はじめに

うつ病などで休職している方が職場復帰を考えるとき、「リワーク」という言葉を目にすることがあるかもしれません。

リワークは医療機関や障害福祉サービスの事業所などでも行われていますが、本記事で扱うのは、地域障害者職業センターが行う「リワーク支援」です。

地域障害者職業センターのリワーク支援は、受講料がかからない一方で、対象になる方や利用の前提が決まっています。

本記事は、休職中の方と、勤務先の人事・産業保健の担当者の方に向けたものです。

職業センターのリワーク支援の対象者、支援の内容、利用の流れと期間・費用を、分かりやすくご説明したいと思います。

リワーク全体の種類や違いは、リワークとは?5つの種類と期間・費用・使うまでの流れでご説明しています。

リワーク支援とは?

リワーク支援は、地域障害者職業センターが主治医と連携し、うつ病などで休職中の方と勤務先に行う職場復帰の支援です。

休職中の方だけでなく、職場復帰を進める勤務先の担当者や産業医も支援の対象になる点が特徴です(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

ここでは、実施する機関、根拠と始まり、ほかのリワークとの違いを順にご説明します。

地域障害者職業センター(JEED)が行う支援

リワーク支援を行うのは、ハローワークではなく地域障害者職業センターです。

地域障害者職業センターは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下、JEED)が運営する機関で、各都道府県に設置されています。

JEEDの資料によると、地域障害者職業センターとその支所は全国に52か所あります(JEED「令和7年度業務実績説明資料」)。

「ハローワークのリワーク」と検索されることもありますが、ハローワーク(公共職業安定所)は職業紹介などを行う機関で、地域障害者職業センターとは別の機関です。

地域障害者職業センターは、ハローワークなどと連携して、障がいのある方や事業主の支援を行っています(新潟障害者職業センター「メンタル不調者の職場復帰支援の実際 ~新潟障害者職業センターの職場復帰支援(リワーク支援)~」)。

センターの役割全体は、地域障害者職業センターとはでご説明しています。

根拠と始まり

地域障害者職業センターの業務は、障害者雇用促進法第22条に定められています。

第22条は、地域障害者職業センターの業務として、障がいのある方に対する職業評価・職業指導・職業準備訓練・職業講習を定めています(e-Gov法令検索「障害者の雇用の促進等に関する法律」第22条)。

あわせて、事業主に対する障害者の雇用管理に関する事項についての助言その他の援助なども定めています(同)。

リワーク支援は、こうした業務を行う地域障害者職業センターのサービスの一つとして提供されています。

全国の障害者職業センターでリワーク支援が始まったのは、平成17年(2005年)10月です(新潟障害者職業センター「メンタル不調者の職場復帰支援の実際 ~新潟障害者職業センターの職場復帰支援(リワーク支援)~」)。

JEEDは、精神障がいのある方の雇入れ・職場復帰・雇用継続を段階に応じて支える「精神障害者総合雇用支援」の中に、職場復帰支援(リワーク支援)を位置づけています(JEED「令和7年度業務実績説明資料」)。

厚生労働省などの「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」も、公的な事業場外資源による職場復帰支援サービスの例として、地域障害者職業センターのリワーク支援を挙げています(厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

医療機関・福祉サービスのリワークとの違い

リワークは、地域障害者職業センターのほかに、医療機関や障害福祉サービスの事業所などでも行われています。

費用の出どころや利用を判断する人が異なるため、主な3つを並べると次のとおりです。

区分費用利用を判断する人
職業センターのリワーク支援受講料はかからない(交通費などは自己負担)本人・勤務先・主治医の3者が支援計画に合意
医療機関のリワーク(医療リワーク)医療保険(自己負担あり。自立支援医療(精神通院医療)の対象になる場合がある)主治医(医療機関)
障害福祉サービスによる復職支援障害福祉サービスの利用者負担(所得に応じた月額上限あり)市区町村(勤務先・主治医などの書類をもとに支給決定)

日本うつ病リワーク協会は、職業センターのリワーク支援(協会のいう職リハリワーク)の目的を、職場への適応に向けた本人と雇用主への支援としています(日本うつ病リワーク協会「リワークプログラムとは」)。

協会は、病状を回復させるための治療ではない点が、医療機関のプログラムとの最も大きな違いとしています(同)。

岐阜障害者職業センターも、センターのリワーク支援は、治療の一環として行われる医療機関のリワークと異なり、病状がある程度安定している方を対象としているとしています(JEED 岐阜障害者職業センター「職場復帰(リワーク)支援 ~うつ病等の疾患により休職している方の職場復帰支援~」)。

どれを使うかは、主治医や勤務先と相談して決めることになります。

医療機関のリワークは、リワークデイケアとは|1日の費用・自立支援医療と利用の6ステップでご説明しています。

障害福祉サービスによる復職支援は、別の記事で扱う予定です。

リワーク支援の対象者

リワーク支援を使えるのは、勤務先の種類や在職の状況などの条件にあてはまる方です。

対象は各センターの案内に示されており、勤務先の種類、在職しているかどうか、病気の確認、関係者の協力の4つがポイントになります。

ここでは、東京・大阪・愛知・北海道などのセンターの案内をもとに、対象になる方とならない方をご説明します。

雇用保険の適用事業所に雇われて休職している方

リワーク支援の対象は、雇用保険の適用事業所に雇われて休職している方です。

東京障害者職業センターは、対象を「雇用保険適用事業所である民間企業・団体とその休職者」としています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

大阪・愛知のセンターも、雇用保険の適用事業所に雇用されている休職中の方(愛知は「雇用保険適用事業所に在職中の方」)を対象としています(JEED 大阪障害者職業センター「リワーク支援」、JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」)。

北海道センターは、センターのサービスは雇用保険に加入している事業所とその従業員を対象としているため、国などの事業所とその従業員は利用できないとしています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

勤務先が雇用保険の適用事業所かどうかが、利用できるかどうかを分ける点になります。

対象にならない方

次の方は、リワーク支援の対象になりません。

公務員などが対象外であることは、東京・大阪・愛知・北海道の各センターの案内に示されています。

対象外となる機関の書き方はセンターによって少し異なり、東京センターは「特定地方独立行政法人」、北海道センターは「地方独立行政法人」と案内しています。

勤務先が独立行政法人などの場合は、利用を考えているセンターに確認してください。

離職について、東京センターのQ&Aは、リワーク支援は休職中の方に対する復職プログラムであり、離職予定の方や既に離職した方は利用できないとしています。

そのうえで、再就職を目指す方には、職業相談・職業評価や職業準備支援などの専門的支援を行っているとしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

障害者手帳と、精神疾患の確認

大阪・北海道・新潟のセンターは、障害者手帳を持っていなくても利用できると案内しています(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」、JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」、新潟障害者職業センター「メンタル不調者の職場復帰支援の実際 ~新潟障害者職業センターの職場復帰支援(リワーク支援)~」)。

大阪センターは、主にうつ病の方を対象としながら、精神科や心療内科の主治医の診断書などで何らかの精神疾患があることを確認できる方も対象としています(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

同センターは、精神障害者保健福祉手帳の取得は必要ないとしています(同)。

東京センターも、原則として、主治医(精神科、心療内科等)の診断により精神疾患があることを確認できる方を対象とし、うつ病以外の方も利用できるとしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

手帳がなくても、利用を検討することができます。

勤務先と主治医の協力が前提になる

リワーク支援は、本人・勤務先・主治医の3者が、職場復帰の進め方について合意したうえで始まります。

北海道センターは、事業所と主治医の同意があることが利用の前提になるとしています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

愛知センターは、本人・事業主・主治医の3者から書面による同意を得て支援を行うとしています(JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」)。

そのため、勤務先が職場復帰に向けた取組を進める意思を示さない場合は、リワーク支援を始めることが難しくなります。

JEEDの職員による解説では、リワーク支援の対象を、うつ病などで休職中で、主治医が職場復帰のための活動を始めることを了解している方としています(森誠一「リワーク支援の取組について―千葉障害者職業センターにおける支援の紹介」日本労働研究雑誌No.695)。

復職に向けた活動を始められる状態かどうかは、主治医と相談して判断することになります。

リワーク支援で受けられる支援

リワーク支援の特徴は、休職中の本人だけでなく、勤務先と主治医も含めた3者の関わりの中で支援が組み立てられることです。

支援の内容や期間は、一人ひとりに合わせて設定されます。

ここでは、職場復帰のコーディネート、本人への支援、勤務先への支援、主治医との連携と復職後の支援の順にご説明します。

職場復帰のコーディネート

支援を始める前に行われるのが、「職場復帰のコーディネート」です。

東京センターは、職場復帰のための活動の内容やスケジュールなどの計画について、休職中の社員・企業の担当者・主治医の3者と合意を形成することを、職場復帰のコーディネートと呼んでいます(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

東京センターのQ&Aによると、コーディネートでは、本人の生活リズムや気分・体調の変化を、個別相談や体験コースを通じて確かめます。

勤務先には、復職に当たっての基本的な考え方、復職時の受け入れ態勢、リワーク支援期間中の支援内容などを説明します。

主治医には、治療の状況や病状の管理の状況を確認します。

そのうえで、センターが作るリワーク支援計画に、本人・勤務先・主治医が同意します(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

休職中の本人への支援

本人は、センターに通いながら、講座や作業などのプログラムに参加します。

東京・愛知のセンターの案内では、主に次のような取組が紹介されています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」、JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」)。

  • 生活リズムの立て直しと体調の自己管理:睡眠・食事・活動・気分・疲労などを記録する生活リズム表などを使って振り返ります。
  • 作業を通じた体力や集中力の確認:事務作業や数値チェックなどの作業課題、集団での作業に取り組みます。
  • 職場復帰に必要な知識の習得:ストレス対処や認知行動療法の考え方、キャリアに関する講座などを受けます。
  • コミュニケーションの練習:グループでのロールプレイやグループミーティングなどを行います。

プログラムの組み合わせや通う日数は、センターや本人の状況によって異なります。

北海道センターは、札幌市外に住んでいて毎日の通所が難しい場合、本人の課題に応じて必要な講習などを選び、週2〜3日程度で通うことが可能としています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

住んでいる地域によっては、一定期間宿泊して集中的に通い、それ以外の期間は自宅を中心とした活動で生活リズムづくりに取り組む場合もあるとしています(同)。

なお、センターで受けるカウンセリングは職業選択や職業生活に関するもので、心理療法や治療的なカウンセリングは医療機関などの専門機関で受けることになります(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

勤務先への支援

勤務先の担当者には、支援の進み具合が共有されます(JEED 大阪障害者職業センター「リワーク支援」)。

そのうえで、職場復帰の受け入れの準備、復帰にあたっての職務の設定の仕方、再発防止に関する留意事項などについて助言が行われます(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

勤務先の担当者には、人事担当者、職場の上司、産業保健スタッフなど、休職者の職場復帰に関わる方が想定されています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

大阪センターは、職業センターとの連絡窓口になり、かつ、復職の可否の判断に関わる方を、事業所の中で選んでもらうようお願いしています(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

東京センターは、期間中の休職者との定期面談や、担当カウンセラーとのケース会議などへの協力を、勤務先にお願いしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

主治医との連携と復職後の支援

主治医には、病状の管理の状況や、職場復帰にあたっての医学的な見地からの助言をもらい、支援の実施に協力してもらいます(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

復職した後も、必要に応じてフォローアップが行われます。

厚生労働省などの手引きは、職場復帰後の公的な支援の例として、リワーク支援終了後のフォローアップを挙げています(厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

東京センターは、職場復帰後の再休職の防止に活用できる支援として、職場を訪問するジョブコーチ支援も案内しています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

利用の流れと期間・費用

リワーク支援は、説明会や個別相談、3者の合意を経て始まります。

大阪センターは、支援の目的や内容は各都道府県のセンターで同じである一方、支援期間やプログラムの運営方法などには若干の違いがあるとしています(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

ここでは、利用の流れ、期間、費用、復職の判断についてご説明します。

利用の6ステップ

東京センターのQ&Aと大阪センターの案内をもとに、利用の流れを整理すると次のとおりです(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」、JEED 大阪障害者職業センター「リワーク支援」)。

細かな進め方は、センターによって異なります。

  1. 主治医と勤務先に相談する:リワーク支援を使いたいことを主治医と勤務先に伝え、復職に向けた活動を始めてよいかを確かめます。
  2. 本人が説明会に参加する:東京・大阪のセンターでは、正式に利用するには休職者本人が説明会に参加する必要があります。東京センターでは、参加の申込みも本人が行います。
  3. 個別相談と生活リズムの確認:説明会の後、生活リズムの確認、利用の申込み、個別相談などを行います。
  4. 職場復帰のコーディネートと体験の通所:通所による体験プログラムなどを通じて課題を整理し、勤務先・主治医とも話し合います。
  5. 支援計画への同意とプログラムの受講:本人・勤務先・主治医が支援計画に同意し、プログラムに通います。
  6. プログラムの終了と職場復帰:勤務先が復職を判断し、必要に応じてフォローアップを受けます。

東京センターは、休職期間が残り少ない場合、復職を希望する時期の3か月前には説明会に参加しておくことが望ましいとしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

大阪センターは、個別相談で無理なく通い始められる状態であると判断されれば、おおむね翌月からの開始になるとしています(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

ただし、個別相談の時期によっては、開始までに一定の期間がかかるとしています(同)。

期間はセンターごとに違う

リワーク支援の期間は、センターによって案内が異なります。

主なセンターの案内を並べると、次のとおりです。

センター期間の目安数え方
東京4〜6か月程度利用説明会からプログラム終了まで
大阪標準4か月コーディネートの期間を含む
愛知標準14週間コーディネートの後の「リワーク支援」の標準期間として案内
北海道3か月程度標準的な支援内容として案内
岐阜平均10〜14週間程度体験通所と本支援をあわせて

(出典:各センターのホームページ・FAQ。記事末尾の参考資料に掲載しています)

数え方が違うため、数字だけを並べて長い・短いを比べることはできません。

JEEDの職員による解説(2018年)では、標準的な支援期間を12〜16週間とし、本人と事業主の状況に応じて個別に設定するとしています(森誠一「リワーク支援の取組について―千葉障害者職業センターにおける支援の紹介」日本労働研究雑誌No.695)。

大阪センターは、事業所や主治医と相談して再発防止に向けた課題の整理ができている場合や、生活リズム・体調が安定している場合は、期間を短くできる場合があるとしています(JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

ただし、コーディネートを受けずにリワーク支援だけを利用することはできないとしています(同)。

北海道センターは、利用目的や残りの休職期間によっては、取り組める目標を設定して利用できる場合があるとしています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

費用は無料、交通費などは自己負担

リワーク支援の受講料はかかりません。

JEEDの職員による解説も、支援を受けるための費用は無料としています(森誠一「リワーク支援の取組について―千葉障害者職業センターにおける支援の紹介」日本労働研究雑誌No.695)。

大阪センターはリワーク支援に利用料はかからないとし、愛知センターは本人・事業主とも無料で利用できるとしています(JEED 大阪障害者職業センター「リワーク支援」、JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」)。

一方、通所にかかる交通費などは自己負担です(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

北海道センターは、通所の交通費や昼食費が実費でかかること、センターから交通費や手当などの給付はないことを案内しています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

復職できるかは勤務先が判断する

復職できるかどうかを判断するのは、センターではなく勤務先です。

東京センターは、リワーク支援の結果をふまえた復職の可否の判断を、センターでは行っていないとしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

復職が可能かどうかは、休職者の回復状況、企業の受け入れ態勢、業務内容の設定などを含めて、企業が判断するものとしています(同)。

厚生労働省などの手引きでも、最終的な職場復帰の決定は事業者が行うものとされています(厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

人事の担当者の方は、センターと支援の進み具合を共有しながら、社内の復職の手続きを進めることになります。

利用の実績と、利用前に確かめたいこと

JEEDの資料によると、リワーク支援の対象者数は、令和3年度から令和7年度まで、毎年度2,000人を超えています(JEED「令和7年度業務実績説明資料」)。

一方で、利用の前提や対象には、制度の仕組みからくる制約もあります。

「リワーク支援のデメリット」として調べられることもあるため、ここでは全国の実績とあわせて、利用の前に確かめておきたい点をご説明します。

全国の対象者数と復職率

JEEDは、リワーク支援の対象者数と復職率を、毎年度の業務実績の資料で報告しています。

年度対象者数復職率
令和3年度(2021年度)2,169人87.7%
令和4年度(2022年度)2,380人87.5%
令和5年度(2023年度)2,430人87.2%
令和6年度(2024年度)2,457人86.5%
令和7年度(2025年度)2,400人86.2%

(JEED「令和7年度業務実績説明資料」)

JEEDの令和7年度業務実績説明資料と、令和5年度業務実績等報告書の該当箇所には、復職率を何を分母として算出したかの説明はありませんでした(JEED「令和5年度業務実績等報告書」)。

東京センターは、リワークセンター東京と多摩支所で、毎年延べ300〜400社の社員がリワーク支援を利用し、近年はその80〜88%が職場復帰しているとしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」)。

これらは全国やセンター全体の実績で、利用すれば必ず復職できることを示すものではありません。

利用の前に確かめたい5つの点

利用の前に次の5つを確かめておくと、思っていた支援と違ったということを避けやすくなります。

  1. 勤務先の協力:3者の合意が前提のため、勤務先が職場復帰に向けた取組を進める意思があるかを確かめます。
  2. 対象になるかどうか:国・地方公共団体などの職員や、離職した方・離職を予定している方は対象外です。
  3. 始めるまでの時間:説明会、個別相談、コーディネートを経て始まるため、休職期間の残りを確かめて早めに動く必要があります。
  4. 通う場所:愛知センターは名古屋本所のみで実施し、大阪センターは南大阪支所の管内の方も本所を利用するなど、通える場所が限られることがあります。
  5. 治療との関係:職業センターのリワーク支援は職場適応に向けた支援で、通院や治療は主治医のもとで続けることになります。

リワークは意味がない、しんどいと感じるときに確かめたいことは、別の記事で扱う予定です。

リワーク支援についてよくある質問

ここでは、リワーク支援について寄せられることの多い質問のうち、ハローワークとの違い、会社からの申込み、公務員の利用、再利用、休職中のお金、就労移行支援との関係の6つにお答えします。

運用はセンターによって異なる点があるため、詳しくは利用を考えているセンターに確認してください。

Q1. ハローワークのリワーク支援とは違うのですか?

リワーク支援を行うのは、ハローワークではなく地域障害者職業センターです。

ハローワークは職業紹介などを行う機関です。

北海道・大阪のセンターは、職業紹介を希望する場合はハローワークを利用するよう案内しています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」、JEED 大阪障害者職業センター「FAQ(よくあるご質問)」)。

両者は連携しているため、ハローワークで地域障害者職業センターの利用を勧められることもあります。

Q2. 会社から利用を申し込めますか?

相談のきっかけは、勤務先や主治医からでもかまいません。

JEEDの職員による解説では、本人・事業主・主治医のいずれかからの支援の要請をきっかけに、3者の意思や意見を確かめていくとされています(森誠一「リワーク支援の取組について―千葉障害者職業センターにおける支援の紹介」日本労働研究雑誌No.695)。

ただし、東京センターでは、まず休職者本人が説明会に参加する必要があり、参加の申込みも本人が行うこととしています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

東京・愛知のセンターは企業の担当者向けの説明会を、大阪センターは事業主・関係機関向けのオンライン説明会を開いています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」、JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」、JEED 大阪障害者職業センター「リワーク支援」)。

Q3. 公務員は利用できますか?

国や地方公共団体などの職員は、リワーク支援の対象外です。

公務員の方は、所属先の人事担当部署や共済組合の案内を確認してください。

北海道センターは、公務員は利用できないとしたうえで、リワーク支援を行っている医療機関もあることを案内しています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

医療機関のリワークは、リワークデイケアとはでご説明しています。

Q4. 一度利用して復職した後、再び休職した場合も使えますか?

東京センターのQ&Aでは、必要に応じて再利用は可能とされています。

再利用の場合も、支援計画について3者の合意が必要です(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

Q5. リワーク支援を受けている間の給料や手当はどうなりますか?

北海道センターは、センターの利用について、交通費や手当などの給付はないと案内しています(JEED 北海道障害者職業センター「FAQ | よくある質問」)。

東京センターも、通所にかかる交通費などは自己負担としています(JEED 東京障害者職業センター「リワーク支援の利用に関するQ&A」)。

休職中の給与の扱いは、勤務先の就業規則などによって異なります。

健康保険の傷病手当金を受けられるかどうかは、加入している健康保険の保険者が判断するため、勤務先や保険者に確認してください。

リワークの費用の全体像は、別の記事で扱う予定です。

Q6. 休職中に就労移行支援のリワークも使えますか?

就労移行支援や就労継続支援などの障害福祉サービスは、休職中の方が、次の3つの条件をいずれも満たす場合に、復職支援として一時的に利用できます(厚生労働省「一般就労中の就労系障害福祉サービスの一時的な利用(復職支援)について」社会保障審議会障害者部会 第159回(令和8年9月17日)資料3)。

  • 勤務先や地域の就労支援機関、医療機関などによる復職支援の実施が見込めない、または困難である
  • 本人が復職を希望し、勤務先と、休職に係る診断をした主治医が、このサービスによる復職支援を受けて復職することが適当と判断している
  • このサービスによって、より効果的に復職につなげることが可能であると市区町村が判断している

市区町村が確認する書類の一つは、相談支援事業所(セルフプランの場合は申請者)が作るもので、障害者職業センターなどによる復職支援の利用が困難であることなどを示す内容とされています(同)。

そのため、職業センターのリワーク支援を利用できるかどうかが、この判断に関わります。

利用できる期間は、勤務先が定める休職期間の終了までで、上限は2年です(同)。

条件や必要な書類の詳しい内容は、別の記事で扱う予定です。

就労移行支援の制度の概要は、就労移行支援とは|対象者・期間2年・費用と利用の5ステップでご説明しています。

まとめ

地域障害者職業センターのリワーク支援は、休職中の本人と勤務先を、主治医と連携して支える職場復帰の支援です。

要点は次のとおりです。

  • 対象は、雇用保険の適用事業所に雇われて休職している方です。国・地方公共団体などの職員や、離職した方・離職を予定している方は対象外です。
  • 大阪・北海道などのセンターは、障害者手帳がなくても利用できると案内しています。東京・大阪のセンターは、主治医の診断で精神疾患を確認できる方を対象としています。
  • 利用には、本人・勤務先・主治医の3者の合意が前提になります。
  • 受講料はかかりません。通所の交通費などは自己負担で、北海道センターは手当などの給付はないと案内しています。
  • 期間はセンターごとに異なり、東京は利用説明会からプログラム終了まで4〜6か月程度、愛知は標準14週間などと案内されています。
  • 復職できるかどうかは、センターではなく勤務先が判断します。

利用を考えている方は、まず主治医と勤務先に相談し、各都道府県の障害者職業センターの説明会の日程を確かめてみてください。

全国のセンターの所在地は、JEED「地域障害者職業センター」のページで確認できます。

制度や各センターの案内は変わることがあるため、最新の情報は利用を考えているセンターの案内でご確認ください。

参考資料

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所