地域障害者職業センターは、障害を持つ人々が職業生活に参加しやすくすることを目的とした組織です。
地域障害者職業センターは、各都道府県に設置され、地域における職業リハビリテーションサービスの中核機関として、ハローワーク、関係就労支援機関等との密接な連携の下で業務を行っています。
地域障害者職業センターの業務
まずは地域障害者職業センターでは、どのようなことをしているのかを見てみましょう。
地域障害者職業センターでおこなう業務は「障害者の雇用の促進等に関する法律」で以下のように定義されています。
(地域障害者職業センター)
第二十二条 地域障害者職業センターは、都道府県の区域内において、次に掲げる業務を行う。
一 障害者に対する職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職業講習を行うこと。
障害者の雇用の促進等に関する法律
二 事業主に雇用されている知的障害者等に対する職場への適応に関する事項についての助言又は指導を行うこと。
三 事業主に対する障害者の雇用管理に関する事項についての助言その他の援助を行うこと。
四 職場適応援助者の養成及び研修を行うこと。
五 第二十七条第二項の障害者就業・生活支援センター、就労支援事業者その他の関係機関及びこれらの機関の職員に対する職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言、研修その他の援助を行うこと。
六 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
具体的には以下のような業務になります。
職業評価
就職の希望などを把握した上で、職業能力等を評価し、それらを基に就職して職場に適応するために必要な支援内容・方法等を含む、個人の状況に応じた支援計画(職業リハビリテーション計画)を策定します。
職業指導
就職活動を円滑に実施できるように、適切な職業選択が行えるように、また職場で安定して働き続けられるように、相談や助言を行います。
職業準備訓練
職業準備支援では、一人ひとりの状況に応じ、以下のメニューを組み合わせた個別カリキュラムを作成し支援します。
- 障害特性や職業上の課題の把握及び改善に係る支援:様々な作業や講座を通して、基本的な労働習慣を身につけたり、自分に合った働き方を見つけます。
- 職業に関する知識の習得に係る支援:履歴書の書き方及び面接の受け方等の各種講座を受講し、求職活動に役立つ知識を習得します。
- 社会生活技能等の向上に係る支援:対人技能、ストレス対処及び障害特性の整理等の講座を受講し、社会生活技能等の向上を目指します。
職業準備支援のご案内(リーフレット)(PDF 829 KB)
知的障害者判定・重度知的障害者判定
障害者雇用率制度、障害者雇用納付金制度などの雇用対策上の知的障害者・重度知的障害者の判定を行います。
職場適応援助者(ジョブコーチ)養成と研修
職場適応援助者(ジョブコーチ)とは、障害者の就職・定着のための支援を実際の職場において行う専門職を指します。
地域障害者職業センターでは職場適応援助者(ジョブコーチ)を養成するための研修も実施しています。
ジョブコーチによって以下のような支援をおこないます。
- 障害者が職場に適応できるよう、障害者職業カウンセラーが策定した支援計画に基づきジョブコーチが職場に出向いて直接支援を行います。
- 障害者が新たに就職するに際しての支援だけでなく、雇用後の職場適応支援も行います。
- 障害者自身に対する支援に加え、事業主や職場の従業員に対しても、障害者の職場適応に必要な助言を行い、必要に応じて職務の再設計や職場環境の改善を提案します。
- 支援期間は、標準的には2~4ヶ月ですが、1ヶ月~8ヶ月の範囲で個別に必要な期間を設定します。支援は永続的に実施するものではなく、ジョブコーチによる支援を通じて適切な支援方法を職場の上司や同僚に伝えることにより、事業所による支援体制の整備を促進し、障害者の職場定着を図ることを目的としています。
関係機関に対する助言・援助・研修
障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業者等関係機関に対しては、支援計画の策定や支援の実施方法、他機関との連携方法等の職業リハビリテーションに関する専門的・技術的な助言・援助を行っています。
就業支援基礎研修
就労移行支援事業者、福祉機関、医療等の関係機関の就業支援担当者を対象に、効果的な職業リハビリテーションを実施するために必要な基本的知識・技術等の習得を目的とした研修を行っています。
就業支援実践研修
労働、福祉、医療・保健、教育等の関係機関の就業支援担当者(2年以上の実務経験をお持ちの方)を対象に、障害別(精神障害、発達障害、高次脳機能障害)の就業支援に関する実践力の修得を目的とした研修を行っています。
「地域障害者職業センター」と「障害者就業・生活支援センター」の違い
「地域障害者職業センター」と「障害者就業・生活支援センター」とは、似たような目的を持つものの、提供するサービスの焦点や対象範囲においていくつかの違いがあります。
地域障害者職業センター
- 焦点:職業訓練、職業相談、職業紹介など、主に職業に関連するサービスに重点を置いています。
- サービス:職業適性の評価、職業訓練プログラム、就職に向けたサポートなどを提供します。
- 目的:障害を持つ人々が適切な職業を見つけ、就職することを支援することに重点を置いています。
障害者就業・生活支援センター
- 焦点:就業支援に加えて、日常生活や社会参加に関する広範な支援に焦点を当てています。
- サービス:就業支援に加えて、日常生活の自己管理に関する助言や住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言など、「就業面」及び「生活面」における一体的なサポートを提供しています。
- 目的:障害を持つ人々が職業生活に参加することだけでなく、日常生活においても自立し、社会的に活動的な生活を送ることをサポートします。
簡単に言うと、地域障害者職業センターは障害者の就労に特化しているのに対し、障害者就業・生活支援センターは就労だけでなく、生活全般にわたるサポートにも焦点を当てています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
地域障害者職業センターがどのような機関なのかをご理解いただけたと思います。
このような支援によって、障がいを持つ人がご自身の能力に合った仕事を見つけ、仕事にやりがいと楽しさを感じるような支援をすることが、地域障害者職業センターに大きく期待されることだと思います。