記事監修者

本記事は、相談支援専門員YouTuber satoshiさんの動画を基に、satoshiさんに監修頂いて制作したものです。

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毎週火曜日、金曜日19時配信予定 このチャンネルは全ての必要な方に必要な情報を届ける為、障害年金や障害福祉のサービスについてお話しするチャンネルです。 精神科クリ…

本記事では、「相談支援専門員とサービス等利用計画」について思うことをテーマにお話ししていきたいと思います

今、私が相談支援専門員として 活動している中で感じる思いをお伝えできればと思います。

相談支援専門員の仕事

まず相談支援専門員とは、どんな仕事なのかをご説明します。

病気や障害を持ちながらその地域で生活されている方が「こんな風な思いを叶えていきたいな」とか「こんな希望を叶えていきたいな」と思われることがあると思います。

相談支援専門員は、その思いを叶えるために必要な人、必要な期間、必要な制度、必要な福祉サービスなどを繋げて、病気や障害をお持ちの方の思いをより具体的にして、「思いを叶えるためのアプローチ方法」を考える仕事です。

(※相談支援事業所に関しては『相談支援事業所とは』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい)

サービス等利用計画の作成をする相談支援専門員

サービス等利用計画の作成をする相談支援専門員

2024年7月現在、障害福祉サービス総合支援法に 基づいた障害福祉サービスを利用する場合、相談支援専門員が作る「サービス等利用計画」が必要になります。

平成24年から平成27年の3年間で、障害福祉サービスを利用する全員に「サービス等利用計画」を作るというルール作りの検討が始まりました。

検討が始まった平成24年の時点では、基本的には、サービス提供事業所と同じ事業所の相談支援専門員がサービス等利用計画を作成してはいけないという形が検討されました。

具体的に言うと「A法人」という法人内に就労継続支援B型があって、この「A法人」の中に就労継続支援B型と相談支援事業所があった場合、同じ事業所扱いになり、「A法人」の相談支援専門員は「A法人」の就労継続支援B型の利用者のサービス等利用計画を作成してはいけない、ということが検討されていました。

検討案では、サービス等利用計画を作成する場合、 「B法人」の相談支援事業所(「A法人」以外の相談支援事業所)が 「A法人」の就労継続支援B型の利用者のサービス等利用計画を作るということになっていました。

しかし、実際に 蓋開けてみると、問題が発生しました。

全ての障害福祉サービスの利用者に「サービス等利用計画」の作成が義務付けられるということは、「サービス等利用計画」がないと障害福祉サービスが利用できないということになります。

これには、相談支援事業所の数が足りないという問題もあります。

例えば、「相談支援事業所の数が足りないからサービス等利用計画を作成できなくて生活介護に通えない」というケースが出てきてしまいます。

そのため、生活介護や就労継続支援などのサービス提供事業者が、自前で相談支援事業所を併設して「サービス等利用計画」を作り、「自分の事業所の利用者だけでも自分の事業所に通えるようにしよう」となってきました。

以下の厚生労働省のQ&Aにあるように、相談支援専門員が、担当する障がい者が利用するサービス提供事業所の職員と兼務する場合は、当該相談支援専門員がモニタリング等を行うことは望ましくないとされています。

問37 「相談支援専門員がサービス提供事業所の職員と兼務する場合のモニタリング等の取扱い」については、相談支援専門員が担当する障害者等に直接サービス提供を行うか否かに関わらず、当該相談支援専門員が、担当する障害者等が利用するサービス提供事業所の職員と兼務する場合は、当該相談支援専門員がモニタリング等を行うことは望ましくないとの考えか。

(答) ○ お見込みのとおり。

(H24.3.6 相談支援関係Q&A 3支給決定通知・事務処理要領‐9)

厚生労働省 相談支援関係Q&A P13

ただ、実際には、相談支援事業所の数が足りない等のさまざまな理由から、サービス提供事業者の相談支援専門員が自分の事業所の利用者のサービス等利用計画を作ることが多くなっていることも事実です。

もちろんちゃんとやっ てくださるその相談支援専門員もいらっしゃるので、よく機能している場合もあると思います。

児童の相談支援の場合は、他の事業所の相談支援専門員が自分の事業所に通う方の相談員をするメリットと自前でやるメリットを天秤にかけると、実は自前でやっている方がメリットがある場合もあると思います。

しかし、本記事では、成人の相談支援を前提に、懸念される問題をご説明していきたいと思います。

サービス提供事業所の相談支援専門員

相談支援専門員に言い難いという問題

ある就労継続支援B型事業所に通っている方で、自分が通っている事業所の相談支援専門員がサービス等利用計画を作成しているケースを考えてみましょう。

例えば利用者の方が「他の事業所に行きたいです」とか「一般就労したいです」と思った時に、それを相談支援専門員に言い難いという問題があります。

もちろん全員がそうなるという話ではありません。

就労継続支援事業所と併設している相談支援事業所の相談支援専門員の中でも、利用者の気持ちをしっかり汲み取って、他の就労継続支援事業所を勧めたり、一般就労の会社に繋げたりされている方もいらっしゃいます。

けれども、相談支援事業所の相談支援専門員の立場で「しっかりとこの利用者さんの思いを叶えていきたい」と思ったとしても、就労継続支援事業所の立場からは同じように考えることが難しいケースも出てきます。

相談支援専門員の悩み

例えば、とても仕事が優秀で就労継続支援事業所の中で頼られている存在の利用者が別の事業所に移ってしまうと、「何故、他の事業所へ行かせてしまったんだ」と経営的な立場の経営者から攻められてしまう場合もあります。

そうするとこの相談支援専門員は、「当事者の思いを叶えていきたい」けれど「上司から攻められるから…」という状況が生まれてしまいます。

こうなると、誰も幸せにならないということにもなりかねません。

サービス等利用計画を作る相談支援事業所が足りないという状況もあるのですが、自前で完結するのではなく他の事業所の相談支援専門員に関わってもらい、当事者の思いや願いを汲み取るような形が理想的だと思います。

まとめ

私としては、就労継続支援B型の自前でやられている相談支援事業所の相談支援専門員が計画相談として関わるのではなく、他の事業所の相談支援専門員が関わることによって、利用者が自分の希望や願いを言いやすい状態を作り、その希望や願いを叶えていけるような仕組みにした方がいいのかなと思っています。

これはあくまで自分への自戒も込めてお話ししています。

日頃そういった場面が 多々ります。

本記事をお読みいただいて「まずいな」とか「自分もそうなってるな」と思われた相談支援専門員の方もいらっしゃるかもしれません。

そんな相談支援専門員の方と、少しずつでも他のところにお願いしていくとか他の誰かに関わってもらう仕組みを考えていくことも一緒にできたらいいなと思っております。

私は相談支援事業所しかやっていませんので、自分のところに就労継続支援B型や生活介護があるわけでもありません。

なので自前に何か引き込もうという形になる状況がないんです。

管理者の方に気遣わなければいけないことや、法人に対して気遣わなければいけないことがないので、気が楽だなと思っています。

そういったことも含めて、一緒にもっともっと優しい世界というのを作っていけたらいいなと思っています。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

監修者のご紹介

相談支援専門員YouTuber satoshiさん

YouTube「ちゃんねるsatoshi」は毎週火曜日、金曜日19時配信予定。

このチャンネルは全ての必要な方に必要な情報を届ける為、障害年金や障害福祉のサービスについてお話しするチャンネルです。

stand.fm(スタエフ)では毎朝8時くらいに障害年金・障害福祉サービスのことをもう少し距離感が近い感じで話されています。

noteでも情報を発信されています。

また、BASEにてzoomやメールにて個人相談もされていますので、本記事をお読みいただいて気になった方は是非satoshiさんにご相談ください。

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