク支援の実績を、対象・時点・定義とあわせてご紹介します。

医療機関のリワークの研究:途中でやめた人と、復職後の就労継続

医療機関のリワークについては、協会(当時は「うつ病リワーク研究会」)の会員施設を対象にした調査が、平成28年度の厚生労働科学研究の報告書にまとめられています(五十嵐良雄ほか「リワークプログラム利用者の復職後1年間の就労継続性に関する大規模調査」厚生労働科学研究「精神障害者の就労移行を促進するための研究」平成28年度 分担研究報告書)。

調査は、診療録などの既存の資料をさかのぼって調べる方法で行われ、調査対象期間は2007年1月1日〜2015年12月31日です。

この調査の「復職」には、正式な復職のほか、会社の指示によるリハビリ勤務も含まれます。

調べたこと対象結果
途中でやめた人の割合協力した施設の2014年の新規利用登録者2,936人プログラムからの脱落率は20.5%
復職後1年間の就労継続85施設の利用者で、2007年1月〜2014年12月に復職した5,014人復職1年後の就労継続推定値は83.2%
利用者と非利用者の比較気分障害で復職した人のうち、傾向スコアで条件をそろえた利用者と非利用者の合計446人(非利用者は企業の健康管理室のデータ)利用者のほうが就労継続が統計的に有意に良好。非利用者のハザード比は2.343(95%信頼区間1.456〜3.772)

就労継続推定値は、復職後に精神疾患による再休職や失職などが起きずに働き続けている人の割合を、統計の方法(カプラン・マイヤー法)で推定した値です。

ハザード比2.343は、条件をそろえて比べたとき、リワークを利用しなかった人に再休職などが起きる危険が、利用した人の約2.3倍と推定されたことを表します。

報告書は、この比較により、リワークプログラム利用者の再休職予防効果が示唆されたとしています。

途中でやめた理由は、利用者が自らの意思や都合で来所しなくなり、転院や行方不明となったケースが52%で、最も多くなっていました。

ほかは、途中で退職や失職をして中止となったケースが26%、病状の悪化により中止となったケースが21%、迷惑行為などによる中止が1%でした。

協会の理事長が紹介している別の比較(傾向スコアで条件をそろえた100人)でも、利用者の就労継続性が良好という結果が報告されています(大木洋子 2012。五十嵐 2018による紹介)。

職業センターのリワーク支援の復職率

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、地域障害者職業センターのリワーク支援について、令和7年度(2025年度)の対象者数を2,400人、復職率を86.2%と報告しています(JEED「令和7年度業務実績説明資料」)。

令和3年度から令和7年度までの復職率は、86.2%〜87.7%で推移しています(同)。

この資料の該当ページ(22ページ)の表と注記には、復職率を何を分母として算出したかの説明は見当たりませんでした。

職業センターのリワーク支援の対象・期間と利用の流れは、リワーク支援とは?対象者・期間・費用と利用の6ステップでご説明しています。

数字を読むときに確かめたい3つの点

研究や実績の数字は、リワークが意味ない・意味があると決めるためではなく、自分の状況に当てはまるかを考える材料として読むことが大切です。

1つ目は、対象です。

医療機関のリワークの調査は、協会の会員施設の利用者を対象にしています。

また、復職後1年間の就労継続を調べた分析(5,014人)では、就労していない人(失職者・学生など)、非正規雇用の人(パートタイム・アルバイトなど)、主治医がほかの医療機関にいる人は、対象から除かれています。

一方、途中でやめた人の割合を調べた2014年の新規利用登録者2,936人には、開始時点で就労していなかった人や非正規雇用の人が11.3%含まれており、集計によって対象の範囲が異なります。

職業センターの実績は、雇用保険の適用事業所に雇われて休職している人を対象にした支援の数字です。

2つ目は、調べ方です。

報告書は、この調査が無作為化比較試験ではないため、傾向スコアで両群の属性をそろえたとしています。

そのうえで、集められた項目は5項目と少なく、特に復職時の症状の評価を検討できなかったとしています。

報告書は、復職時の症状や社会機能の評価などを加えて効果を検討することを、今後の課題に挙げています。

また、報告書は、復職の基準が対象者の就労条件などによって大きく異なると考えられることにも触れています。

そのため、この数字だけで、リワークに通えば誰でも再休職しにくくなるとは言えません。

3つ目は、途中でやめた人の扱いです。

就労継続推定値は、復職した人を対象に計算した値で、プログラムを途中でやめた人がその後どうなったかを示すものではありません。

調査の対象期間は2007年〜2015年で、その後にプログラムの内容が変わっている可能性もあります。

数字は、「リワークは意味がない」ことを示すものでも、「通えば必ず復職できる」ことを示すものでもありません。

自分に当てはまるかどうかを、主治医と話すときの材料の一つとして使うことになります。

リワークは必須?会社から勧められたときに確かめること

勤務先からリワークを勧められたり、復職の前に利用するよう求められたりすることがあります。

リワークの利用を復職の条件にするかどうかは、勤務先の制度によって異なります。

ここでは、国の手引きでの位置づけと、勤務先に確かめておきたいことをご説明します。

国の手引きでは「検討」する項目の一つ

手引きは、厚生労働省と独立行政法人労働者健康安全機構が、事業者が職場復帰支援を行うときの参考として示した資料で、平成16年10月に作成され、平成21年3月と平成24年7月に改訂されています。

手引きは、職場復帰支援プランを作るときに検討する内容の一つとして、「事業場外資源が提供する職場復帰支援サービス等の利用についての検討」を挙げています。

また、事業場外の職場復帰支援サービスなどが利用できる場合は、これを利用することで、職場復帰の可否についてより実際的な判断ができることが多いとしています。

勤務先がリワークを勧める背景には、こうした判断の材料を得たいという考えがある場合もあります。

復職の条件になるかは、勤務先の制度で決まる

手引きには、就業規則の別則として、休業と復職の手続きや試し出勤などを定める規程の例も載っています。

リワークの利用が復職の手続きの中でどう扱われるかは、勤務先の就業規則や社内の規程、職場復帰支援プログラムによって異なります。

手引きは、最終的な職場復帰の決定は事業者が行い、社内手続きに従って適正に行われるべきとしています。

人事担当者や産業医に、次の点を確かめておくと、見通しを立てやすくなります。

  • リワークの利用が、復職の条件になっているか、判断の材料の一つか
  • 社内の規程に、復職の手続きや試し出勤の定めがあるか
  • 休職できる期間はいつまでか
  • 復職の判断に、リワーク先からの情報をどのように使うか

なお、手引きは、労働者の健康情報を主治医や家族から集めるときは、あらかじめ本人の承諾を得ることとしています。

第三者に提供する場合も、原則として本人の同意が必要としています。

医療機関・職業センター・福祉サービスは、本人の意思や同意から始まる

医療機関・職業センター・福祉サービスのリワークは、次のように、本人の意思や同意から始まります。

勤務先のリワーク(試し出勤など)は、勤務先の制度によって扱いが決まります。

  • ① 医療機関のリワーク:協会の理事長は、医療機関のリワークは利用者本人の自由意思に基づいて行われるとしています(五十嵐 2018)。
  • ② 職業センターのリワーク支援:本人・勤務先・主治医の3者が支援計画に同意して始まります。東京障害者職業センターは、利用説明会への参加の申込みは休職者本人が行うこととしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。
  • ③ 障害福祉サービスによる復職支援:本人の申請をもとに、市区町村が支給決定します。勤務先・主治医・相談支援事業所(セルフプランの場合は申請者)が作る書類も必要です。

障害福祉サービスによる復職支援の3つの条件と書類は、休職中に就労移行支援は使える?3つの条件・書類と期間を解説でご説明しています。

勤務先の求めに疑問があるときや、休職期間の満了など雇用に関わる問題になったときは、個別の事情によって判断が分かれます。

手引きも、休職した労働者の職場復帰の可否についてはさまざまな判例が出されているとして、事業者に、法律の専門家等と相談して適切に対応することを求めています。

働く人の側の相談先には、都道府県労働局や全国の労働基準監督署などに設けられている総合労働相談コーナー(無料)や、弁護士があります(厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」)。

リワークがしんどい・やめたいときの相談先

リワークがしんどい、行きたくない、途中でやめたいと感じたときは、まず区分ごとの担当者や主治医に伝えることが出発点になります。

やめるかどうかは、体調と復職の手続きの両方に関わります。

ここでは、区分ごとの相談先と、やめる・休む前に確かめたいことをご説明します。

区分ごとの相談先

主な相談先は、区分によって次のように分かれます。

区分主な相談先相談の内容の例
① 医療機関のリワーク主治医、リワークのスタッフ続けるかどうか、通う日数・時間の調整
② 職業センターのリワーク支援担当のカウンセラー(障害者職業カウンセラー)3者で合意した支援計画の見直し
③ 障害福祉サービスによる復職支援事業所のサービス管理責任者、相談支援専門員(計画相談支援を使っている場合)、市区町村個別支援計画の見直し、利用を続けるかどうか
④ 勤務先のリワーク人事担当者、産業医社内の制度での扱い
⑤ 民間の自費サービス事業者の窓口契約の内容(途中でやめた場合の扱い)

地域障害者職業センターの所在地や、リワーク支援以外のサービスは、地域障害者職業センターとはでご説明しています。

相談支援専門員がいる相談支援事業所については、相談支援事業所とは|3つの種類と利用の流れ・探し方を解説と、計画相談支援とは|費用・対象者・利用の流れを5ステップで解説でご説明しています。

気持ちのつらさを、通っている機関や勤務先とは別のところで話したいときは、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の相談窓口もあります。

全国の働く方やその家族などが、電話・SNS・メールで、匿名・無料で相談でき、受付時間は窓口ごとに決まっています(こころの耳「こころの耳の相談窓口」)。

やめる・休む前に確かめたい4つのこと

やめる・休むと決める前に、次の4つを確かめておくと、復職の手続きへの影響を把握しやすくなります。

  1. 主治医に伝える:医療機関のリワークは治療の一環として行われ、参加してよいか、いつから始めるかは主治医が判断します。続けるかどうかも、体調を踏まえて主治医と相談することになります。
  2. 勤務先との関係を確かめる:リワークの利用が復職の条件や判断の材料になっている場合、やめると復職の手続きに影響することがあります。人事担当者や産業医に、扱いを確かめておきます。
  3. 休職期間の残りを確かめる:区分を変える場合も、始めるまでに時間がかかることがあります。東京障害者職業センターは、休職期間が残り少ない場合、復職を希望する時期の3か月前には利用説明会に参加しておくことが望ましいとしています。
  4. 進め方を変えられるかを相談する:通う日数やプログラムの調整、別の区分への切り替えが選択肢になることがあります。民間の自費サービスは、途中でやめた場合の扱いを契約で確かめておきます。

リワークに通った人の体験

当サイトでは、精神科のリワークに週5日、9時から15時まで半年間休まず通えたことをきっかけに、就労継続支援A型の利用を決めた方の体験談を掲載しています。

リワークの医療スタッフからは一般就労を勧められたものの、もう一段階、リハビリの期間を設けたかったという選択の経緯も書かれています。

通い方や期間、その後の進路は人によって異なり、この体験談はその方の例です。

体験談は、福祉の仕事をしていても、自分の不調は見えなかったでお読みいただけます。

リワークについてよくある質問

ここでは、リワークの向き不向き、逆効果、リワークを受けない復職、復職できない場合、通う先の変更について、5つの質問にお答えします。

いずれも一般的な仕組みの説明で、個別の判断は主治医や勤務先と相談して決めることになります。

Q1. リワークに向いている人・向いていない人はいますか?

当サイトでは、病名や性格によって「向いている」「向いていない」と分けることはしていません。

リワークは区分ごとに対象や利用の条件が異なり、同じ人でも、時期や体調によって合う区分が変わりうるためです。

例えば、職業センターのリワーク支援は、雇用保険の適用事業所に雇われて休職している人が対象で、勤務先と主治医の協力が前提になります。

医療機関のリワークについて、協会は、病状がある程度安定し安全に通所できる人が参加するものとしています。

どの区分を使うか、今が始める時期かは、主治医と相談して決めることになります。

Q2. リワークが逆効果になることはありますか?

研究の数字は利用者全体の傾向を示すもので、一人ひとりの経過までは分かりません。

先ほどの調査では、途中でやめた理由の21%が「病状の悪化により中止となったケース」でしたが、悪化の原因がリワークにあったかどうかは、この調査からは分かりません。

協会の理事長は、3つのリワークは目的も内容も異なるとしています。

そのうえで、治療を目的として職業センターのリワーク支援を使うと、復職がうまくいかないばかりでなく、病状の悪化や長期化を招きかねないと指摘しています(五十嵐 2018)。

区分の目的と、今の自分に必要なことが合っているかが大切になります。

通っていて体調の変化を感じたときは、主治医とスタッフに伝えてください。

Q3. リワークを受けずに復職することはできますか?

手引きでは、リワークに当たる事業場外の職場復帰支援サービスの利用は、職場復帰支援プランを作るときに「検討」する項目の一つです。

リワークを受けずに復職できるかどうかは、勤務先の制度と、勤務先による職場復帰の判断によります。

休職から復職までの流れは、別の記事で扱う予定です。

Q4. リワークを終えても、復職できないことはありますか?

JEEDは、令和7年度の職業センターのリワーク支援について、対象者2,400人、復職率86.2%と報告しています(JEED「令和7年度業務実績説明資料」)。

この数字の読み方(対象と算出方法)は、本記事の「職業センターのリワーク支援の復職率」でご説明しています。

東京障害者職業センターは、リワーク支援の結果を踏まえた復職の可否判断は行っておらず、判断は企業が行うものとしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

手引きも、最終的な職場復帰の決定は事業者が行うとしています。

復職が難しいと言われたときは、理由と、次に何をすればよいかを、人事担当者や産業医に確かめることになります。

休職期間の満了による退職など、雇用に関わる問題になった場合は、総合労働相談コーナーや弁護士が相談先になります。

Q5. 通っているリワークが合わないとき、別の機関に変えられますか?

変える先の区分によって、手続きが異なります。

別の医療機関のリワークを使う場合は、主治医の同意や診療情報提供書(紹介状)が求められることがあり、自立支援医療を使っている場合は受給者証の手続きも確かめる必要があります。

医療機関のリワークの費用と利用の流れは、リワークデイケアとは|1日の費用・自立支援医療と利用の6ステップでご説明しています。

職業センターのリワーク支援は、本人・勤務先・主治医の3者が支援計画に合意して始まります(リワーク支援とは?対象者・期間・費用と利用の6ステップ)。

障害福祉サービスによる復職支援は、3つの条件を満たし、市区町村が支給決定した場合に使えます(休職中に就労移行支援は使える?3つの条件・書類と期間を解説)。

どの区分に変える場合も、まず主治医に相談することが出発点になります。

まとめ

リワークが意味ない、しんどいと感じたときに確かめたい5つのことを、最後に整理します。

  • 目的:通っているリワークの区分と目的を確かめ、期待していたことや勤務先が求めていることとずれていないかを比べる
  • 場面:決まった時間の通所、集団での活動、休職の経緯の振り返りには、それぞれプログラムとしての意図がある。つらいときは、調整できるかを主治医やスタッフに相談する
  • 数字:研究や実績の数字は、対象・調べ方・定義とあわせて読む。一つの数字で、意味がある・ないを決めない
  • 必須かどうか:リワークの利用を復職の条件にするかは、勤務先の制度による。人事担当者や産業医に確かめる
  • 相談先:やめる・休む前に、主治医、区分ごとの担当者、勤務先に伝え、休職期間の残りと復職の手続きへの影響を確かめる

通い続けるか、休むか、やめるかは、主治医と相談して決めることになります。

リワークの区分ごとの費用・期間と、使うまでの流れは、リワークとは?5つの種類と期間・費用・使うまでの流れでご説明しています。

参考資料

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所