共同受注窓口とは

「障害者福祉施設に仕事をお願いしてみたいけど、どうすればいいのか分からない」と思われている方もいらっしゃると思います。

本記事では、障がい者の就労に関して重要な役割を果たしている「共同受注窓口」について詳しく解説します。

共同受注窓口とは

国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(以下、障害者優先調達推進法)が平成24年(2012年)5月1日に施行されました。

(※障害者優先調達推進法に関して詳しく知りたい方は『障害者優先調達推進法とは』のページをご参照ください)

障害者優先調達推進法 第11条には以下のように記されています。

第十一条 障害者就労施設等は、単独で又は相互に連携して若しくは共同して、その供給する物品等の購入者等に対し、当該物品等に関する情報を提供するよう努めるとともに、当該物品等の質の向上及び供給の円滑化に努めるものとする。

国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律

この法律は、国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることを定めたものです。

障害者就労施設は行政機関や民間企業に対して、自分たちの提供する物やサービスの情報を提供するように努めなければいけません。

しかし、個々の障害者就労施設にとっては、情報を発信するのは時間、仕組み、労力の面で難しいという施設も多くあります。

そこで、障害者就労施設等の提供可能な物品や役務の情報を収集して、発注者と事業所間のあっせん・仲介を行う窓口が作られることになりました。

これが「共同受注窓口」です。

共同受注窓口の役割

共同受注窓口の役割の範囲は、それぞれの窓口によって異なります。

以下に一般的な役割をご紹介します。

詳しくは、ご利用を検討されている共同受注窓口に直接ご確認ください。

情報提供

行政機関や民間企業に対して、障害者就労施設等に関する情報提供をおこないます。

企業向け情報

企業向けには、ホームぺ―ジで受任できる仕事内容を紹介したり、障害者就労施設を検索できるようにしたりして情報を発信している共同受注窓口もあります。

発注者と事業所の調整

発注者からの依頼内容を丁寧に聞き取り、受注できる障害者就労施設を探し、発注者と障害者就労施設とのマッチングをおこないます。

単体の事業所では受発注できないような大口の注文があった場合は、発注内容を各施設等で分担できるよう調整することもおこないます。

発注から納品までのサポート

受注から納品までの間、発注者と事業所の双方の窓口となり、円滑な取引をサポートします。

「発注者と共同受注窓口が契約する」形をとる共同受注窓口と「発注者と障害者就労施設が契約する」形をとる共同受注窓口があります。

また、検品や納品までを共同受注窓口が行うところと仕事のマッチングまでとしている共同受注窓口があります。

厚生労働省 障害者就労施設等情報の「共同受注窓口一覧(平成31年1月31日現在)」のエクセルファイルに、各共同受注窓口の業務内容が記載されていますので、ご参照ください。

共同受注窓口を利用することによるメリット

共同受注窓口を利用することは、発注者にとっても、障害者就労施設にとってもメリットがあります。

それでは、どのようなメリットがあるのかをみてみましょう。

発注側のメリット

共同受注窓口を利用することで、発注者側は以下のメリットを得られます。

必要な物品や役務を効率的に調達できる

多くの事業所の中から条件に合った事業所を見つけられるので、発注先を探す手間が省けます。

障害者就労支援に貢献できる

共同受注窓口を通じて発注することで、障害者の方々の就労機会の創出に貢献できます。

専門的な知識や経験がなくても済む

障害者就労施設に関する専門的な知識や経験がなくても、安心して発注できます。

障害者就労施設のメリット

一方、障害者就労施設側にとっても、以下のメリットがあります。

新たな仕事を受注できる機会が増える

共同受注窓口を通じて、これまで取引のなかった発注者と出会える可能性が高くなります。

安定的な受注につながる

共同受注窓口を通じて継続的に仕事を受注できるため、事業所の経営安定につながります。

販路拡大の機会となる

共同受注窓口を通じて、自社の商品やサービスを多くの人に知ってもらうことができます。

東京都の共同受注窓口の事例

最後に東京都の共同受注窓口の事例をみてみましょう。

東京都の共同受注窓口の仕組みを見る上で、「ネットワーク」という組織がどのような組織なのかを理解する必要があります。

東京都の区市町村ネットワーク

東京都には区市町村の障害者就労継続支援B型事業所等で構成された「ネットワーク」と呼ばれる組織があります。

このネットワークは東京都内には28あります。

例えば、豊島区共同受注ネットワーク「TOSHIMAX」は豊島区内の障害者就労施設等の内、23事業所(就労継続支援B型16事業所(区内全事業所)、地域活動支援センターⅢ型5事業所、就労継続支援A型2事業所)が参加しているネットワークです。

その他のネットワークは『区市町村ネットワーク』に一覧がありますので、ご参照ください。

それぞれのネットワークで、障害者の工賃(収入)向上のために、区内の事業所が連携して仕事を受注する仕組みになっています。

TOSTEP(東京都共同受注窓口)

東京都の共同受注窓口である「TOSTEP(東京都共同受注窓口)」は、発注者(官公庁や民間企業)とネットワークの間にはいって仕事のマッチングを行います。

相談から、見積もりの提出、契約、進行管理、品質管理、納品、請求まで、すべての業務をTOSTEP(東京都共同受注窓口)で対応してもらえるので、発注側としてもとても安心できる仕組みだと言えると思います。

TOSTEP(東京都共同受注窓口)に相談してから納品・請求までの流れは以下の通りです。

  1. 発注者(官公庁や民間企業)からの依頼や相談・要望に対し、専任のコーディネーターが対応。
  2. 依頼内容や具体的な案件内容を発注者からTOSTEP(東京都共同受注窓口)へ伝える。
  3. 案件の商流や物流など、おおよその条件が整った時点でTOSTEP(東京都共同受注窓口)からネットワークに情報発信し、仕事の請け先を公募。
  4. 発注者とのマッチングを適時はかり、契約などの手続きを経てお仕事の発注(受注)。(この場合、発注者とTOSTEP(東京都共同受注窓口)との契約締結が基本となります)
  5. 報酬・支払いについては、契約書に基づき行う。
  6. 相談から、見積もりの提出、契約、進行管理、品質管理、納品、請求まで、すべての業務をTOSTEP(東京都共同受注窓口)で対応。

以下の動画でもTOSTEP(東京都共同受注窓口)に関して分かりやすく説明されています。

まとめ

共同受注窓口は、障害者の方々の就労機会を創出し、地域経済の活性化にも貢献する重要な役割を担っています。

お住まいの地域の共同受注窓口については、都道府県のホームページなどで検索することができますので、ご興味のある方は是非お問い合わせされてみてはと思います。

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