障がいのある子の通院や療育への付き添い、日々の見守りのために、仕事を休んだり勤務時間を短くしたりする必要が出てくることがあります。

子の看護等休暇や育児のための短時間勤務といった育児の制度は、子の年齢で順に使えなくなります。一方で、令和7年4月1日から、介護休業などの対象を判断する厚生労働省の基準に「障害児・者や医療的ケア児・者」が明記されました。

本記事では、障がいのある子を育てながら会社で働く方に向けて、介護休暇・介護休業などの介護の制度が使える条件と、会社への伝え方、困ったときの相談先を、法令と厚生労働省の通達の原文をもとにわかりやすくご説明したいと思います。

この記事のポイント

  • 障がいのある子の介護も、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態であれば、子の年齢に関わらず介護休暇・介護休業などの対象になり得ます
  • 介護の制度は、介護休業・介護休暇・短時間勤務等の措置と、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限の6つで、日数や期間、対象外とされる人の範囲が制度ごとに異なります
  • 勤務先に「介護に直面した」と申し出ると、会社には制度を個別に知らせ、利用の意向を確認する義務があります(令和7年4月から)

障がいのある子を育てながら働くときの壁と制度の全体像は、障がい児の親の仕事|3つの壁と仕事を続けるための制度でまとめています。

障がい児の介護も、介護休暇・介護休業の対象になり得る

障がい児(障がいのある子)の介護も、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態であれば、子の年齢に関わらず介護休暇・介護休業などの対象になり得ます。令和7年4月1日から適用されている厚生労働省の判断基準に、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含むことが明記されました。ただし、対象になるかどうかは子の状態をもとに個別に判断されます。ここでは、判断基準の中身と、読むときの注意点をご説明します。

判断基準に「障害児・者や医療的ケア児・者」が明記された

介護休業などの対象かどうかは、育児・介護休業法の解釈通達(令和7年1月20日 職発0120第2号・雇均発0120第1号)の別添1「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」で判断されます。令和7年4月1日から適用されている前置きは、次のとおりです。

介護休業は、対象家族(注1)であって2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にあるもの(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない。)を介護するための休業で、常時介護を必要とする状態については、以下の表を参照しつつ、判断することとなります。

同じ通達の本文は、法律上の「要介護状態」について、「介護保険制度における『要介護状態』と必ずしも一致するものではない」とし、「先天的に障害を有する場合を含む」と説明しています。対象家族には「子」が含まれ(育児・介護休業法第2条第4号)、介護休業などは、対象となる家族の年齢に関わらず取得できる制度です(厚生労働省: 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説)。

判断の方法|12項目のうち「2」が2つ以上か「3」が1つ以上で、その状態が続くこと

判断基準は、「常時介護を必要とする状態」を次のいずれかに当てはまる場合としています。

(1) 項目①〜⑫のうち、状態について2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。
(2) 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。

介護保険の被保険者は、65歳以上の方と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者です(介護保険法第9条)。そのため、40歳未満の子の場合は(2)の要介護認定ではなく、(1)の12項目で判断することになります。12項目と、それぞれの状態は次のとおりです。

項目 1 2 3
①座位保持(10分間一人で座っていることができる) 自分で可 支えてもらえればできる できない
②歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる) つかまらないでできる 何かにつかまればできる できない
③移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作) 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
④水分・食事摂取 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑤排泄 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑥衣類の着脱 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑦意思の伝達 できる ときどきできない できない
⑧外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある ない ときどきある ほとんど毎回ある
⑨物を壊したり衣類を破くことがある ない ときどきある ほとんど毎日ある
⑩周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れなど日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題がある ない ときどきある ほとんど毎日ある
⑪医薬品又は医療機器の使用・管理 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
⑫日常の意思決定 できる 本人に関する重要な意思決定はできない ほとんどできない

(厚生労働省: 常時介護を必要とする状態に関する判断基準をもとに作成)

表の注記には、障がいのある子に関係する説明があります。

  • 注3:状態「2」の「見守り等」には、障害児・者の場合に必要な行為の「確認」「指示」「声かけ」等を含む
  • 注6:⑧の「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者が、自発的に危険を回避できず、見守り等を要する状態
  • 注7:⑨の「3」には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む
  • 注8:⑩の例として、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者が、周囲のサポートがなければ日常生活に支障を来す状況(混乱・パニック等や激しいこだわりを持つ場合等)

表の読み方に関する注記は、次のとおりです。

  • 注2:状態「1」の「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む
  • 注4:①の「支えてもらえればできる」には、背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む
  • 注5:④の「見守り等」には、動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む
  • 注9・注10:⑫の「日常の意思決定」とは、毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力。状態「2」は、慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)の意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には支援等を必要とすること

当てはまるかは個々の状況で判断され、会社には柔軟な運用が望まれている

判断基準に当てはまるかどうかは、障がいがあるかどうかだけでなく、子が表の各項目のどの状態にあるかをもとに、個別に判断されます。

一方で、判断基準には次のただし書きがあります。

ただし、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまわないように、介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが望まれます。

前置きにあるとおり、乳幼児の通常の成育過程で日常生活上必要な世話をする場合は含まれません。なお、判断基準の前置きは介護休業について書かれていますが、介護休暇や残業の制限などの「要介護状態」の定義も介護休業と同じです(厚生労働省: 介護休業制度特設サイト)。

障がいのある子の介護で使える6つの制度と、日数・期間

判断基準に当てはまる場合に使える介護の制度は、休業・休暇のほか、勤務時間の短縮や残業などの制限まで複数あります。日数や期間、申出の期限、対象外とされる人の範囲は制度ごとに異なり、除外の一部は労使協定(会社と労働者の過半数代表などとの書面の協定)によるものです。まず一覧で全体を確認し、そのあと介護休暇と介護休業を詳しくご説明します。

介護の制度の一覧

育児・介護休業法が定める介護の制度は、次の6つです。

制度 日数・期間 申出・請求 対象外とされ得る人
介護休業(第11条・第12条) 対象家族1人につき通算93日まで。3回まで分けて取得できる 開始予定日の2週間前までに書面等で 労使協定がある場合:継続雇用1年未満、申出から93日以内に雇用関係が終わることが明らかな人、週の所定労働日数2日以下。有期雇用の人は法律上の要件あり(下記)
介護休暇(第16条の5・第16条の6) 1年度に5日(対象家族が2人以上は10日)。時間単位(始業から、または終業まで連続する時間)でも取得できる 口頭でも可。当日の申出も可 労使協定がある場合:週の所定労働日数2日以下(時間単位の取得が困難な業務の人は、1日単位のみとされる場合がある)。継続雇用6か月未満を除外する仕組みは令和7年4月に廃止
介護のための所定労働時間の短縮等の措置(第23条第3項) 利用開始から連続する3年以上の期間で2回以上(介護サービス費用の助成は1回でも可) 勤務先が定める手続による(就業規則などで確認) 労使協定がある場合:継続雇用1年未満、週の所定労働日数2日以下
所定外労働の制限(残業の免除。第16条の9) 1回1か月以上1年以内。回数の制限なし 開始予定日の1か月前までに書面等で 労使協定がある場合:継続雇用1年未満、週の所定労働日数2日以下
時間外労働の制限(月24時間・年150時間まで。第18条) 1回1か月以上1年以内。回数の制限なし 開始予定日の1か月前までに書面等で 法律上の対象外:継続雇用1年未満、週の所定労働日数2日以下
深夜業の制限(午後10時〜午前5時。第20条) 1回1か月以上6か月以内。回数の制限なし 開始予定日の1か月前までに書面等で 法律上の対象外:継続雇用1年未満、週の所定労働日数2日以下、所定労働時間の全部が深夜の人、一定の条件を満たし深夜に介護できる16歳以上の同居家族がいる人

日々雇用される人は、いずれの制度も対象外です。所定外労働・時間外労働・深夜業の制限は、「事業の正常な運営を妨げる場合」には会社が請求を拒めます。短時間勤務等の措置は、短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤・介護サービス費用の助成などから、会社が1つ以上を設けるものです。このほか、介護する労働者がテレワーク等を選べるようにすることが、令和7年4月から事業主の努力義務になっています(第24条第4項)。

(厚生労働省: 介護休業制度特設サイト、育児・介護休業法)

介護休暇|通院の付添いにも使え、当日の電話でも申し出られる

介護休暇は、1日単位または時間単位で、必要な日にだけ休める制度です。休暇で行う世話は、施行規則で次のように定められています。

一 介護
二 通院等の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の必要な世話
(育児・介護休業法施行規則第38条)

時間単位で取得する場合、法令が定めているのは、始業時刻から連続する時間か、終業時刻まで連続する時間です(育児・介護休業法施行規則第40条)。勤務の途中で休み、その後に仕事へ戻る「中抜け」については、指針が、こうした取得を認めることなどにより制度の弾力的な利用が可能となるよう、会社に配慮を求めています(指針第二の二の(四))。中抜けで取得できるかは、勤務先の制度を確認してください。

申出の方法は書面に限られておらず、口頭でも申し出られます。通達は、休暇を取る当日に電話で申し出た場合でも、会社は拒むことができないとしています。会社が申出書の様式を定めている場合でも、提出は事後でも差し支えないとされています。

介護休暇は年次有給休暇とは別に取得できる休暇で、有給とするか無給とするかは会社の規定によります(厚生労働省: 介護休業制度特設サイト)。

介護休業|「体制を整える期間」として使い、要件を満たせば雇用保険から給付

介護休業は、まとまった期間休むための制度です。対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取得でき、希望どおりの日から休むには開始予定日の2週間前までに書面等で申し出ます。

有期雇用の人は、申出の時点で、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないことが要件です(第11条第1項)。通達は、この労働契約について「労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの」としています。そのため、今の契約の満了日がこの日より前であっても、契約が更新されないことが明らかでなければ、要件を満たし得ます。

厚生労働省の特設サイトは、休業期間を「仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間」と捉えるよう勧めています。障がいのある子の場合の使い方は、後の章でご説明します。

育児・介護休業法は、休業中の賃金の支払いを会社に義務づけてはいません。雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合は、ハローワークから介護休業給付金が支給されます。支給額は、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で算出されます。ただし、給付額には上限があり、休業期間中に会社から賃金が支払われた場合は、その額に応じて減額されたり、支給されなかったりすることがあります(1つの支給単位期間に、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われた場合は支給されません)。受給には、原則として介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上必要で、有期雇用の人には別の要件もあります(厚生労働省: Q&A~介護休業給付~)。

育児の制度が子の年齢で終わったあと、介護の制度でつなぐ

育児のための制度は、子が3歳になるまで、小学校に入るまで、小学校3年生を終えるまでと、年齢で順に使えなくなります。一方、介護の制度は、判断基準に当てはまれば子の年齢に関わらず使えます。ここでは2つを並べて、切れ目をどう埋めるかを見ていきます。

育児の制度と介護の制度の年齢の切れ目

育児の制度と介護の制度を、使える期間で並べると次のようになります。

制度 使える期間 性質・注意
育児のための短時間勤務 子が3歳になるまで 事業主の義務。1日原則6時間の措置を含む。労使協定で対象外となる場合がある
テレワーク(育児) 子が3歳になるまで 事業主の努力義務(令和7年4月〜)
柔軟な働き方を実現するための措置 子が3歳から小学校入学前まで 事業主が5つから2つ以上を用意し、労働者が1つを選ぶ(令和7年10月〜)
所定外労働・時間外労働・深夜業の制限(育児) 小学校入学前まで 労働者の請求による。事業の正常な運営を妨げる場合を除く。法律や労使協定で対象外となる場合がある
子の看護等休暇 小学校3年生修了まで 1年度に5日(子が2人以上は10日)。時間単位(始業から、または終業まで連続する時間)でも取得できる。労使協定で対象外となる場合がある
介護の制度(介護休業・介護休暇・短時間勤務等の措置・残業などの制限) 子の年齢に関わらない 判断基準に当てはまる場合。対象外とされ得る人は制度ごとに異なる(上の一覧表)

厚生労働省の「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会報告書」(令和5年6月19日)には、障害児や医療的ケア児を養育する当事者団体へのヒアリングで、これらの子は「子の年齢で発達段階を区切ることができない」ことから、柔軟かつ具体的な配慮の視点を盛り込むべきとの意見が寄せられたと記されています。介護の制度は、育児の制度の年齢を過ぎたあとの選択肢になります。

子の看護等休暇と介護休暇は、別々に定められた制度

子の看護等休暇は法律の第4章に、介護休暇は第5章に定められた、別々の制度です。子の看護等休暇は、子の病気やけがの世話、予防接種・健康診断、感染症による学級閉鎖等に伴う世話、入園(入学)式・卒園式への参加のために使えます。介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や通院の付添いなどのための休暇です。

日数もそれぞれに定められているため、どちらを使うかは、休む理由と子の状態をもとに勤務先と確かめておくと安心です。

指針の「望ましい」配慮|利用期間の延長と、ひとり親の日数

厚生労働省の両立指針(第二の五の三)は、会社が行うことが「望ましい」配慮として、次の2つを挙げています。

イ 労働者の子に障害がある場合や当該子が医療的ケアを必要とする場合であって、当該労働者が希望するとき 短時間勤務の制度や子の看護等休暇等の利用が可能な期間を延長すること。
ロ 労働者がひとり親家庭の親である場合であって、当該労働者が希望するとき 子の看護等休暇等の付与日数に配慮すること。
(指針第二の五の三(三))

これは「望ましい」とされた配慮で、会社の義務ではありません。延長してもらえるかどうかは、会社の判断や就業規則によります。

指針は、労働者の意向に配慮する際に考えられる事項の例として、始業・終業の時刻、就業の場所、業務量、制度や措置の利用期間、その他の労働条件を挙げています。勤務先と話し合うときの手がかりになります。ひとり親家庭の仕事と手当については、障がい児のシングルマザーの仕事|収入で変わる3つの手当と支援でご説明しています。

会社に伝えると、会社が行うこと

介護の制度を使うには、まず勤務先に申し出る必要があります。令和7年4月からは、介護に直面したことを申し出た労働者に対して、会社が制度を個別に知らせる義務ができました。ここでは、会社が行うことと、証明書類の扱いをご説明します。

介護に直面したと伝えると、会社は制度を知らせ、意向を確認する

令和7年4月から、対象家族が自分の介護を必要とする状況に至ったことを労働者が申し出たとき、会社は制度を個別に知らせ、利用の意向を確認しなければなりません(育児・介護休業法第21条第4項)。通達は、この申出に、障害児・者や医療的ケア児・者が常時介護を必要とする状態を含むとしています。

知らせる事項は、介護休業や介護両立支援制度等(介護休暇、残業などの制限、短時間勤務等の措置)の内容、申出先、介護休業給付金に関することです。特設サイトは、取得を控えさせるような周知や意向確認は認められないとしています。申出をしたことや意向の内容を理由とする不利益な取扱いも禁止されています(同条第6項)。

育児の側にも、個別の意向の聴取と配慮の仕組みがあります(令和7年10月から)。ただし義務になるのは、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たときと、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間の2つの時期です。指針は、これ以外にも「育児休業後の復帰時や労働者から申出があった際等にも」意向を確認することが望ましいとしています。子が小学生以上になって育児の制度の対象を過ぎた場合は、介護の側の申出が、使える制度を確かめる入口になります。

証明書類の例は、障害支援区分認定通知書や医師・社会福祉士などが書く書類

会社は、介護休業や介護休暇の申出があったとき、対象家族が要介護状態にあることなどを証明する書類の提出を求めることができます(育児・介護休業法施行規則第23条第3項・第41条第2項)。通達は、要介護状態を証明する書類の例として、次のものを挙げています。

当該対象家族に係る市町村が交付する介護保険の被保険者証や要介護認定の結果通知書、障害支援区分認定通知書、障害児通所給付費支給決定通知書、医師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士又は介護福祉士が交付する別添1の判断基準に係る事実を証明する書類

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援を利用するときは、保護者が市町村の通所給付決定を受けます(児童福祉法第21条の5の5)。障害児通所給付費支給決定通知書は、この決定に関する書類です。手元の書類の名称が異なる場合や、通所受給者証など別の書類で足りるかどうかは、勤務先と確かめておくと安心です。通達は、これらに代わる他の書類や、同僚など第三者の申立書でも証明が可能であり、労働者に過大な負担をかけないようにすべきとしています。介護休業については、特に「臨機応変かつ柔軟な対応が望まれる」とも書かれています。

介護休業の申出で明らかにする「要介護状態にある事実」は、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態である旨を記載すれば足りるとされています。また介護休暇は、会社から求められた書類の提出を拒んだ場合でも、申出自体の効力には影響がないとされています(厚生労働省: 育児・介護休業法の施行について)。

93日・3年を超えて続くケアを、どう支えるか

介護休業の93日、短時間勤務等の措置の3年、介護休暇の年5日は、法律が定める最低限の基準です。障がいのある子のケアは、これより長く続くことがあります。ここでは、法律の基準を超える部分について会社に求められていることと、休業や休暇の間に整えたいことをご説明します。

法律の基準を超える部分は、会社の努力義務と指針が手がかりになる

育児・介護休業法は、家族を介護する労働者について、会社に次の努力義務を定めています。

介護休業若しくは介護休暇に関する制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるように努めなければならない。(第24条第3項)

指針は、この措置について、家族の症状が安定期になるまでや、施設・在宅サービスを利用できるまでの期間が93日を超える場合があること、介護休業日数が93日に達したあとも再び介護を必要とする状態になる場合があることなどに留意し、必要な措置が講じられることが望ましいことに配慮するよう求めています(指針第二の十三)。通達も、介護休業の期間を93日を超えて認めるなど、労働者に有利な制度にすることは妨げないとしています。まず勤務先の就業規則を確認してみてください。また、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限は、1回ごとの期間はあるものの、請求できる回数に制限はありません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、会社が請求を拒めます。

休業や休暇の間に、福祉サービスの組み合わせを整える

厚生労働省の特設サイトは、介護休業の活用のポイントとして「休業期間中は、自分が介護を行うのではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間と捉え」ることを挙げています。障がいのある子の場合は、障害児相談支援の相談支援専門員と、障害児支援利用計画の中でサービスの組み合わせを考える方法があります。障害児相談支援の内容は、相談支援事業所とは|3つの種類と利用の流れ・探し方でご説明しています。

放課後等デイサービスや、市町村の地域生活支援事業である日中一時支援などを組み合わせる方法もあります。日中一時支援の内容や対象は市町村ごとに異なります。放課後や長期休暇の預け先の組み合わせ方は、障がい児の夏休みと仕事|放デイで埋まらない朝と夕方の預け先でご説明しています。

利用を断られたときや、不利益な扱いを受けたときの相談先

制度を使いたいと伝えても、勤務先から認められない場合があるかもしれません。育児・介護休業法は、申出や利用を理由とする不利益な取扱いを禁止し、行政による紛争解決の仕組みも設けています。ここでは、その内容と相談先をご説明します。

申出や利用を理由とする不利益な取扱いは禁止されている

介護の制度の申出や利用を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、制度ごとに禁止されています。介護休業は第16条、介護休暇は第16条の7、所定外労働の制限は第16条の10、時間外労働の制限は第18条の2、深夜業の制限は第20条の2、短時間勤務等の措置は第23条の2に定めがあります。介護に直面した旨の申出や、確認された意向の内容を理由とする不利益な取扱いも、第21条第6項で禁止されています。

都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)と紛争解決の仕組み

厚生労働省の特設サイトは、「要介護2以上ではないこと、医師の診断書がないことから制度を利用させてもらえなかった」ような場合の相談先として、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)を挙げています。

育児・介護休業法には、都道府県労働局長による助言・指導・勧告(第52条の4)と、紛争調整委員会による調停(第52条の5)の仕組みもあります。解雇の有効性など、個別の紛争について法的な判断が必要な場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。

よくある質問

障がいのある子の介護休暇・介護休業について、よく寄せられる疑問にお答えします。

Q1. 発達障がいや知的障がいのある子でも、対象になりますか?

判断基準の注記は、発達障害等を含む精神障害や知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者の状態(注6)や、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者の状態(注8)を説明しています。対象になるかどうかは、12項目について子の状態をもとに個別に判断されます。

Q2. 障害者手帳や障害支援区分の認定がないと使えませんか?

法律上の要件は、対象家族が要介護状態にあることで、その判断は判断基準の表で行います。証明書類の例としては、障害支援区分認定通知書や障害児通所給付費支給決定通知書のほか、医師・看護師・社会福祉士などが判断基準に係る事実を証明する書類が挙げられています。

Q3. 成人した子の介護にも使えますか?

介護休業などは、対象となる家族の年齢に関わらず取得できる制度です。子が18歳や20歳を過ぎていても、判断基準に当てはまれば対象になり得ます。

Q4. パートや契約社員でも使えますか?

日々雇用される人を除き、パートや契約社員も対象です。ただし介護休業には、有期雇用の人について労働契約の期間に関する要件があります(契約が更新される場合は、更新後の契約で判断します)。また、週の所定労働日数が2日以下の人などは、労使協定や法律の規定で対象外とされる場合があります。介護休暇は、令和7年4月から、継続雇用期間6か月未満の人を労使協定で除外する仕組みが廃止されています。

Q5. 介護休暇は有給ですか?

介護休暇を有給とするか無給とするかは、会社の規定によります。介護休業中の賃金も、法律上の支払い義務はありませんが、要件を満たせば雇用保険の介護休業給付金が支給されます。

Q6. 公務員の場合も同じですか?

国家公務員・地方公務員には、介護休業などを定めた育児・介護休業法の第2章〜第9章が適用されません(第61条第1項・第61条の2第1項)。休業や休暇の仕組みは、同法の特例や、それぞれの勤務条件を定める法令・条例などで定められています。制度の名称や内容が異なる場合があるため、勤務先の規程や人事担当の窓口で確認してください。

まとめ

障がいのある子の介護で使える介護休暇・介護休業などの制度について、要点を振り返ります。

  • 令和7年4月から、判断基準に「障害児・者や医療的ケア児・者」が明記されました。2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態であれば、子の年齢に関わらず対象になり得ます。当てはまるかは、12項目について子の状態をもとに個別に判断されます
  • 介護休業・介護休暇・短時間勤務等の措置・残業などの制限の6つの制度は、日数や期間、対象外とされ得る人の範囲が制度ごとに異なります。まず勤務先の就業規則を確認しましょう
  • 勤務先に介護に直面したことを申し出ると、会社には制度を個別に知らせ、意向を確認する義務があります。利用を断られたときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます

育児の制度が子の年齢で終わったあとも、介護の制度と福祉サービスを組み合わせて、働き続ける方法を探ることができます。障がいのある子を育てながら働くときの壁と、使える制度の全体像は、障がい児の親の仕事|3つの壁と仕事を続けるための制度もあわせてご覧ください。制度は改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省: 育児・介護休業法について等でご確認ください。

参考資料

本記事で引用した主な一次情報は、次のとおりです。

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所