はじめに

就労選択支援は、令和7年(2025年)10月1日に施行された新しい障害福祉サービスです。

国保連のデータでは、令和8年4月のサービス提供分で452事業所・1,033人が利用しており、事業所数は施行月(令和7年10月)の104から4倍以上に増えています(厚生労働省: 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料)。

一方で、就労選択支援の報酬には、利用者に直接支援を行った日しか算定できないことや、特定事業所集中減算という独自の減算があることなど、ほかの就労系サービスと違う点が少なくありません。

本記事では、就労選択支援事業所を運営する方や、開設を検討している法人の方に向けて、就労選択支援の報酬単価・加算・減算の現行の内容(令和8年6月施行分)と、算定できない日のルール、経過措置を分かりやすくご説明したいと思います。

令和9年度の報酬改定に向けて国で検討されている見直し案も、最後にまとめます。

就労選択支援の目的や支援の内容は、就労選択支援とは|目的・支援内容・利用方法でご説明しています。

なお、当サイトは事業所の収支の見込みは扱わず、制度の内容と公表された実績だけをご紹介します。

就労選択支援の報酬とは?基本報酬1日1,210単位と1日あたりの金額

就労選択支援の報酬は、直接支援を行った日ごとに算定する1日1,210単位の基本報酬に、加算・減算を加えて決まります。

単位を金額にするときは、地域ごとに決められた1単位の単価を掛けます。

ここでは、基本報酬の根拠、1日・1か月あたりの金額の目安、国保連データで見る実際の1人あたり費用額を順にご説明します。

基本報酬は1日1,210単位(報酬告示 第11の2)

基本報酬の根拠は、報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)の別表「介護給付費等単位数表」第11の2です。

就労選択支援サービス費は1日につき1,210単位で、令和7年10月から適用されています。

令和8年6月施行の報酬改定(臨時応急的な見直し)の後も、この単位数は変わっていません(厚生労働省: 障害福祉サービス費等の報酬算定構造)。

算定の対象は、就労移行支援・就労継続支援を利用する意向がある方と、現に利用している方への支援です(報酬告示 第11の2の1の注1)。

報酬のうち原則1割は利用者負担で、所得に応じた月額の上限があります。

利用者負担の区分と上限額は、就労選択支援の期間と流れ(費用と負担上限月額)でご説明しています。

1単位の単価と、1か月の上限の目安

報酬の金額は「単位数×1単位の単価」で計算します。

1単位の単価は、事業所の所在地の地域区分とサービスの種類ごとに定められています(厚生労働大臣が定める一単位の単価: 平成18年厚生労働省告示第539号)。

東京都国民健康保険団体連合会の一覧表(令和7年度以降)では、就労選択支援の1単位の単価は自立訓練・就労移行支援と同じで、次のとおりです。

地域区分1単位の単価
1級地11.18円
2級地10.94円
3級地10.89円
4級地10.71円
5級地10.59円
6級地10.35円
7級地10.18円
その他10.00円

出典: 東京都国民健康保険団体連合会「障害者の地域区分と1単位単価(令和7年度以降)」

事業所の所在地がどの級地に当たるかは、市町村ごとに定められています。

例えば1単位10円の地域なら、基本報酬だけで1日12,100円になります(当サイトの試算)。

1か月に算定できる日数には上限があり、原則として各月の暦日数から8日を引いた日数までです(厚生労働省: 就労選択支援の実施について 3(3))。

30日の月なら22日が上限で、基本報酬は最大26,620単位、1単位10円の地域で266,200円になります(同じく当サイトの試算)。

ただし、これは制度上の上限です。

支給決定期間は原則1か月で、利用日数も利用者ごとに異なるため、実際の報酬はこの額を大きく下回ることがあります。

国保連データで見る1人あたり費用額

実際にどれくらいの費用が支払われているかは、国保連(国民健康保険団体連合会)のデータで確かめることができます。

厚生労働省の第64回障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年9月28日)の資料に、就労選択支援の費用額の推移が載っています。

サービス提供月事業所数利用者数費用額1人あたり費用額
令和7年10月104227人2,233万円98,373円
令和7年11月220487人4,204万円86,323円
令和7年12月297614人6,089万円99,173円
令和8年1月331702人6,619万円94,285円
令和8年2月407991人8,579万円86,573円
令和8年3月419995人9,534万円95,823円
令和8年4月4521,033人1億1,336万円109,741円

出典: 厚生労働省 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料「就労系サービスに係る報酬・基準について」(国保連データ。費用額は千円単位の数値を万円に丸めた)

1人あたり費用額は、おおむね8.6万〜11.0万円で推移しています。

これを1日12,100円で単純に割ると、7〜9日分ほどにあたります(当サイトの試算)。

ただし費用額には加算や地域区分の上乗せも含まれるため、この数字は利用日数そのものではありません。

なお、国保連データの月はサービス提供月で、報酬の請求は通常、その翌月に行われます。

大阪府の調査では、令和8年6月1日時点で指定を受けていた府内の就労選択支援事業所95か所のうち90か所が回答し、利用者は477人でした(大阪府「令和8年度第1回大阪府障がい者自立支援協議会就労支援部会」(令和8年8月27日)資料3「就労選択支援事業に係る大阪府内の状況」)。

その477人のアセスメント日数は、6〜10日が225人で最も多く、1〜5日が117人、11〜15日が83人、16日以上が46人、未回答が6人です(同)。

報酬を算定できる日・できない日

就労選択支援の報酬は、事業所を開けていれば算定できるわけではありません。

算定の対象になる日や支援の内容には、通知で細かいルールが定められています。

ここでは、請求の前に確かめておきたい3つのポイントをご説明します。

算定できるのは、利用者に直接支援を行った日

報酬を算定できるのは、利用者に対して直接支援を行った場合です(厚生労働省: 就労選択支援の実施について 3(1)、留意事項通知)。

利用者が同席する多機関連携のケース会議や企業訪問は、算定の対象になります。

一方、関係機関との連絡調整だけを行った日など、利用者の参加を伴わない場合は算定の対象になりません。

アセスメントは、作業やコミュニケーションの行動観察が重要であることから、対面での実施が基本とされています(同 3(1))。

ケース会議、アセスメント結果の提供、事業者等との連絡調整は、対面が難しい場合など必要に応じてオンラインでも差し支えないとされています(同)。

なお「対面」は「事業所への通所」と同じ意味ではなく、通知の様式例のサービス提供記録には、場所として事業所のほか、学校・企業・自宅などへの訪問の欄があります(同 別紙様式2)。

事業所は、サービス提供記録の中で1日単位の支援内容を記録することとされています。

アセスメントで整理する項目は、就労アセスメントとは?4つの違いとアセスメントシートの様式でご説明しています。

定められた支援に未実施があると、原則として基本報酬を算定できない

就労選択支援では、行うべき支援の一部が欠けると、その利用者の基本報酬そのものを算定できなくなります。

対象になる支援は、指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)の次の2つの条に定められています。

  • 第173条の7(評価及び整理の実施):アセスメント、多機関によるケース会議、アセスメント結果の作成と提供など
  • 第173条の8第1項(関係機関との連絡調整等の実施):アセスメントの結果を踏まえて必要に応じて行う、公共職業安定所などの関係機関との連絡調整

留意事項通知は、これらに定める事項のうち未実施のものがある場合は、基本報酬を算定できないとしています。

実施通知も、事業内容のうち未実施の事項がある場合は「全体として報酬算定の対象とならない」としています(就労選択支援の実施について 3(1))。

ただし、利用者の責めに帰すべき事由で実施できなかった事項がある場合は例外で、実施できたところまで基本報酬を算定して差し支えないとされています(留意事項通知)。

実施通知では、この例外を「利用者都合により支援が途中で中断した場合」と書いています。

途中で利用が終わった利用者についても、どこまで実施したかを記録で示せるようにしておくことが大切です。

ほかのサービスと同じ日の利用と、同一法人の制限

報酬告示は、利用者が就労選択支援以外の障害福祉サービスを受けている間は、就労選択支援サービス費を算定しないとしています(第11の2の1の注8)。

一方で、対象者を定めた注1は、就労移行支援・就労継続支援を「現に利用している者」も対象に含めています。

B型などを利用中の方が同じ日に就労選択支援を使う場合の扱いは、実施通知が次のように整理しています(就労選択支援の実施について 4(2))。

  • 放課後等デイサービス・障害児入所施設:支援内容・報酬に重なりがないため、同一日に併給できる
  • 日中活動サービス(生活介護、自立訓練(宿泊型自立訓練を除く)、就労移行支援、就労継続支援A型・B型):就労選択支援の報酬を算定した日は、同一日に他の日中活動サービスの報酬を算定できない

ただし、事業所どうしの合議で報酬を按分して、両方を同じ日に利用することは妨げないとされています。

按分の方法として、別の時間帯なら利用時間に応じて按分する、同じ時間帯(A型事業所の作業場面でアセスメントを行う等)なら等分する、といった例が示されています。

就労継続支援や就労移行支援を利用中の方が、受給者証の更新や事業所の変更を検討するために就労選択支援を使う場合もあります。

この場合、利用中の事業所と同一の法人が運営する就労選択支援は利用できません(同 4(3))。

最も近い就労選択支援事業所でも通所が困難であるなど、近隣に別の法人の就労選択支援事業所や就労移行支援事業所がない場合は例外です。

対象者と同一法人の制限の詳細は、就労選択支援の対象者は?B型の前に必要な人・不要な人と例外でご説明しています。

支給決定期間は原則1か月です(同 4(1))。

例外事由が支援の開始後に明らかになった場合は一度のみ再度1か月、当初から明らかな場合は2か月の支給決定ができるとされています(同)。

例外事由の内容は、就労選択支援の期間と流れ|原則1か月の中身・費用と4ステップでご説明しています。

就労選択支援の加算10種|単位数・要件・取得率

就労選択支援で算定できる加算は、報酬告示 第11の2の2から11までに定められた10種類です。

留意事項通知は、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算や食事提供体制加算などの取扱いを、ほかのサービスの規定を準用する形で定めています。

令和6年度改定時の報酬算定構造には「緊急時受入加算」(1日100単位)も載っていましたが、報酬告示第11の2と令和8年6月施行分の報酬算定構造で、就労選択支援の加算として定められているのは次の表の10種類です。

特別地域加算は、現行では居宅介護・自立訓練・就労定着支援などが対象で、就労選択支援を対象に加える案が検討されています(第64回資料)。

加算単位数主な要件(要約)取得率(令和7年12月)
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)15・(Ⅱ)10・(Ⅲ)6単位/日常勤の就労選択支援員のうち社会福祉士等の割合が35%以上(Ⅰ)・25%以上(Ⅱ)。(Ⅲ)は常勤の割合75%以上または勤続3年以上30%以上(Ⅰ)29%・(Ⅱ)3%・(Ⅲ)28%
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)51・(Ⅱ)41単位/日視覚障害者等の利用者が50%以上(Ⅰ)・30%以上(Ⅱ)で、意思疎通に専門性のある従業者を基準に加えて配置0%
高次脳機能障害者支援体制加算41単位/日基準に適合する利用者が30%以上で、施設基準に適合0%
欠席時対応加算94単位/回(月4回まで)急病等で利用を中止した際に、就労選択支援員が連絡調整・相談援助を行い記録25%
医療連携体制加算区分により32〜800単位/日医療機関等との連携で看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合など。(Ⅰ)32・(Ⅱ)63・(Ⅲ)125・(Ⅳ)400〜800・(Ⅴ)500・(Ⅵ)100単位0%
利用者負担上限額管理加算150単位/月利用者負担額合計額の管理を行った場合0%
食事提供体制加算30単位/日低所得者等に食事を提供し、栄養面の3つの要件を満たす。令和9年3月31日までの加算30%
送迎加算(Ⅰ)21・(Ⅱ)10単位/片道告示の基準を満たす送迎。同一敷地内等は70%で算定(Ⅰ)4%・(Ⅱ)13%
在宅時生活支援サービス加算300単位/日居宅での支援を希望し、効果的と市町村が認めた利用者に居宅で支援0%
福祉・介護職員等処遇改善加算所定単位×8.1〜11.9%(令和8年6月以降)賃金改善やキャリアパス等の要件を満たし届出(Ⅰ)43%・(Ⅱ)15%・(Ⅲ)7%・(Ⅳ)3%

出典: 報酬告示 第11の2、障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月施行分)、第64回資料(取得率は国保連データ・令和7年12月サービス提供分で、資料の「取得率」の表記のまま。処遇改善加算の取得率は当時の区分)

第64回資料によると、令和7年12月サービス提供分の費用額は、基本部分が5,583万円、加算を含めた合計が6,089万円でした。

加算部分は約507万円(合計の約8%)で、そのうち約402万円(加算部分の約8割)が処遇改善加算でした(当サイトが同資料から計算)。

職員体制の加算(福祉専門職員配置等・視覚聴覚言語・高次脳機能)

職員の配置や専門性を評価する加算は、次の3つです。

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)(Ⅱ)の対象資格は、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師です(報酬告示 第11の2の6)。

(Ⅰ)は常勤の就労選択支援員に占める有資格者の割合が35%以上、(Ⅱ)は25%以上で、(Ⅰ)を算定する場合は(Ⅱ)は算定しません。

(Ⅲ)は、就労選択支援員のうち常勤の割合が75%以上か、常勤の就労選択支援員のうち3年以上従事している人の割合が30%以上の場合で、(Ⅰ)(Ⅱ)とは同時に算定しません。

一体的に運営する生活介護事業所などの常勤の直接処遇職員が、就労選択支援員を兼務する場合もあります。

その職員を、就労選択支援事業所の福祉専門職員配置等加算の算定対象に含められるのは、就労選択支援事業所での勤務時間が常勤の時間に達している場合です(就労選択支援に関するQ&A VOL.1 問6)。

就労選択支援員の配置基準と兼務は、就労選択支援員養成研修|受講要件2つと経過措置の期限・日程でご説明しています。

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は、視覚障害者等の利用者が一定割合以上いて、意思疎通に専門性のある従業者を基準の人員に加えて配置した場合に算定します((Ⅰ)は利用者の50%以上・常勤換算で利用者数÷40以上、(Ⅱ)は30%以上・利用者数÷50以上)。

高次脳機能障害者支援体制加算は、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者が利用者の30%以上で、施設基準に適合している場合に算定します(報酬告示 第11の2の3)。

この2つの加算を受けている場合は、後で説明する特定事業所集中減算の「正当な理由」の例にも挙げられています。

利用の状況に応じた加算(欠席時対応・送迎・食事提供体制など)

利用者ごとの支援の状況に応じて算定する加算には、次のようなものがあります。

  • 欠席時対応加算(94単位/回):利用予定日に急病等で利用を中止した場合に、就労選択支援員が利用者や家族等と連絡調整・相談援助を行い、利用者の状況と相談援助の内容を記録したときに、月4回まで算定(障害者支援施設等の入所者を除く)
  • 送迎加算((Ⅰ)21単位・(Ⅱ)10単位、片道):告示の基準を満たす送迎を行った場合に算定。同一敷地内等の場合は70%で算定
  • 食事提供体制加算(30単位/日):低所得者等の利用者に、事業所の責任で食事を提供する体制を整え、①管理栄養士または栄養士による献立の確認、②利用者ごとの摂食量の記録、③おおむね6か月に1回の体重またはBMIの記録のいずれにも適合する食事を提供した場合。令和9年3月31日までの加算
  • 医療連携体制加算(1日32〜800単位):医療機関等との連携により看護職員が事業所を訪問し、利用者に看護を行った場合など。区分は看護の内容・提供時間・利用者数で分かれ、(Ⅰ)32単位、(Ⅱ)63単位、(Ⅲ)125単位、(Ⅳ)400〜800単位、(Ⅴ)500単位、(Ⅵ)100単位
  • 利用者負担上限額管理加算(150単位/月):利用者負担額合計額の管理を行った場合

令和7年12月の取得率が高かったのは食事提供体制加算(30%)と欠席時対応加算(25%)で、医療連携体制加算と利用者負担上限額管理加算は0%でした(第64回資料)。

食事提供体制加算は期限のある加算で、令和9年4月以降の扱いは、令和9年度改定の告示で確かめる必要があります。

居宅で利用する場合の在宅時生活支援サービス加算

在宅時生活支援サービス加算(300単位/日)は、居宅で支援を受けることを希望し、その支援が効果的だと市町村が認めた利用者に、居宅で支援を行った場合の加算です(報酬告示 第11の2の10)。

留意事項通知では、事業所が費用を負担して居宅介護事業所等の従業者を派遣し、居宅での生活に関する支援を提供した場合に算定するとされています。

居宅介護や重度訪問介護を利用している方で、その支援がなければ居宅での利用が難しい場合が想定されています。

この加算の要件を、就労選択支援を自宅で利用するときの一般的な条件と読まないよう注意が必要です。

令和7年12月の取得率は0%でした(第64回資料)。

福祉・介護職員等処遇改善加算(令和8年6月から加算率が上がった)

処遇改善加算は、処遇改善加算を除いた加算・減算後の単位数に、区分ごとの加算率を掛けて算定します。

就労選択支援員は、令和6年度改定で処遇改善加算の対象に加えられました(厚生労働省: 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容)。

令和8年6月から、就労選択支援の加算率は次のとおり引き上げられています(厚生労働省: 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について)。

区分令和8年4月・5月令和8年6月以降
(Ⅰ)10.3%(Ⅰ)イ 11.5%・(Ⅰ)ロ 11.9%
(Ⅱ)10.1%(Ⅱ)イ 11.3%・(Ⅱ)ロ 11.7%
(Ⅲ)8.6%9.8%
(Ⅳ)6.9%8.1%

(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロは、令和8年6月に新設された区分です。

算定するには、令和8年度特例要件を満たす必要があります(厚生労働省・こども家庭庁「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分)3(1)⑧)。

特例要件は、①生産性向上の取組を5つ以上行うこと、または社会福祉連携推進法人に所属していることのいずれかと、②加算(Ⅱ)ロの加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てることです(同)。

①の生産性向上の取組は、通知の別紙1表3の職場環境等要件から選び、次の2つを必ず含める必要があります(同)。

  • ⑱:現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)
  • ㉑:業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入

②の「基本給等」は、基本給又は決まって毎月支払われる手当をいいます(同)。

①の生産性向上の取組と②は、令和9年3月末までに行うことを処遇改善計画書で誓約すれば、申請の時点から満たしているものとして扱われます(同)。

処遇改善加算の体制届は算定を始める月の前月15日まで、処遇改善計画書はその事業年度に初めて加算を算定する月の前々月の末日までに提出するのが原則です(同)。

都道府県知事等は計画書の提出期日を延長できるとされているため、実際の期限は指定権者の案内で確かめてください(同)。

就労選択支援の減算7種類|特定事業所集中減算と経過措置

就労選択支援の減算は、人員・定員に関わるもの、運営基準に関わるもの、就労選択支援に特有の特定事業所集中減算の3つに分けると整理しやすくなります。

このうち業務継続計画未策定減算には、令和9年3月31日までの経過措置があります。

ここでは、減算の一覧と、仕組みがとくに複雑な特定事業所集中減算をご説明します。

減算の一覧と減算の大きさ

就労選択支援の減算は、次の7種類です。

減算減算の大きさ根拠(報酬告示 第11の2の1)注意点
定員超過利用減算所定単位数の70%で算定注2利用者数が、留意事項通知の基準(1日または過去3か月の利用実績)を超えた場合
サービス提供職員欠如減算70%で算定(3か月以上続くと50%)注2就労選択支援員が基準を下回った場合(1割を超える減少は翌月から、1割以内は翌々月から)
情報公表未報告減算5%を減算注3令和8年5月に情報公表システムへ就労選択支援が追加された
業務継続計画未策定減算1%を減算注4令和9年3月31日まで適用しない経過措置
身体拘束廃止未実施減算1%を減算注5記録・委員会・指針・研修の措置
虐待防止措置未実施減算1%を減算注6委員会・研修・担当者の措置
特定事業所集中減算1日200単位を減算注7正当な理由なく80%を超えた場合、判定期間ごとに6か月間

出典: 報酬告示 第11の2、障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月施行分)

定員超過・就労選択支援員の欠如

利用者数が定員を一定以上超えた場合や、就労選択支援員が基準の員数を下回った場合は、所定単位数に一定の割合を掛けて算定します(報酬告示 第11の2の1の注2)。

これらの減算は、報酬告示と、利用者の数や従業者の員数の基準を定めた告示(平成18年厚生労働省告示第550号)に基づくもので、具体的な取扱いは留意事項通知に定められています。

定員超過利用減算になるのは、利用者数が次の基準を超えた場合です(留意事項通知「定員超過に該当する場合の所定単位数の算定について」)。

判定の方法減算になる場合減算がかかる範囲
1日の利用実績(定員50人以下)1日の利用者数が、定員×150%を超えるその日の利用者全員
1日の利用実績(定員51人以上)1日の利用者数が、(定員−50)×125%+75を超えるその日の利用者全員
過去3か月の利用実績(定員12人以上)直近3か月の延べ利用者数が、定員×3か月の開所日数×125%を超えるその1か月間の利用者全員
過去3か月の利用実績(定員11人以下)直近3か月の延べ利用者数が、(定員+3)×3か月の開所日数を超えるその1か月間の利用者全員

出典: 厚生労働省 留意事項通知(令和8年5月28日改正)「日中活動サービス及び選択支援における定員超過利用減算の具体的取扱い」

定員超過利用減算は、加算を足す前の所定単位数の70%で算定します(同)。

就労選択支援員の欠如は、基準上必要な員数から1割を超えて減った場合はその翌月から、1割の範囲内で減った場合はその翌々月から、人員欠如が解消されるまで、利用者全員について減算されます(留意事項通知「人員欠如に該当する場合の所定単位数の算定について」)。

1割の範囲内の場合、翌月の末日までに基準を満たせば、減算はかかりません(同)。

減算の割合は、減算が適用される月から2か月目まで70%、3か月以上続くと50%です(同、報酬算定構造)。

就労選択支援員の配置基準は、常勤換算で利用者数を15で割った数以上です(就労選択支援の実施について 2(1))。

令和9年度末(令和10年3月31日)までは、基礎的研修または基礎的研修と同等以上の研修の修了者を就労選択支援員とみなす経過措置があります(第64回資料)。

運営基準に関わる4つの減算と経過措置

運営基準を満たしていない場合の減算は、次の4つです。

  • 業務継続計画未策定減算(1%):感染症や非常災害の発生時に向けた業務継続計画を策定し、必要な措置を講じていない場合(指定基準第33条の2第1項を準用)
  • 身体拘束廃止未実施減算(1%):身体拘束等を行う場合の記録、適正化検討委員会の開催、指針の整備、研修の実施の措置が講じられていない場合(第35条の2第2項・第3項を準用)
  • 虐待防止措置未実施減算(1%):虐待防止委員会の開催、研修の実施、担当者の設置の措置が講じられていない場合(第40条の2を準用)
  • 情報公表未報告減算(5%):障害者総合支援法第76条の3第1項に基づく情報公表の報告を行っていない場合

このうち業務継続計画未策定減算は、就労選択支援については令和9年3月31日までの間、適用しない経過措置が設けられています(厚生労働省: 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容)。

令和8年6月施行分の報酬算定構造でも、就労選択支援の業務継続計画未策定減算には「令和9年4月1日から適用」と注記されています。

ほかのサービスの経過措置は令和7年3月31日までで、居宅介護などを除くサービスでは、感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備と、非常災害に関する具体的計画の策定が条件とされていました(同)。

就労選択支援については、「令和9年3月31日までの間、減算を適用しない経過措置を設ける」とされています(同)。

情報公表未報告減算については、就労選択支援に関するQ&A VOL.1(令和7年9月5日)問7で、情報公表システムの報告・公表の機能が整うまでの間は適用しないとされていました。

その後、令和8年5月から、障害福祉サービス等情報公表システムに「就労選択支援」が追加されています(厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度に関するQ&A VOL.2」(令和8年8月3日)問1-4-2)。

同じ問では、経営情報の報告について、令和8年度は初回であることから令和8年末までの報告で可とされています。

システム追加後の報告期限や減算の取扱いは、指定権者の案内で確かめてください。

特定事業所集中減算①:1日200単位と、減算がかかる期間

特定事業所集中減算は、就労選択支援事業所から利用者が特定の法人の事業所に集中してつながっている場合の減算です。

自法人の事業所への誘導を防ぎ、中立性を確保するための仕組みとされています(第64回資料)。

報酬告示は、注7で「200単位を所定単位数から減算する」と定めています。

この所定単位数は1日につき算定する就労選択支援サービス費で、令和8年6月施行分の報酬算定構造も「1日につき200単位を減算」と書いています。

令和6年度改定の概要資料や当時の報酬算定構造には「200単位/月」と書かれたものがありますが、現行の報酬算定構造の書き方は1日につき200単位です。

基本報酬1,210単位の約16.5%にあたり、減算適用期間に提供したすべての就労選択支援にかかります(割合は当サイトの試算)。

判定期間と減算適用期間は、次のとおりです(就労選択支援の実施について 3(2)ア・ウ)。

判定期間書類の作成期限減算適用期間
前期(1月1日〜6月末日)9月15日10月1日〜翌年3月31日
後期(7月1日〜12月末日)翌年3月15日4月1日〜9月30日

特定事業所集中減算②:計算式・書類・正当な理由

判定は事業所ごとに、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型(基準該当を含む)のサービスごとに行います。

計算式は「そのサービスで最も多くの利用者がつながった法人(移行率最高法人)につながった人数÷そのサービスにつながった人数」で、いずれかのサービスで80%を超えると減算の対象になります(同 3(2)イ)。

例えば、判定期間にB型につながった利用者が10人で、そのうち9人が同じ法人のB型事業所なら90%となり、正当な理由がなければ減算になります(当サイトの例)。

判定期間にアセスメントは終わったものの移行先が決まっていない利用者は、その期の計算には含めず、移行先が決まった期の計算に入れます。

そのため、移行先が決まっていない利用者については、少なくともアセスメント終了から1年間は、定期的に移行先の把握を続けることとされています。

すべての就労選択支援事業者は、アセスメントを終了した利用者の総数、各サービスにつながった人数、移行率最高法人の名称等、計算した割合などを記載した書類を作成します。

80%を超えた場合は書類を指定権者に提出し、超えなかった場合も事業所で5年間保存します(同 3(2)ウ)。

80%を超えても正当な理由がある場合は、その理由を指定権者に提出し、指定権者が判断します。

正当な理由の例として、次の5つが示されています(同 3(2)エ)。

  1. 通常の事業の実施地域に、就労移行支援などがサービスごとに5事業所未満であるなど、事業所が少数である場合
  2. 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算、高次脳機能障害者支援体制加算を受けている場合
  3. 判定期間にアセスメントを終了した利用者のうち、それぞれのサービスにつながった件数が5件以下であるなど、サービスの利用が少数である場合
  4. サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合など(利用者から理由書の提出を受け、支給決定権者にアセスメント結果を提出したうえで意見・助言を受けている場合が例)
  5. その他、指定権者が正当な理由と認めた場合

書類の提出先(指定権者)と③の「5件以下」は、令和7年9月30日の実施通知の改正で改められたものです(改正前は、書類の提出先が市町村長、③が「5件未満」)。

一方、報酬の留意事項通知(令和8年5月28日改正)の同じ箇所は、書類と正当な理由の提出先を「都道府県」、③を「5件未満」と書いており、実施通知と表記が異なります。

提出先・様式・期限は、事業所を指定した指定権者の案内に従ってください。

例えば福岡市は、80%を超えた場合に届出書などを市に提出するよう求め、サービスの利用が少数である場合の件数を「5件以下」としています(福岡市「特定事業所集中減算に係る届出について(依頼)」令和8年8月3日、別紙1)。

集中減算を含む、事業所の中立性を確保する仕組みは、就労選択支援事業所とは|就労選択支援はどこがやるの?でご説明しています。

利用する側から見た誘導への不安は、就労選択支援のデメリット5つ|例外と令和9年度の見直し案で取り上げています。

令和9年度報酬改定に向けた見直し案(第64回検討チーム)

令和8年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームでは、令和9年度報酬改定に向けた就労選択支援の論点が3つ示されました。

いずれも「〜してはどうか」という検討の方向性で、決定した内容ではありません。

告示・通知が出るまでは、ここまでにご説明した現行のルールで運営することになります。

誘導行為への対策と、特定事業所集中減算の見直し案

論点2では、利用者を特定の事業所へ送り込むなど本人の選択を歪めることは厳格に防ぐ必要があるとされました。

あわせて、同じ法人への集中で減算する現行の要件(サービスごとに80%を超える場合)は緩いのではないか、という指摘が紹介されています。

そのうえで、次のような検討の方向性が示されました(第64回資料 就労選択支援の論点2)。

  • 本人の選択肢を不当に狭める行為の禁止(自法人の事業所の利用を実質的に指定する、他の事業所の情報を意図的に提供しない、見学先を自法人の事業所に限定するなど5つの行為を想定)
  • 就労移行支援・就労継続支援の事業所の情報を提供する場合の、所在地と通所方法、定員と空き状況、支援内容、工賃または賃金など8項目の情報提供の義務付け
  • 本人の最終的な希望と実際の利用先が異なる場合の、理由の記載の必須化
  • 特定事業所集中減算の水準の引下げ(例:現行8割→3割)、適用単位を関連法人まで広げること、減算割合の見直し
  • 負担軽減として、アセスメント終了から3年が経過した場合や、ほかの就労選択支援事業所のアセスメントを受けた場合は、その後の移行先の把握を不要とすること

離島等への特別地域加算と、地域連携の案

論点3では、地方部で事業所の整備が十分に進んでいないことや、離島・遠隔地へ出向く支援の負担が大きいとの指摘を踏まえ、就労選択支援を特別地域加算の対象とする案が示されました。

同じ資料の参考ページは、特別地域加算を、移動費用が相当程度必要になることを踏まえた加算(加算率15%)として紹介しています(第64回資料)。

就労選択支援に適用する場合の加算の大きさは、今後の告示で確かめる必要があります。

論点1では、指定申請時に協議会等へ運営方針を説明して評価を受ける仕組み、原則年1回以上の協議会等への運営状況の報告(令和10年度から)、アセスメント終了者数や同一法人への移行率などの情報公表が案として挙がっています。

市町村長が認めた者をコーディネーターとして事業所に配置する仕組みも、検討の方向性に含まれています。

告示が出たら確かめること

令和9年度改定の具体的な単位数や要件は、今後の告示・留意事項通知・Q&Aで示されます。

告示が出たら、次の5点を確かめておくとよいでしょう。

  • 基本報酬の単位数
  • 特定事業所集中減算の水準と減算の大きさ、適用単位、書類の提出先
  • 特別地域加算の対象になるかどうかと、加算の大きさ
  • 業務継続計画未策定減算の経過措置が終わった後の取扱い
  • 食事提供体制加算の令和9年4月以降の扱いと、体制届の締切

施行1年で見えてきた課題と見直し案の全体は、就労選択支援のデメリット5つ|例外と令和9年度の見直し案でご説明しています。

よくある質問

就労選択支援の報酬について、検索されることの多い質問にお答えします。

Q1. 就労選択支援の基本報酬はいくらですか?

基本報酬は、就労選択支援サービス費の1日1,210単位です(報酬告示 第11の2)。

1単位10円の地域なら1日12,100円で、地域区分によって1単位の単価は上がります(1級地は11.18円)。

算定できるのは利用者に直接支援を行った日だけで、1か月の利用日数は原則として暦日数から8日を引いた日数が上限です。

Q2. サービス管理責任者がいなくても報酬を算定できますか?

就労選択支援は短時間のサービスであることから、個別支援計画の作成は不要とされ、サービス管理責任者の配置も求められていません(第64回資料)。

令和8年6月施行分の報酬算定構造でも、就労選択支援の減算は前の表の7種類です。

就労選択支援員の配置基準は、常勤換算で利用者数÷15以上です。

Q3. 就労継続支援B型と同じ日に利用した場合はどうなりますか?

就労選択支援の報酬を算定した日は、B型などの日中活動サービスの報酬は算定できません(就労選択支援の実施について 4(2))。

ただし、事業所どうしの合議で報酬を按分すれば、同じ日に両方を利用することは妨げないとされています。

放課後等デイサービスや障害児入所施設とは、同じ日に併給できるとされています。

Q4. 加算の届出は、いつまでに出せばよいですか?

報酬の留意事項通知は、算定される単位数が増える加算等について、届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定を始めるとしています(留意事項通知「届出に係る加算等の算定の開始時期」)。

広島市や宮城県も、この扱いを事業者向けに案内しています。

広島市は、加算等が算定されなくなる状況が生じた場合は、その事実の発生日から算定できなくなるとして、速やかな届出を求めています。

処遇改善加算は書類によって期限が異なり、体制届は算定を始める月の前月15日まで、処遇改善計画書はその事業年度に初めて加算を算定する月の前々月の末日までが原則です(「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分))。

前年度の実績を使う加算の年度当初の扱いや様式は、指定権者がそれぞれ案内しているため、所管の窓口の案内を確かめてください。

まとめ

就労選択支援の報酬は、1日1,210単位の基本報酬に、加算10種類と減算7種類を加えて決まります。

本記事の要点は次のとおりです。

  • 基本報酬は1日1,210単位。直接支援を行った日だけ算定でき、利用日数は原則「暦日数−8日」が上限
  • 指定基準第173条の7・第173条の8第1項の事項に未実施があると、利用者の責めに帰すべき事由による場合を除き、基本報酬を算定できない
  • 加算は10種類で、令和8年6月から処遇改善加算の加算率が上がった
  • 業務継続計画未策定減算は令和9年3月31日まで適用しない経過措置。情報公表システムには令和8年5月に就労選択支援が追加された
  • 特定事業所集中減算は1日200単位。正当な理由なく、いずれかのサービスで同じ法人への集中が80%を超えると6か月間かかり、80%以下でも書類は5年間保存する
  • 集中減算の書類の提出先は、実施通知と留意事項通知で書き方が異なるため、指定権者の案内に従う
  • 第64回で示された見直し案(集中減算の水準の引下げ、特別地域加算の対象化など)は、決定事項ではない

国保連データの1人あたり費用額はおおむね8.6万〜11.0万円で、制度上の上限とは大きな差があります。

報酬の具体的な取扱いは、指定権者の案内と、令和9年度改定の告示・通知で確かめてください。

制度は改正される可能性があるため、最新情報は厚生労働省のサイト等でご確認ください。

参考資料

※ 本記事は行政書士 横関のプロフィールが運営する障がいビズが発信しています。

よこぜき行政書士事務所